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2010年4月20日 (火)

30倍売る方法

昨日のカンブリア宮殿のゲストは、舞茸の養殖で市場シェア50%、その他のキノコや野菜を含めた売上が270億円という雪国まいたけの社長大平喜信(おおだいらよしのぶ)氏だった。

大平氏は不可能と言われていた舞茸の養殖に成功し、それを工場生産化することで生産量を飛躍的に伸ばし、かつ価格を大手が算入しても太刀打ちできないところまで下げることで圧倒的なシェアを築いて成功した経営者だそうだ。

しかし、私が感心したのはそのことではない。彼は舞茸の成功に安住することなく、常に新しいことにチャンレンジしていることだ。現在は松茸の養殖にチャレンジしているらしい。

さて、その彼がキノコだけでなく他の野菜も含めた1-2人用のカット野菜のパック販売に取り組んでいる姿勢が印象的だった。肉や魚が細かくされて販売されているのに野菜だけが未だに大根一本、キャベツが一つあるいは半分単位で売られているのは消費者の真のニーズに応えていない。そこで、それらの野菜をあらかじめ数種類混ぜた上で、細かくカットして売れば、1-2人用の家庭ではムダが出ないのではないか。そして、それを一パック100円で売る。そうすれば消費者も余分なコストを払わなくて済む。ここまでは通常の経営者でも考えるかも知れない。

その後の話が興味深い。現在カット野菜は既に毎月6万パック売れており、シェア一番になったそうであるが、大平氏はまったく満足していない。役員会で月200万パック売る方法を考えろと言う。
彼によれば、そこで月10万売れと言うと今までの延長上の当たり前の策しかでてこない。ところが200万と言えば、今までとはまったく違う発想が出てくるという。たとえば広告費を50億円使いたいとか、営業マンを100人雇いたいとか言い出す。そうして経営の選択肢が広がるという。そうなれば、いろいろな戦略が浮かんでくる、そしてその中から、ビジネスとして一番いいのが月100万パックの販売なのか、30万パックなのか考えていけばよい。素晴らしい発想だ。

これは企業がコスト削減に取り組む場合にもまったく同じことが言える。前期に比べて2割コストを下げろと言うと、これまでの原価低減の延長上でものを考える、部品メーカーを叩いて仕入れ価格を下げるとか、工場の無駄をなくして間接経費を減らそうとか言う発想である。結果として1割くらいのコスト削減に落ち着く。
それに対して、コストを半分にしようとなると、これまでの延長上ではまったく歯が立たない。結局、設計から見直して部品点数を半減させたり、あるいはこれまでとはまったく異なる素材を使うとか、従来の取引先ではなくBRICSのメーカーから仕入れるとか、発想の転換が必要になる。

ここまで書いてきて、自分の経験を思い出した。BCGでも今から10数年前には中途採用のコンサルタントは年6-7名しか採用していなかった。アメリカのトップスクールに留学しているMBA正の数から考えても順当な数だった。しかし、組織が成長するにつれてそれではとても足りなくなってきた。そこで採用の責任者だった私は中途コンサルタントを毎年20名採る方法を考えろと言って担当者をあきれさせたことがあった。
しかし、その結果今までのアメリカのビジネスクール一辺倒の採用方法から、多様なルートを開発して様々な人材を採れるようになり、今では中途だけでも優に20名以上の人材を採用している。
ちなみに私が入社した80年代半ばでは毎年1-2名しか中途採用していなかった。

人間も企業も時にはジャンプが必要である。

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コメント

是蘭さんへ

売上・コスト・人数ではなく、時間でやる。
大変チャレンジングですが、成功すれば野口悠紀雄さんの調整理法に匹敵するベストセラーがかけそうですね。

うまくいったら、教えてください。

投稿: 内田和成 | 2010年4月22日 (木) 01時27分

是蘭です。これを「時間」でやれないか挑戦します。有意義な活動に使う時間30倍、あるいはするべきタスクの処理時間1/30とか。先日展示へのご来訪ありがとうございました。

投稿: 是蘭 | 2010年4月20日 (火) 15時08分

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昨日、テレビ番組「カンブリア宮殿」にて、「雪国まいたけ」の大平社長が出演されていて、 ストイックでゆるぎないビジネスの精神が語られていました。 ●まいたけの養殖という不可能に挑戦する事(チャレンジ精神) ●シェア1番になってもなお30倍もの目標を掲げる事 ●自分に負荷をかけて幸せのハードルを低くし、決してあきらめない事 など、 ビジネスでなくても取り入れられる「学ぶべき事」にあふれていました。 もちろん、サイト運営にもバッチリ当てはまります。 インターネットは世界とつながっているのですから、 立ち上... [続きを読む]

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