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2011年3月

2011年3月29日 (火)

WIN-WIN-WINの時代の終わり

先日、雑誌「財界」のインタビューを受けたのですが、それが先週号に記事として載りました。
もちろん、震災発生前のインタビューなので、少し現状の空気とはずれた大所高所の話になっているかも知れませんが、最近の私の持論が載っているのご容赦下さい。

Zaikai_2

一つは、日本の国が抱える構造的な問題、すなわちかつての日本の強みであった、国と企業と個人がWIN-WIN-WINであったのが終わりを告げてしまった。したがって、これからの企業や個人は国を頼って生きてはいけないということを言っています。
かつては国が成長すると企業も成長し、結果として従業員も幸せになるという方程式でした。今は、国が成長するのがきわめて難しくなっています。その中で、今までと同じやり方では、LOOSE-LOOSE-LOOSEになってしまいます。そのため、それにいち早く気づいた企業が自らは何とか収益を上げようと躍起になっています。結果として、企業の利益は上がるのに、そこで働く社員は必ずしも幸せでないという絵柄になってしまいました。これを何とかするためには、個々人が国や企業にぶら下がっていてもダメなんだと気づくことであり、その結果個人が頑張れば、企業も成功し、もしかしたら国も良くなるかも知れないという逆の方程式を狙うしかありません。

さらに、日本の国内だけでは、成長機会がないために多くの日本企業がグローバル市場を目指しています。しかし、日本の企業が日本という国境を自ら定めたり、日本企業であることにこだわりすぎると自由度を失い、ビジネスチャンスを逃すので、東アジア全体があたかも一つの国であるがごとく振る舞って行動した方が良いというのが二点目です。東アジアの消費者のニーズはきわめて均質化しつつある。これらをうまく利用するには、日本企業だ、韓国企業だと言っていてはダメで、域内の企業として生きるべきだというのが私の持論です。東アジア企業構想と勝手に言ってます。

最後に、日本はこれまでは世界第2の経済大国であったために自国経済が大きく、結果としてあらゆる産業を持つことが出来、国としてはフルセット型の産業構造を保持できた。ところが、日本の国としての成熟化(実際は衰退が始まっている)、中国・インドの台頭などで日本の相対的な地位が下がっており、これまでのように全ての産業で競争力を持つことが難しくなっている。その結果、日本は特定の産業でしか競争力を発揮できないし、かつそこに存在する全ての企業が成功するのは難しい。今、日本が国としてなすべきことは、育てる産業を選ぶことではなく、捨てる産業を決めていくことではないかと主張している。ただし、企業をつぶすという意味ではなく、国として育成したり、保護するのをやめていくと言うことである。

詳しく知りたい方のためには、本文のPDFを添付しておくので、ご覧下さい。

「zaikaikiji.pdf」をダウンロード

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2011年3月28日 (月)

人を育てる

今月の私の履歴書は建築家の安藤忠雄氏だ。大学を出ないで名建築家になり、東大の教授にまでなった人だ。話がとても面白い。

さて、今日3月28日は表参道の同潤会アパートを表参道ヒルズとして生まれ変わらせたときの話だが、その中に地元の地権者との交渉で苦労した話が出てくる。そこに書かれていた言葉が印象的だ。
「建築をつくる行為は、人を育てることに似ている。人間と同じように、敷地にも性格がある。一つとして同じ条件は無い。既存の建物や、街並の風景など、その敷地の個性を的確に読み取りながら計画を進めなければならない。」
「教育も本来、子どもたちの性格に合った形で能力を伸ばすべきだ。」

なるほどなと思うと同時に、果たして私は教育者として、そこまで考えた教育が出来ているだろうかと、大いに反省した。

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2011年3月26日 (土)

危機のリーダーシップ(続き)

先日書いた危機のリーダーシップとは別の視点での興味深い記事がありました。3月23日付の朝日新聞社会面の記事です。

今回の大震災でも非常に大きな被害にあった岩手県釜石市では死者・行方不明者が1000名を超えたそうですが、当時学校にいた3000名の小中学生は一人の犠牲者も出さなかったそうです。

たとえば校庭でクラブ活動していた中学生には、誰からともなく「まず逃げろ」という声が上がったという。あるいはある小学校の児童たちはいったんは校舎の3階に逃げたが校庭に中学生が集合しているのを見て、また校庭に集合し、中学生と一緒に1キロも離れた高台の介護施設に逃げたという。ところが、そこにも波が迫っているのに気がつくと、先生の指示を待たずにさらに上を目指して全員助かったという。いくつかのコメント「低学年の子や近くにいたおばあさんとかの手を引きながら、とにかく走りました」、「とにかく高いところへ、ってずっと教わってきたから」

