2009年12月 7日 (月)

将軍に学ぶリーダーシップ

以前に読んだ本だが、最近読み直してやはりリーダーシップに役立つなと思った本が松村劭(「つとむ」と読むらしいが初めて見た漢字だ)さんの「名将たちの指揮と戦略」PHP新書だ。
自衛隊で参謀をやっていた人らしく、古今の軍事や戦争に関する本や文献の中からリーダーシップにかかわる名言や金言を抜き出して、それを組み立てただけで本にしたというユニークな構成だ。

20091207meishotachi

その中で、いくつか印象に残った言葉を紹介しておく。まずはナポレオンから、
「戦闘において、ほんの少しの機動が決定的な効果を上げて勝利に結びつく瞬間がある。それはコップに一滴のしずくをたらせば、コップから水が溢れ出す瞬間に似ている。」
このくだりには著者の解説がついていて、勝敗の分かれ道は前線にいないとつかむことが出来ないと言った上で、こうも言っている。「逆に、勝敗分岐点が見えずに押し切られたときは全滅である。過去の人生に敗北の経験のないお坊ちゃま指揮官やエリート指揮官は、敗北する勝敗分岐点を見切ることが出来ずに全滅するのが歴史のシナリオである。」出来る指揮官は、勝敗分岐点を感じたら、速やかに撤退するそうである。
昔の武士でも、竹刀で練習しかしたことのないものと、実際に人を切ったことがあるものの違いを読んだことがあるが、同じような話だな。
ビジネススクール出身者はこうならないように気をつけないと・・・。 

次に、アメリカ陸軍のオマール・ブラッドレイ大将の言葉
「部下の生命の価値を無視するか、逆に損害の試練に苦しむ人は指揮官不適である。人命を死地に投入することには慎重でなければならないが、指揮官は作戦の終わりまで発生する損害を少なくする知識と、積み重なる損害を直視して耐える鋼鉄の神経を持っていなければならない。指揮官は損害によって戦略目標を見失う危険に常に曝されている。戦略目標を見失えば、戦争は長引き、いっそう多くの損害が発生するのだ。」
何となく、古巣のJALの再建問題のアドバイスを聞いているような・・・。

忠誠(Loyalty)というタイトルの項で、英国のバジル・ハート退役大尉の言葉
「優れた将校は、自分の直上指揮官に対する忠誠よりも、もっと高いところに忠誠でなければならない。それは軍全体であり、国家である。国家は政権と軍隊と国民から成り立つが、政権はしばしば権力抗争で変動するので、注意していないと軍隊を権力抗争のために私物化しようとする傾向がある。それゆえ、将校は政権に対して忠誠である必要はさらさらなく、冷静かつ客観的に観察しておけばよい。国家に対する将校の忠誠とは、軍全体と国民に対する忠誠である。」
軍と国家を企業、国民を社員、そして政権を経営者、将校を自分に置き換えると企業人としてのあり方を示唆しているように思えるが、現実には貫き通すのが難しいだろうなと思う。

リーダーの育成についても、英国の元帥だったアーチバルト・ウェーベルのこんな言葉が載っている。
「平時における最良の将校は、戦時における最良の将校である必要性はない。それどころか平時において戦時向きの性格は邪魔なのだ。さらに平時において、どの人材が戦時向きかを見分けることは難しい。兵舎において全く面倒な男が、ときどき戦時での真珠になる。」
これも現在の日本の企業が直面している課題を言い当てている。これまで、順調に来た企業ほど、危機に強いあるいは改革の出来るリーダーを育ててきていないのだ。あるいはどうやって育てたらよいか分からないと言った方が適切かも知れない。なぜなら平時のリーダーが戦時のリーダーを手なりで育てられると考える方が不自然である。

リーダーの資質については前述ハート退役大尉も、
「"実行の可能性についてのセンス"つまり戦術的、兵站支援的に実行可能なことと不可能なことをはっきりと見分ける能力が必要である」と語っている。
私も経営者に大事な資質が、解のある問題を解くことであり、解けない問題を解くのは学者に任せておけばいいと言うのが持論であるから、大いに頷ける。

ということで、軍事に関する本でありながら、リーダーについて学ぶことが出来る有意義な本です。問題意識を持って読めば学ぶところの多い本ですが、読み物としておもしろいかと言われればノーです。

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2009年7月20日 (月)

