2011年1月18日 (火)

エンデュアランス号漂流

今日は久しぶりに経営者の方に読んでもらいたい本の紹介です。10年以上前にBCGの同僚でイギリス人のDavid Deanという友人から読めと言われてもらった本ですが、英語版のために読まずにいたら、幸いなことに2001年になって日本語版が出ました。早速読んでみましたが、とんでもない話でした。紹介するのが10年も経ってしまっているのはご愛敬です。

中身はアルフレッド・ランシングという人の書いた南極大陸探検隊を襲った悲劇と奇跡の生還について書かれたノンフィクションです。しかし、全編アーネスト・シャクルトンという一人の男のリーダーシップについて書かれた本と言っても過言ではありません。

Endurance

とにかく絶望的な状況の中でリーダーとはどうあるべきかを教えてくれるストーリーです。
一言で言えば、そうした状況でリーダーに求められるものは、教科書に書かれているような格好良いあるいはきれい事のリーダーシップではなく、「信念」であり、「忍耐」であり、「自信」であり、「実行力」と言うことになります。しかし、こう言い切ってしまうのがはばかられるほどの壮絶なリーダーシップであり、こんなことが現実に起きたのかという驚きです。
自分がシャクルトンの立場に置かれた時に、どこで挫折するだろうか、考えてみるのも面白いと思います。

小説より面白いです。私が保証します。

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2009年1月26日 (月)

創造力復刻

以前より、経営者が読むべき本として私が強くお勧めしてきた西堀榮三郎氏の「創造力」(講談社刊)であったが、あいにく出版社で絶版になっており、なかなか手に入りにくい状況になっていた。
ところが知らぬ間にこの本が形を変えて復活していた。朝日新聞社の朝日文庫より「技士道十五ヶ条」と改題されちょうど1年前の2008年1月に発売されていたのである。
内容は全く同じと言っていいのだが、章立ての順番や小見出しが変わっている。同じ本と言っていいだろう。
それにしても西堀さんのせっかくの名著を何でこんな変な題で出し直したのだろう。せめてリーダーシップと創造力といったタイトルにして欲しかった。

しかし、これが登場したことで、ますます私が皆さんに自信を持って勧めることが出来ます。まだ読んでいない方は、是非読んでください。
丹後のちりめん織りの女性たちの話は涙なしでは読めないいい話です(いつもの通り、少し大げさな表現ですが)。

創造力の復刊を教えてくれたjanaさん、どうもありがとうございました。感謝します。

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2008年1月 6日 (日)

創造力の感想文

以前送った単行本「創造力」について、小泉さんという方から以下のような感想を寄せていただきました。皆さんにご紹介します。

このお正月に熟読いたしましたので,感想をご連絡いたします。

◆【感想】:「虚心坦懐に物事を見つめ,溶け込むことが創造力に繋がる」

 本書の本質は,「何の先入観ももたないで虚心坦懐に物事を見つめる」,「そこに溶け込んでいく」(p.43)という西堀さんの言葉に表れていると強く感じました。そして,それを根底で支えているものは,技術者として(人間として)の心の持ち方なのではないでしょうか。(心の持ち方は人間力と云ってよいのかもしれません)

 この「虚心坦懐に物事を見つめる」,「そこに溶け込んでいく」という言葉は,本書の様々な場所で,その形を変え出現し,そのたびに私の心に深くしみこんでいきました。

 例えば,

・非常識に考える
・大馬鹿者(大物)が必要なのである
・ちょっと他の何人も気のつかないようなことを思いつく能力をもつ
・大事なことは,相手の考え方や人格を尊重することであろう(異質の協力)
・子供たちがガラクタをもって遊ぶときのような,物事を素直に見る精神が無くてはならない
・他にもたくさん・・

 などが,その良い例だと思います。

 さらに,リーダーシップや人間形成についても,詰まるところ,製品の品質管理と同様に「虚心坦懐に物事を見つめ」,「そこに溶け込んでいく」ことが大事だと感じました。人へ,自然へ,溶け込んでいく。

