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2011年3月22日 (火)

危機のリーダー

日本が大事な時期に長期に海外に出てまして、ブログの更新を怠ってしまいました(反省)。地震の時も日本にいなかったため、何となく申し訳ない感じです。

さて、前置きはこれくらいにして、今回の震災におけるリーダーシップについて一言。

昨日3月21日付の朝日新聞に掲載されていた、宮城県と岩手県でそれぞれ壊滅的打撃を受けた2つの自治体の首長インタビュー、宮城県南三陸町町長と岩手県陸前高田市の市長。どちらの首長も良い受け答えをしていますが、南三陸町の佐藤町長が特に素晴らしい。尊敬します。

彼が何を言っているかと言えば、まず今の緊急事態をどうしたら良いかについて語っています。たとえば「物資はいくらあってもいい」とか、あるいは「避難所にいる人だけが困っているわけではなく、幸い自宅が無事で自宅にいられる人間も買い物に行けずに困っている点では避難民であるから保護する必要がある。そういう人に物資や食料が行くように配慮しないとだめである。」しかし、こうした受け答えは、ちょっと優れたリーダーなら出来るだろう。この後に言っていることがふるっている。
「ありがたいのは避難所ごとに自治組織が出来、そこでそれぞれのリーダーがいて自主的に行動してくれている。役所はそのサポート役で良い。これまで行政ではなく、住民全体で街作りをしてきたのでこういう人たちがうまくやってくれている。」

さらには「町の再生は難しい。それは津波に流された更地をもう一度区画整理しても、もう低地にすむのが嫌だと言って、そこに人が戻ってこなければ町は再生しない。
道路や建物、インフラなどのハードの部分はお金をかければやれます。でも、こういう災害を受けて、なお、ここに住むかどうかという心の問題は、私たちではどうしようもないところがあります。」
「町外、県外に出ようとする住民も出てくる。その受け入れ先も探さないといけない。」
自分の町を出て行く人の世話まで見るというのは結構つらい話だが、彼はそれを自分の仕事として受け止めている。
日本のリーダーは、日本には将来がないと出て行ってしまう人まで考えた日本の国作りをやっているのだろかと、ふと思う私です。

このように緊急時にあって、将来を見据えたことを考えられるリーダーはそうはいません。普通は目の前に起きたことにどう対処するかに精一杯で、後先考えずに行動してしまうからです。

だからといって、佐藤町長が今起きていることから逃げているかと言えば、それは違います。彼は「今職員がやっていることは避難所対策だけだ」と言っているように、少ない職員(36名も行方不明)でやれることは何か、やるべきことは何かも考えています。

最後に、「起きてしまったことはしょうがない。この現実からは逃れられません。でも、後ろは向きたくない。私が前を見なかったら、町民の皆さんも前を見られない。前を見るしかないんです。」とインタビューを締めくくっている。

感動したと同時に、彼がいるのなら、南三陸町は再生できると信じた。

ちなみに佐藤町長は高校野球の甲子園でベストエイトまで行ったことがあるスポーツマンだ。今回も3階建ての役所の屋上で、それを超えてきた波にさらわれかろうじて手すりにつかまって難を逃れたという。頭の上を水が3分間近く通っていったという。

ここから先はおまけのような話だが、私の考えを述べておく。
言うまでもなく危機におけるリーダーシップで大事なことは、まず今起きている火を消すことだ。これは言うのは簡単でも実際には難しい。福島原発を見れば、それはわかる。何が起きているかは把握できるのに、なかなか解決できない。

しかし、一方で当面の問題を解決した後に何が起きるのか、その新しい課題をどう解決したら良いかの判断だ。新しい組織や仕組みを作るにはビジョンが必要だ。それを見通す先見性が求められる。それなしに今起きている問題を解決しようとすると、後からこうしておけば良かったと悔やむことになる。

今回の大地震については、今起きている被害をどうマネジし、あるいは拡大をどう防ぐか、これは枝野さんの仕事だろう。一方で、震災後の被災地あるいは東北地方太平洋沿岸、あるいは福島県の原子力発電所周辺をどうしていくのか、さらには日本経済全体をどう立て直していくかを考えるのは首相の仕事だろう。後者が全く見えてこないのは寂しい気がする。

私は個人的な意見として、危機は必ず来る、あるいはトラブルは防ぎようがない。したがって、起きないようにすることに全力を注ぐのではなく、起きてしまった後にどうしたらよいのかをあらかじめ想定しておくことが大事だ。これには「起きうるリスクはすべて想定して、対策を講じておくべきだ」という異論があることは百も承知だ。しかし、どんなに防止策を講じても、それを凌ぐ自然災害は起こるし、人災も起こる。また、防止策にはコストがかかる。

それより、起こりうるリスクを想定して、起きた場合の対策の考えておけば、何も考えておかなかったよりは、遙かにましな対応が出来る。それが人間の優れている点だと思う。

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コメント

いつも拝読しております.
今回のリーダーシップ論,私も同様のことを考えておりました.
「リスクヘッジ」ばかり考える日本の多くの企業における管理職.だから不景気の波に埋もれているのだと思います.
好調な企業における経営者は「リスクテイク」できているから今がある.即ち,先見性があるということだと思います.
チープな言葉になってしまうかもしれませんが,チャレンジ精神のない,志のないリーダーほど不要なものはないと言ってしまっては過激でしょうか?
東北魂に乾杯です!がんばろう日本!

投稿: isao | 2011年3月23日 (水) 23時39分

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