マスコミの光と陰

フリージャーナリストの中川一徳さんの書いたドキュメンタリー「メディアの支配者」上・下(講談社文庫)を読み終わった。ボリュームがある上に、重い話が多く、一気に読み終わるわけにはいかなかったがとても良い本でした。

Media

フジテレビやニッポン放送、産経新聞などのグループを形成した鹿内信隆氏の波乱に富んだ人生を語ることで日本のマスコミの持つ光と陰のうちとりわけ陰の部分をうまく浮き彫りにしているのではないかと思います。
戦後、鹿内信隆氏がいかにしてフジサンケイグループを作り上げ、それを支配するようになったかを、戦前の話まで丹念に拾って語っている下りは圧巻である。さらに、鹿内氏とその息子春雄氏が死去して、フジサンケイグループのクーデターが起こり、その後ホリエモンや村上ファンドによるニッポン放送買収騒動など最新の話まで納めてある。

中には本当かなと思うようなことも書かれているのだが、新潮ドキュメント賞や講談社ノンフィクション賞を両方受賞していることから、かなりの部分は真実なのであろう。
下手な小説より、よほどおもしろかった。

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2009年6月 4日 (木)

ビジネスインサイト

久しぶりに読み応えのある本を読みました。石井淳蔵先生の「ビジネス・インサイト」(岩波新書)です。

一言で言えば、成功した企業では、経営者が当たり前のことをやり続けて成功したり、既存のやり方の延長から新しい事業が始まるのではなく、どこかで飛躍して初めて事業は発展を遂げたり変質を遂げたりする。こうした経営者の飛躍はどこから生まれるのかと言うことを科学的に解明するとどうなるかを述べてある書である。

難しいがおもしろい、アカデミックに見えるが経営に対する含蓄に富んでいる。

Businessinsight

キーワードは事象(物)への棲み込み(dwell in)である。一言で説明するのは大変難しいが、私の理解したところで言えば、学者のように客観的に眺めるわけでもなければ、自分の主観で見るのとも違う。相手(もの)へ入り込んで、相手の立場で眺めることで新しい発想やビジネスが見えてくると言うことだ。それをポランニーという哲学者の言葉で「棲み込む」と言うらしい。

私がひらめきや右脳を大事にしろと主張するのに対して、石井先生はひらめきやジャンプあるいはインサイトがどうして生まれるのかを一所懸命解き明かそうとしている。
大変示唆に富んだ本だ。久々に脳みその奥深いところまでたっぷり刺激を受けた本で、現時点の本年度ベストワンである。

私の書いた「スパークする思考」は石井先生の本のようにアカデミックではないが、私の本に対するアンサーソングを書いていただいたような気もしてうれしい。

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2009年4月 2日 (木)

大局観

私はヘボだが碁が好きで、昔サラリーマンをやっていた頃は良く打っていた。上司の部長と昼飯を賭けてやっては良く負けて奢らされていた。普段は4目も置くと良い勝負なのだが、賭けてやると必ず負けるのだ。

さて本題である。最近読んだ本に囲碁のプロ棋士である依田紀基氏が書いた「プロ棋士の思考術」がある。副題に大局観と判断力とあるくらいだから、経営やビジネスに役立つヒントがいっぱいある。経営にも人生にも大局観が大事だという話につながる。
ただし、囲碁を全くやらない人には少しぴんと来ないところが多いかも知れない。

Yodanorimoto

例によって私のお気に入りのフレーズを紹介しよう。
序盤の布石で大事なことは、「考える」ことでも「読む」ことでもなく、「イメージ」を広げることだそうだ。経営でもあまり数字や論理を積み重ねるより、あることがうまくいった場合にどうなるかをイメージすることが大切だ。
依田氏によると「読みとは、置いてない石が盤に置いてあるように、形をイメージすることである。」これには参った。ついつい、私がこう打つと敵はこう打つ、そうすると私はこう打ち返すという「読み」ばかりやっていた。
「まず、どのような形がよいのか、どのような形を自分は望むのかをイメージする。それが出来なければ、いくら相手の手を予想しても仕方がない。」うーん、なるほど。

「心の持ちようは、現実を左右するほど大きなものだ。名人になりたければ、なる前から名人の心を持って、そのように振る舞えばよい。」
私が常に言っている、ビジネスマンたるもの常に2つ上のポジションに自分がいると思って仕事をせよに通じるものがあるな。

