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2009年8月 4日 (火)

驚きの広東省

8月2日から4日まで、大学の仕事で中国の広州に行って来ました。広東省が省の幹部に行っている研修に早稲田大学から教員を送ってくれてと言うことになり、一人は行政の専門家の先生が選ばれ、なぜか私がもう一人となりました。総長と太田常任理事と一緒に行ってきました。広州は2度目でしたが、前回と違って非常に密度の濃い3日間でした。

そもそも広東省のことをほとんど知らなかったのですが、香港の後ろに控える省で経済特区の深せんを持つくらいのイメージでした。行く前にもらった資料や行ってから教えてもらったところによれば、面積は18万平方㎞と日本の半分しかないのに、人口はほぼ1億人もいるのです。500人を超える人口密度です。しかも、出稼ぎなどを併せた実質人口は1億人をはるかに超えて、ほぼ日本の人口に匹敵するようです。
さらにGDPは中国の省の中で一番だと自慢していました。
もちろん総額であって、一人当たりではまだまだのようですが。まさに一つの国といってもいい大きさと経済力です。アメリカのカリフォルニア州がよく一つの国にたとえられることを思い浮かべました。

広州の場所
Aの記号のついているところです

今回の聴衆は、広東省の書記(省でNO.1の人)を始めとして、省長や幹部数百人でした。ちなみに書記はワン・ヤンさん(さんずいに王のワンと洋と書くヤン)といい、中国共産党の中央政治局委員を務める超大物です。
そうした人が私ともう一人の塚本先生のために併せて2時間も使ってくれるのですから、期待の大きさがよくわかります。

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右の方に写っているのが、一緒に講演を行った公共経営研究科の塚本教授です。

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立派な案内幕でした。幹部の方々が写った写真もあるのですが、そちらはブログにアップして良いのか分からないのでカットです。

一体何を話したかといえば、日本の企業がこれまでどのように発展して、どのように壁にぶち当たってきたかという話でした。日本企業の成功と失敗から学びたいとのことです。これだけ成功してもまだ日本から学ぼうという姿勢に感心しました。

講演はまあまあうまくいったと思うのだが、その後の質疑応答はさんざんでした。相手の言っている質問が通訳のせいでよく分からず、全くとんちんかんな答えをしてしまった。うーん、残念。

さて、向こうでのエピソードをいくつか紹介しましょう。

初日はまず南方日報という新聞社のインタビューでしたが、これは以前も北京で新聞のインタビューを受けたことがあり、そんなに問題なく進行しました。ただ、本当に記事になるのかどうかは全く分かりません。
ちなみに前回は私の仮説思考が中国語で発売になったのを記念して経営者の集まりで講演をやったときに併せて行ったのです。

Kasetsushiko
中国語以外にも韓国語にも訳されています。

初日の夜は早稲田大学で以前1ヶ月という長丁場の研修を受けた広東省の企業の経営者たちとの会食でした。広東省から派遣されたということで、どなたも自信に満ちあふれた顔をしているのが印象的でした。


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そのうちの一人が支配人を務める白天鵞ホテル(珠江沿いの絶景の高級ホテルです)での記念撮影です。

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ホテルから二次会に向かう途中での珠江の風景です。とてもきれいな景色でした。夜だったせいかもしれません。

その二次会でお邪魔した空中一号というレストランには圧倒されました。早稲田で研修を受けた一期生の方が経営しているのですが、中国で魚介類を中心としたチェーンレストランを経営して成功し、稼いだ金をつぎ込んだ大変豪華なレストランでした。
人気集中で、何ヶ月も先でないと予約が取れないそうです。
ビルの30階くらいに4フロアほどあるのですが、部屋数は30数室しかなく、すべて個室です。しかも一部屋の利用料が最低でも10万円くらいするそうです。各部屋や廊下には1枚数百万円から数千万円する絵や書が至る所に飾ってありました。
ワインのストックも半端ではなく、ロマネコンティ、シャトーマルゴー、シャトー・ムートン・ロートシルトなど超有名銘柄が冗談抜きに山と積まれていました。我々が案内してもらった最上階の部屋はなんと最低ルームチャージが10万元(150万円くらい)するそうで、とんでもなく豪華な部屋でした。何しろ、天井にドームがついていてそれが開閉するのです。驚きました。その時の写真を付けておきます。


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イヤー天井が音楽と共に開いて、月とタワーが出現したのには本当に驚きました。

二日目は午前中が既に紹介した講演会で、その後、省の幹部の方と食事をし、午後は工場見学に出かけました。それまでの強行軍で疲労困憊していたのですが、工場を見るのは楽しいので、無理して行ってきました。

最初に訪れたピアノ工場はPearl River と言うブランドの広州珠江ピアノ会社でした。
工場自体は極めて労働集約的で、多くの従業員がほとんど手作業でピアノの組み立てや加工、調整をやっていました。工場もとても近代的とは言えない代物でした。しかし、何がびっくりしたかといってそのマーケットシェアです。世界一の生産量で、世界シェアが19%だそうです。てっきりヤマハが一番かと思っていたので、かなり驚きました。世界需要が40万台くらいで、そのうち珠江ピアノは約8万台の生産量だそうです。ヤマハは5万数千台だと言ってました。しかし驚いたのはその後の話です。世界のピアノ需要の70%が中国なのだそうです。したがって、中国でNO.1になると自動的に世界一になると言うわけです。昔、全く音楽センスがないのにオルガンを習わされたことを思い出しました。中国では子供にピアノを習わせるのがブームというか教育に金をかけていることの証のようです。
さらに驚いたのが、ピアノの世帯普及率はまだ0.3%だということです。それで既に世界需要の70%ですから、これが1%になるだけでも世界需要の90%が中国と言うことになります。恐るべき数の力です。
品質はヤマハ並みで価格は三分の二くらいなようです(これは社長の受け売りです)。ヨーロッパのピアノメーカーがヤマハをバカにしていたのと同じことが将来起こるのでしょうか?