なぜそういう行動を取れたかと言えば、2004年より小中学生に津波の怖さを教えてきたという。それを指導してきた群馬大学教授の片田教授が子供たちに教えた3つのことというのが興味深い。①揺れたら家に向かわず、とにかく逃げろ②ハザードマップを信じず、状況を見て判断すること③そして、人を助けること。

私が興味深いのは、誰か強力なリーダーたとえば校長や教頭の指示だけで今回の避難がなされたわけではないというところにある。新聞記事なので、子供たちの自主性のみが強調されすぎているきらいはあるが、こうした危機の時に子供たちの自主的な行動がそこかしこで行われたという点に素晴らしさがある。

危機においては、上司の指示を待っていたりしたら、打ち手が間に合わない。あるいは自分の身に危害が及ぶ。もちろん、マニュアルを開いて読んでいるようでは手遅れである。

それより、原理原則を知りつつも、最後は自分で見たことをベースにマニュアルに頼らず自主的に判断して行動するというのが危機において自分を守るのに大切なことです。その際、原理原則を知るというのは大事で、それがなければ人間にはある種の帰巣本能が働くと思いますので、釜石の子供たちはみんな自宅を目指して帰ってしまったのではないかと思います。あるいは、高台を目指さす丈夫そうな建物目指してしまったかもしれません。

釜石市の子供たちに比べて、今回の地震に驚いて自分のビルから飛び出してしまった人や、あるいは歩いて家へ帰った人は、だいぶ危機における判断能力が弱いのではないかと心配してしまいます。当然ながら、地震の時には耐震構造のビルの中にいた方が安全に決まっています。

ということで、今日言いたかったことは、危機においては通常の組織における指揮命令系統は何の役にも立たないという前提で、自分の目で現状判断をし、自分の判断で行動するというのが何より大事であるということです。

釜石の小学生からは
1)原理原則の徹底
2)マニュアルを信じ込まずに、状況を見て自分で判断することの重要性
3)指示待ち族ではなく、自分で判断できるメンバーを育てることの大切さ
を学んだ気がします。

子供でも出来るのですから、我々大人が出来ないわけはないと信じています。

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2011年3月22日 (火)

危機のリーダー

日本が大事な時期に長期に海外に出てまして、ブログの更新を怠ってしまいました(反省)。地震の時も日本にいなかったため、何となく申し訳ない感じです。

さて、前置きはこれくらいにして、今回の震災におけるリーダーシップについて一言。

昨日3月21日付の朝日新聞に掲載されていた、宮城県と岩手県でそれぞれ壊滅的打撃を受けた2つの自治体の首長インタビュー、宮城県南三陸町町長と岩手県陸前高田市の市長。どちらの首長も良い受け答えをしていますが、南三陸町の佐藤町長が特に素晴らしい。尊敬します。

彼が何を言っているかと言えば、まず今の緊急事態をどうしたら良いかについて語っています。たとえば「物資はいくらあってもいい」とか、あるいは「避難所にいる人だけが困っているわけではなく、幸い自宅が無事で自宅にいられる人間も買い物に行けずに困っている点では避難民であるから保護する必要がある。そういう人に物資や食料が行くように配慮しないとだめである。」しかし、こうした受け答えは、ちょっと優れたリーダーなら出来るだろう。この後に言っていることがふるっている。
「ありがたいのは避難所ごとに自治組織が出来、そこでそれぞれのリーダーがいて自主的に行動してくれている。役所はそのサポート役で良い。これまで行政ではなく、住民全体で街作りをしてきたのでこういう人たちがうまくやってくれている。」

さらには「町の再生は難しい。それは津波に流された更地をもう一度区画整理しても、もう低地にすむのが嫌だと言って、そこに人が戻ってこなければ町は再生しない。
道路や建物、インフラなどのハードの部分はお金をかければやれます。でも、こういう災害を受けて、なお、ここに住むかどうかという心の問題は、私たちではどうしようもないところがあります。」
「町外、県外に出ようとする住民も出てくる。その受け入れ先も探さないといけない。」
自分の町を出て行く人の世話まで見るというのは結構つらい話だが、彼はそれを自分の仕事として受け止めている。
日本のリーダーは、日本には将来がないと出て行ってしまう人まで考えた日本の国作りをやっているのだろかと、ふと思う私です。

このように緊急時にあって、将来を見据えたことを考えられるリーダーはそうはいません。普通は目の前に起きたことにどう対処するかに精一杯で、後先考えずに行動してしまうからです。

だからといって、佐藤町長が今起きていることから逃げているかと言えば、それは違います。彼は「今職員がやっていることは避難所対策だけだ」と言っているように、少ない職員(36名も行方不明)でやれることは何か、やるべきことは何かも考えています。

最後に、「起きてしまったことはしょうがない。この現実からは逃れられません。でも、後ろは向きたくない。私が前を見なかったら、町民の皆さんも前を見られない。前を見るしかないんです。」とインタビューを締めくくっている。