 もちろん人間ですから,統計的管理などはできませんし,そのような管理はむしろ合わないように思われますが,しっかりと人間というものを観察し,微細な人間の心の変化に気付き,細かな配慮ができるその心・精神は,本書の本質と重なるように思います。

 南極での話やちりめんを織る娘さんの話も,その本質を捉えているのだと感じました。そして,私は,この真実(本書の本質)に心をわしづかみにされ,強く感動をいたしました。

 虚心坦懐に物事を見つめ,自分が向き合う対象に溶け込んでいく。

「新年早々,本当に良いものを読んだな」と心からそう思います。

 私の人生(まずは2008年)においても,改めて,相手の考え方や人格を尊重するように努力し,みんなが幸せになるように貢献できればと思います。

 このたびは本当にありがとうございました。重ねて御礼申し上げます。

 本年もブログを楽しみにしております。

小泉さん、どうもありがとうございます。このように自分がやったことが人の役に立ったとすれば、大変うれしいことです。

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2007年11月20日 (火)

創造力感想文(続き)

創造力の感想文をたくさんもらっています。
皆さん遠慮っぽくて、ブログにアップしてくれないので、一部を私の方で転載しています。

まずは、以前早稲田のビジネススクールで私の講義を取ってくれた植木さんからです。

「読み終えた多くの方々がこの本を通じて多くの示唆を得たように、私もこの本を通じて改めて確信したことがありました。

 それは、今後、社会や経営のリーダーを目指すものは、仮説思考力を身につけるべく、常日頃から仮説思考力を鍛える訓練をしなくてはならないということです。

「創造力」P255にこのようなことが記されています。
「リーダーは、部下からの新しい提案の相談を受けたときに、そのアイデアの着想の実現可能性を認識させることである。実現可能性を立証するには、その着想全部をやってみる必要はなく、それが可能であることを示すだけでよい。ポイントがどことどこにあるかを要領良く見つけて、そこさえ押さえれば可能性が立証できることを担当者に教えてやる。」

 つまり、部下から提案を受けた際に、上司に仮説思考力がなければ、実現可能性を判断することができないために方向づけをしてやることができない。結果として、せっかく貴重な提案もふいになってしまっているケースが、多くの企業の中で見られるのではないでしょうか。今では社員が新たな商品やサービスを提案できる提案制度のような類のものを取り入れる企業も増えていると聞きます。しかし、そもそもリーダーや上司に、部下からの提案を受け入れられる能力(実現可能性を判断できる能力)がなければ、単なるハコモノに過ぎません。肝心なことは、新しい提案からインパクトある成果を上げたければ、その前に「リーダーや上司は、仮説思考力を身につけるにはどうしたらよいか?」という大論点に対する打ち手を考えないといけないことです。」(以下略)

次に蒲池さんからです。

「お礼のご返事がおそくなり、申し訳ありません。
「創造力」読ませていただきました。
創造力の出発点である「個性(人間性)」を尊重し、
労働に影響する「働く」「考える」「喜ばれる」の3要素
をうまく循環させ、組織を活性化させ運営していく。
その実現にはリーダーの役割が重要である。
ということが、特に印象に残りました。
「自分個性を主張しながらも、他者の個性を認める」
ということも、自分がリーダーになったときには
一番肝に銘じておきたいことです。

2回読みましたが、何度でも読み参考にさせていただきたいと
思います。
この度は、素晴らしい本を無償で送っていただきありがとうございました。そして、ご返事がおくれましてすみませんでした。

わたしも、地方で働いており、大学院などアカデミックな所に
通えませんので、先生のブログいつも拝見し参考にさせて
いただいています。今後もお仕事頑張ってください。

最後に、お忙しいところ恐縮ですが、
「リーダーシップ」で一番重要なものはどんなこととお考えですか?
是非、参考までに聞かせてください。
ちなみに、私は「決断して、責任をる」ことだと思います。」