「私は対局に臨む前に、あらかじめ第一手を決めないタイプの棋士だ。第一手は、その場の雰囲気を大事にして決める。対局場で、盤の前に実際に座らないとわからない気配、見え方というものがあるのだ。」
これも私が、大事なミーティングで経営トップに臨むときに似ている。もちろんある程度の想定はするし、資料なども必要であれば事前に読み込んでおく。しかし、実際には用意しておいた資料を使わないことも多いし、その場で思いついたことから会話を始めることも多い。
こういう話を聞くと(読むと)、私がやっていることもあながち変ではないのだと安心するというか、自信につながる。

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2009年3月23日 (月)

散るぞ悲しき

弁護士の中島茂先生お薦めの梯(かけはし)久美子さん著「散るぞ悲しき」をようやく読むことが出来た。中島先生がリーダーシップの鏡と言うだけあって、大変参考になる中身でした。
散るぞ悲しきは第二次世界大戦末期に硫黄島玉砕時の現地司令官だった栗林忠道中将の生き様と硫黄島玉砕の話を語ったノンフィクションだ。詳細は本書に譲るとして、いつものように私が気に入った部分だけを取り上げてみよう。

栗林中将は負けると分かっている硫黄島の戦いの中で、日本軍に共通の戦法「死を前提として一斉に突っ込んでいく突撃」を一切許さなかった。それは梯氏によると、「硫黄島における戦いの目的が一日でも長く持ちこたえて米軍の日本本土襲撃を遅らせることである」と栗林氏が理解していたせいだという。そうなると、一斉に突撃して死んでしまっては元も子もない、一日でも長く戦闘を続けさせるためには無駄に死んではならないという考え方だったという。要するにきわめて合理的な考えの基に戦略を構築し、それの実行を部下に強いたのだ。

さらに、島を守る陸軍の戦い方に対しても、従来の日本陸軍の水際で迎え撃つ作戦を否定し、島の奥に籠もって戦うゲリラ戦を主体とした。これも水際作戦は彼我の戦力差があまりないときに有効だが、圧倒的に戦力とりわけ火力で劣るときには却って早期全滅を招くという考え方から来ている。こうした従来と異なる戦略を考え出した背景には現場を詳細に観察し、現状分析の元に最も有効な戦略を考えるという合理性があったのだ。そのためには当時の大本営の大方針する否定して、自分の信念を貫いた。
それについて、梯氏は「観察するに細心で、実行するに大胆というのが栗林の本領である。彼はものごとを実に細かく"見る人"であった。定石や先例を鵜呑みにせず、現場に立って自分の目で確かめるという態度をつらぬいた。」と語る。
これはまさにクラウゼヴィッツの戦争論に通じる話だ。クラウゼヴィッツは戦争のリーダーは先見性、勇気に加えて、現場に通じていないといけないと言っている。

本当は負けると分かっている戦で部下を2万人も死なせることなく、全面降伏したかったのだろうなと思いつつ、本書を読み終えた。

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2009年3月21日 (土)

チーム・バチスタの栄光

少し前にベストセラーになった小説、『チーム・バチスタの栄光』を読んだ。エンタテイメントととしては大変秀逸で、とてもおもしろく一気に読んでしまった。
現役の医師が書いたと言うだけあって、緊迫した手術場面、病院内の政治力学、医者と看護婦の関係などがなるほどとか、そうなんだという感じで、きわめて臨場感にあふれている。

それを読んでの感想が二つ。一つはコンサルタントのインタビュー技術に通じる話が後半に頻繁に出てくること。厚労省の役人で白鳥という嫌みなやつが繰り出す話法がおもしろい。攻めて攻めて相手のぼろを引き出す方法だ。時には返り血を浴びても構わないから突っ込む。一方で主人公の田口は聞き上手で相手が心開いて本音をしゃべってしまう。アクティブフェーズとか、パッシブフェーズとか、いろいろな言葉が出てくるが、その中身は特に若いコンサルタントにとって参考になるのではないかと思った。

もう一つはプロフェッショナルとは何かを感じさせる至極の言葉が随所に散りばめられていることだ。これもコンサルタントに通じるものがある。たとえば技師の羽場に対するインタビュー場面で、彼が「人工心肺のトラブルは大きく分けると二種類あります。-中略-。問題が起こればすぐに人目につきます。だから、目を離さずにいれば、トラブルはたいてい分かる。問題点が分かれば、復旧も簡単で、大事にも至りにくいんです。」と答える場面がある。それに対して主人公の田口がこう述べている。「俺は羽場の言葉を理解し、同時に羽場の実力も把握した。トラブル回避を簡単なことのように語っているが、その言葉は鵜呑みに出来ない。仕事を単純化して語れるのは、羽場が優秀だからだ。」うーん、気に入ったこの言葉。