感動したと同時に、彼がいるのなら、南三陸町は再生できると信じた。

ちなみに佐藤町長は高校野球の甲子園でベストエイトまで行ったことがあるスポーツマンだ。今回も3階建ての役所の屋上で、それを超えてきた波にさらわれかろうじて手すりにつかまって難を逃れたという。頭の上を水が3分間近く通っていったという。

ここから先はおまけのような話だが、私の考えを述べておく。
言うまでもなく危機におけるリーダーシップで大事なことは、まず今起きている火を消すことだ。これは言うのは簡単でも実際には難しい。福島原発を見れば、それはわかる。何が起きているかは把握できるのに、なかなか解決できない。

しかし、一方で当面の問題を解決した後に何が起きるのか、その新しい課題をどう解決したら良いかの判断だ。新しい組織や仕組みを作るにはビジョンが必要だ。それを見通す先見性が求められる。それなしに今起きている問題を解決しようとすると、後からこうしておけば良かったと悔やむことになる。

今回の大地震については、今起きている被害をどうマネジし、あるいは拡大をどう防ぐか、これは枝野さんの仕事だろう。一方で、震災後の被災地あるいは東北地方太平洋沿岸、あるいは福島県の原子力発電所周辺をどうしていくのか、さらには日本経済全体をどう立て直していくかを考えるのは首相の仕事だろう。後者が全く見えてこないのは寂しい気がする。

私は個人的な意見として、危機は必ず来る、あるいはトラブルは防ぎようがない。したがって、起きないようにすることに全力を注ぐのではなく、起きてしまった後にどうしたらよいのかをあらかじめ想定しておくことが大事だ。これには「起きうるリスクはすべて想定して、対策を講じておくべきだ」という異論があることは百も承知だ。しかし、どんなに防止策を講じても、それを凌ぐ自然災害は起こるし、人災も起こる。また、防止策にはコストがかかる。

それより、起こりうるリスクを想定して、起きた場合の対策の考えておけば、何も考えておかなかったよりは、遙かにましな対応が出来る。それが人間の優れている点だと思う。

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2011年3月 1日 (火)

手書きノートをiPhoneに取り込む方法

最近、キングジムからは知的生産性向上のための小道具がいろいろ発売されている。少し前に出たヒット商品ではブログでも紹介したポメラがある。

最近話題の製品に同じキングジムから出た「SHOT NOTE」がある。これは私が愛用しているロディアのメモ帳と同じコンセプトである。違いは四隅にマークが打ってあって、iPhoneでの取り込みが簡単にできるようになっている点があげられる。

Shotnote001_2

発売直後から人気で売り切れが続いており、私の手元には大きなサイズ(Lサイズ)しかないが、それを元に実際に使った様子を紹介しよう。

まず、ノートに手書きでメモを取る。筆記具や色は問わない。
Shotnote003

次にこれをiPhoneのカメラで撮影する。その際に、キングジムから無料で提供されているSHOTNOTE専用のソフトを使用する。

その際、撮影画面上の4隅に黄色の枠取りが現れるので、それがSHOTNOTE上の角にある黒いマークを含むように撮影するのがポイントだ。

Shotnote002

そうすると、たとえ斜めから取った映像でも、きちんと長方形のメモに修正してくれる。

修正してくれた画像がこれ
Shotnote004
全く正確に再現とは行かないが、実用上は支障がないように形の修正を行ってくれる。鉛筆の文字がやや薄かったり、赤ボールペンで書いた字があまり赤くないのがわかるが、実用上は支障はない。

また画面上に書き込まれた番号や日付も自動的に読み取ってくれる。
Shotnote005
日付やNOが正確に記入されているのがわかる。

それを撮影するとショットノートのフォルダに保存されるのだが、そのままevernoteに送信できるのが便利。
実用度はかなり高い。興味深いので、Sサイズのメモが届いたら、しばらくロディアの代わりに使ってみようと思う。

キングジムの公式HPにも使い方が載っているので参考にしてください。
http://www.kingjim.co.jp/sp/shotnote/manual.html

実は同じような機能はiPhoneアプリの「CamScanner」というソフトにもあり、それもかなり便利です。たとえばロディアで使う場合は、以下のようにします。

Camscanner001

角を示す印が丸印で出るので、それを手動で四隅まで持って行きます。

Camscanner002
うまく四隅確定できたらレ点を押します。

Camscanner003
そうすると、きれいに長方形に修正されます。
私が使っているのは無料版ですが、多機能な有料版もあるようです。

機能はどちらも似たようなものですが、SHOTNOTEの方が、四隅の調整を自動で行う点や、No.や日付の自動入力が行われる点が優れています。
一方で、CamScannerの方はどんなメモ帳でも、普通の紙でもOKという点が優れています。メモ帳もロディアが180円に対して、SHOTNOTEは320円ですから、コストはCamScanaerに軍配かな。ということで、両者一長一短です。


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