蒲池さんの問に対する答えは、一義的というか直感的には「決断して、実行すること」と思いますので、蒲池さんの意見にかなり近いです。しかし、最近はそれ以上に、後継者を育てる、あるいは組織が継続的に機能する仕組みを作ることが、もっと重要かなと思うようになりました。人物的には大嫌いですが、徳川家康がその資質に優れていると思います。

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2007年9月19日 (水)

創造力(続き)

昨日、ソウルから戻ってきました。(タッチの差で日付が変わってしまいました)

海外にいる間はブログ返信用のメールを見ることが出来なかったのですが、9月14日に紹介した経営者向けの本第一弾「創造力」のプレゼントですが、案の定大変多くの方から創造力の本の希望を頂きました。抽選扱いの方は既に50名を大きく上回っているのですが、経営者の方はまだ100名に達していません。

経営者の方が100名にならなければ、その分は抽選に回したいと思います。締め切りが今月いっぱいですので、結果が出るまでもう少しお待ちください。

それにしても、知っている方はもちろん、全然知らない方からたくさんのブログ応援メールを頂きました。読んでいただいてもらって、ありがとうございます。書く方も励みになります。

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2007年9月14日 (金)

西堀榮三郎「創造力」

若干僭越ではあるが、長年のコンサルタント経験を通じて、これは経営者に読んでもらいたいという本に何冊も遭遇した。その中から厳選してと言うと格好いいが、要は私の独断と偏見で20冊を紹介したいと思う。一部は経営コンサルタントへ薦める本と重複するがなるたけ別の本を選んでいる。

記念すべき1冊目は、西堀榮三郎著「創造力」(1990年、講談社)である。

Souzouryoku

ちなみに西堀榮三郎さんは、TQC活動などで知られる学者でもあるが、同時に南極越冬隊長やヒマラヤ登山の隊長を務めた活動家でもある。念のために裏表紙にある彼の略歴も載せておく。

Nishibori

この本のすばらしいところは、人間の創造力というのは誰にでも備わっているもので、それは気持ちの持ち方や有り様から出てくるところが大きいと言うことを教えてくれるからである。
素人の機織り娘たちが、仕事がしたい一心で自動織機の使い方をマスターして、先輩たちを追い抜いてしまった話などは涙なしには読めないくらい感動した。
あるいは、南極で燃料を遠くから運ぶために、包帯と氷でパイプラインを作った話などは、思わず「うーん」とうなってしまった。

読み物としてもおもしろいが、企業経営をする上での新しいアイデアの出し方・生かし方、あるいは改革を行う上でのリーダーのあり方など、学ぶところの多い本である。
この本を読んで以来、私は経営者の方々に社内にエジソンやニュートンのような人を期待してはいけない。もちろんそうした英雄がいればラッキーであるが、そんな幸運はまずあり得ないし、幸運を頼りにした経営はすべきでない。それより、普通の人たちが知恵を出し合って新しい技術や製品、問題解決の方法を生み出していく仕組みを作る方がよほど効果があると説いている。

BCGの後輩たちにも私のコンサルタント人生20年強の中で、一番役に立った本として紹介したが、残念ながら今は絶版になっている。こんなに良い本が絶版になっているというのも悔しいがこればかりはどうしようもない。
でもどうしてもみんなには紹介したいと思い、自腹で500冊を購入した。というのも、本屋に並べることは出来ないが、まとめて買ってくれるのなら再版してくると講談社が言ってくれたからである。

ということで、本屋では購入できない本であるが、ブログの読者で企業経営に携わっている方には無料で進呈したいと思っているので、メールをください。先着100名様まで、郵送いたします。送付先の住所、会社名、役職、氏名、連絡先などお忘れなく。締め切りは9月末日とします。
メールアドレスは
creativity@kaz-uchida.comです

ビジネスマンやブログの読者でどうしても欲しいという方には抽選で50名の方にこの本を送りますので、これもメールをいただければ幸いです。こちらはとりあえず、氏名&メールアドレスで結構です。こちらも締め切りは9月末日です。
こちらのメールアドレスは
blog@kaz-uchida.comです。

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