他にも若い酒井医師より、少し技量不足に見える垣谷医師の方が優秀だと、チームリーダーの桐生が語る場面がある。「それは胆力です。トラブルや非常事態になったときにあらわになるものです。経験によって培われた度胸と言ってもいい。手術現場で何もしないでいると言うことには、度量が必要なのです。」
コンサルタントも全く同じだ。コンサルタントが顧客の一挙手一投足にに反応していると、全体が収まらないことがある。若いコンサルタントが陥りがちな罠だ、と言うより若いコンサルタントはそれでよいが、シニアはそうではいけないと言うべきか。
以前紹介したキャプテンの唇に通じるものがある。


同じ酒井と垣谷の比較に関して、主人公はこうも言っている。「桐生は二つのことを同時に言っている。一つは酒井の技量に対する評価は低いわけではないこと。そしてもう一つは、垣谷の技術が低いと繰り返すことで酒井は、自分が外科医として未熟だと言うことをさらけ出してしまっていると言うこと。言葉に出来ないものを感知する能力、それが器というものだ。」
これもコンサルタントをやっていると、見に見えないところで顧客に価値をつけられるのがシニアであり、それは若手からは見えにくいのだろうなと思うことが良くあるのに通じる。

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2009年1月29日 (木)

現場主義の知的生産方法

最近読んだ本でおもしろかったのが、関満博さんの書いたちくま新書「現場主義の知的生産法」だ。関さんはずいぶん前に「フルセット型産業構造を超えて」という名著を書いた人手、当時私は大学の先生でもない人がこんな知的に優れた本を書くのだと衝撃を受けた記憶が鮮烈に残っている。案の定というかその後、学者へ転身され、現在は一橋大学の商学研究科の教授である。

Genbashugi

関さんは現場を徹底的に見ることで、現象の奥に潜む本質をあぶり出す学者だと思うが、その方法論を余すところなく紹介したのが本書である。
私も経営コンサルタントとして、現場の重要性は身にしみるほど知っており、自分でも極力現場に足を運んだつもりであるが、関さんの本を読んだ後では赤面の至りである。とにかく徹底している。

世間で広く行われている現地調査を痛烈に批判し、「彼らはお金を貰っている時だけ地元を「愛そう」としているのにすぎない。その地域をずっと「愛して」いかない限り、地域との信頼は深まらないのである。」と言い切る。
地域を顧客と置き換えればコンサルタントにも当てはまる名言である。我々コンサルタントも肝に銘ずるべきであろう。

あるいは、「工場調査を実施する場合、訪問してエールを交換した後、細かな話を聞く前に、作業現場、倉庫などを詳細に見ることから始めることが好ましい。実際の「作業現場」には実に多くのことが詰め込まれているのである。」
これもコンサルタントに当てはまるな・・・。

一方で、関さんのはちゃめちゃぶりがおもしろくて、読み物としても大いに楽しむことが出来た。
実はこの本でなく、「フルセット型産業構造を超えて」を是非読んでもらいたいと思っています。

補足
一橋の関先生のゼミのホームページを検索してみたら、いきなり「志のないものは去れ」と大書きされていたので驚いた。

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2008年12月 9日 (火)

品質力の磨き方

ちょうど読み終わったばかりであるが、PHP新書の「『品質力』の磨き方」は良い本だった。

Hinshitsu

リコーで長らく、技術者として製品開発や技術開発に従事されてきた長谷部光雄さんという方が書いた品質管理に関する本である。しかし、これまでの品質管理とは大きく異なる、これから起こるかも知れない問題を未然にどう防ぐのかという視点で書かれたユニークな本である。

いつもの如く、いくつのお気に入りを紹介しよう。

「品質最重点という言葉には矛盾がある。品質を最重点に考えると言うことは、無限にコストをかけることになり、非常に高価な製品を作ることである」と、安易に品質重視に走ることを否定している。コストを意識しながら、あるいは今までの大きさや重さを維持しながらどうやって品質を向上させることを考えるところに技術の進歩があると説く。
何でも規制や検査という形で安易に防止策に走り、結果として企業だけでなく消費者に余計な負担を強いている金融庁や厚生労働省に聞かせてやりたい言葉だ。

