昨日のNHKスペシャル、日本とアメリカの3回目は「日本野球は“宝の山”」と称して、アメリカのメジャーリーグのボストン・レッドソックスの経営が取り上げられていた。アメリカのメジャーリーグが日本のプロ野球と違って、まるで企業のように経営している話を取り上げたドキュメンタリーでおもしろかった。
ちなみのボストン・レッドソックスは2000年頃に倒産の危機にあったのを現オーナーが買い取り、再建に成功したそうである。彼は元々は投資で巨額の富を築き、メジャーリーグ球団を買収したそうだが、彼は金融における投資とリターンの関係を野球に持ち込んで成功したと紹介されていた。その担い手として雇われたのが当時弱冠28歳のセオ・エプスタインだった。
彼はこれまでの野球の常識として使われている評価尺度ではなく、新しい評価尺度を導入した。これによって、より勝率の高くなるチームを作れると同時に、そうした選手は過小評価されているので、大変安く雇い入れることが出来る。
たとえば投手を評価する指標として、従来もっとも大事とされていた防御率ではなく、新たな指標として三振÷四球を使ったところ、日本の岡島が大リーグ平均を遙かに上回る良い成績だったのに目をつけて、FA宣言すると同時に雇い入れた。岡島の場合は、従来の尺度ではそれほど高く評価されていなかったの、大変安い年俸で雇えたそうである。
こうしたことの結果、買収当時から売上は5倍になり、今や1100億円を超えていると言うから驚きだ。
このあたりの話は以前BCGの同僚の御立氏から勧められてとてもおもしろかった「マネーボール」という本の内容にそっくりだった。ある意味オークランドアスレチックの二番煎じなのだが、金のない中で苦労して作り上げたアスレチックモデルと、金の力にものを言わせて作り上げたレッドソックスモデルといった違いなのかもしれない。
いずれにしてもオークランドアスレチックスのGMだったビリービーンは偉大だったなと思う。興味のある方は、単行本の「マネーボール」をご覧ください。野球に興味がない人でもビジネス書として、あるいは企業変革物語として大変ためになる本です。
またこの番組の中でも日本のプロ野球が親会社の広告等して経営されているのに対して、アメリカのメジャーリーグは単独の事業として経営されている点が大きく異なると紹介されていた。このあたりは、Jリーグとプロ野球の違いと全く同様である。
たとえば、メジャーリーグの放映権はリーグ全体で管理されており、全体で年間2000億円に上る放映権の内、海外のテレビやインターネットでの放映権分はリーグに属する30球団に均等に配分されるそうである。
このあたりの野球とサッカーのビジネスモデルの違いについて興味のある方は、私が以前書いた下記の記事を参照してください。
プロ野球とJリーグは本当に競争しているのか(2007.1.8)
プロ野球のビジネスモデル(2007.10.25)
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