カラシニコフの設計思想
カラシニコフという自動小銃があって、世界中で使われている。ロシア製である。ロシア製で安いために世界中で使われているのかと思ったら、そうではない。非常にシンプルで余裕を持った設計になっているために、誰にでも作れるという利点があり、かつどんな悪条件で使用されても故障することが少ないという特徴を持つ。そのために人気があるのだという話は新鮮な驚きだった。

「必要な情報とは、次の行動を決定するための情報なので、すべての行動が終わった後では意味がない。」
これは、私の「仮説思考」で言っている話と同じだ。

中でも一番気に入った言葉は、
「適切な目標を設定できたときの技術の可能性というものは、無限であると感じさせる話である。」
この文章で、技術を人間と置き換えても、通用する素晴らしい話だ。実際、どんな話だったかは本書を是非お読みください。

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2008年8月20日 (水)

永守重信

ご存じ、M&Aで買収した会社を人員リストラせずに、次々に再建に成功している経営者である。
ずいぶん前に、日経新聞主催の世界経営者会議での講演を聴く機会があり、すごい経営者だなと思っていたが、その後テレビ東京のカンブリア宮殿などでも紹介されさらに興味を持っていました。

先日たまたま入った本屋で、彼の経営に関する言葉を収録した「情熱・熱意・執念の経営」という本が目に入り、購入した。簡単で読みやすい本なので、一気に読んでしまったが、平易な文章の中にいくつか経営に関する極意やヒントが述べられており、大変参考になった。

Nagamori

そこから、2-3紹介しよう。
「苦労こそ財産」
以来、私は「苦労こそ財産」と考えるようになりました。理由は、苦労には有形、無形の利子が付いてくるからで、完成した製品や身につけた技術力が有形の利子です。それよりも大きな利子は、情熱、熱意、執念さえあれば不可能を可能に出来るという無形の自信をつけたことでした。

「加点主義を貫く」
我が社は創業時代から加点主義を貫いてきました。怠けた結果の失敗は徹底した叱責の対象となりますが、評価が下がることはありません。(これは相当珍しいです)

「決断するまでのスピード」
私は会社の命運を左右しかねない大きな決断は月曜に下すと決めています。それは、日曜に丸一日かけてあらゆる角度から何度も検討することが出来るからです。
それに対して、通常の意思決定は一分以内を原則としています。

「トイレ掃除」
便器についた汚れを素手で洗い落とし、ピカピカに磨き上げる作業を1年間続けると、トイレを汚すものはいなくなります。
これが身につくと、放っておいても工場や事務所の整理整頓が行き届くようになってきます。これが「品質管理の基本」であり、徐々に見えるところだけではなく見えないところにも心配りが出来るようになれば本物です。

やや古いなとか、ちょっと違うなと思う点もありますが、彼の経営哲学がよく伝わってくる良い本だと思います。一読をお薦めします。

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2008年7月 5日 (土)

ロジックジャンプ

最近読んだ本にリクルートのフリーペーパーであるホットペッパーの誕生物語を描いた“Hot Peper ミラクルストーリー”がある。
フリーペーパーのビジネスモデルに興味があって読んだのであるが、読み物として結構おもしろいし、リーダーシップの勉強にもなった。

その一節にロジックジャンプを信じるというのがある。
ホットペッパーの営業マンは、毎日新規の飛び込み営業をするそうだが、一つの店に複数の営業マンが訪れてしまうことがたびたびあるそうだ。これ自体、営業の教科書から言うと問題だということになるかも知れないが、言いたいことはこのことではない。
飛び込み営業の常として、最初の内は、「じゃまだ」とか「用はない」とか追い返されるのだが、何度も通ううちに、「大変だね」とか、「頑張るね」とか、「お茶でも飲んでいったら」と声をかけてもらうようになる。これもよくある話しだ。

そこへ、全く新しい別の営業マンが飛び込みで訪問すると、店主が「うちの担当は○○さんだよ」と言い出す瞬間があるそうだ。まだ取引もしていないのに担当になっている。
要するに、心理的なつながりが生まれることで、理屈を超えた言葉が発せられる。この瞬間を「ロジックジャンプ」と呼ぶそうだ。

すごくよく分かる。
というのも、私もコンサルタント時代にずいぶん新規顧客開拓に精を出したが、顧客になっていない社長さんが、他のコンサルタント会社の人に、うちがコンサルティングを頼むとしたら内田さんに決めてるからという言葉を聞いて、うれしく思ったことが何度もあったからだ。

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