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工場見学の途中に見た高層マンションの数々、こちらでは一戸建てはほとんどないそうです。

二つ目はこれもPearl Riverと言うブランド知られている珠江ビールでした。何でもPearlRiverには少し驚きました。こちらは既にサントリーの上海工場なども見ているので、特に新たな感激はなかったです。ただし、既にリサイクルへの取り組みや水の使用量が世界的に見ても少ないという説明には感心しました。

ビール工場とピアノ工場の見学には広東省で夏の間インターンをやっている広東外語大学の学生が3名ついてきたので、少し話をしてみました。出来れば、役所に就職したいのだが、大変狭き門だと言うことでした。優秀な人が皆国家公務員を目指していた昔の日本に近いのかなという印象を持ちましたが、なにぶんサンプル数が少ないのでよくわかりません。
それよりおもしろかったのは、ピアノ工場で日本にはヤマハ以外にカワイピアノというブランドがあると私が説明したときでした。彼らが一斉にエッー「かわいい」ピアノと言いました。もちろんかわいいピアノではなく、カワイピアノだと訂正しましたが、彼らによると『かわいい』はそのまま中国語として通用するそうです。ニューヨークでも『かわいい』がそのまま英語で通用するという話を聞きましたので、今や『かわいい』は万国共通語になったようです。

最後に夜食事をした広東省の高級幹部は早稲田大学は広東省で一番有名な外国の大学だと言いましたが、あながち嘘ではないなという印象持った駆け足の3日間でした。

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コメント

富岡さんへ

他校のOBにまでWBSを進めてもらってうれしいです。どうもありがとう。

仮説思考の中国版、確かにタバコのパッケージに見えますね。座布団1枚差し上げます。

投稿: 内田和成 | 2009年8月18日 (火) 19時02分

マーケティング協会のエグゼクティブセミナーでご一緒いたしました富岡です。最近MBAコースについて質問されることが多く、そのたびに母校MBSと母校じゃないけど間違いなく勢いのあるWBSをオススメしています。ところで、WBSを説明するときに内田先生がいらっしゃるよ、と伝えるとかなりの確率で「仮説思考の?」と返されます。中国でも出版されていたのですね・・・すごい。先生の文章を読むまでこのブログの写真を煙草のパッケージかと思っていました。coldsweats01

投稿: 富岡万葉 | 2009年8月17日 (月) 16時35分

talawさんへ

先方も以前はヤマハと提携していたと言ってました。そんなところが、ヤマハより大きくなってしまうので、中国は侮れないところです。自動車や電気製品もいつかは同じ道をたどるのではないかと思います。

崔さんへ

いつもこちらでは手に入らない情報を送ってくれてありがとう。
広東省は確かに今世界経済の不況の影響をもろに受けて大変なようですね。しかし、そのあとのことを考えて手を打とうとしているところに感心しました。

恵介さんへ

インドは世界中で一番注目を集めているところなので、そうしたところに身を置いていると面白いだろうなと思います。

さて、実体経済の話ですが、日本でも六本木や渋谷を訪れた外人がどこか不景気なんだと不思議がります。恵介さんの話もそれと似たところがあるような気がします。
日本で不況に苦しんでいるのは、そうした場所に現れない人たちでしょう。我々の年代でも会社を早期退職したり、定年退職した者の次の仕事が見つからず苦労している人たちがたくさんいます。仮に見つかっても給料は半額くらいだと言っています。

さて、最近読んだ本で面白かったのは正式名称は忘れましたが行動経済学の新書です。経済学でいうところの「経済人」は実はほとんど存在しないというのが趣旨かと思いますが、日頃自分が感じていることの論理的な裏付けを得ることができて役に立ちました。

投稿: 内田和成 | 2009年8月14日 (金) 22時38分

こんにちは。
いつも先生のお勧め図書などを読んでおります。
今回の視察にあたり、音楽という教育分野では
相変わらず絶好調の中国経済だったようですが
街の人々の雰囲気や物価の事は、何か話題に
なりませんでしたか?
私はインドで駐在しているのですが、
見た目の街の雰囲気は、相変わらず、
絶好調ですが、経済指標上は
インフレ率がマイナスになっております。
一年前は12%ぐらいあったにもかかわらずです。

先日、久々に日本に帰ると東京も大阪も
非常に豊かな感じがしました。
なんかこのように中国やインド、はなやかな
日本を見ていると、実はそんなに経済は
悪くないのではないかと思えてしまいます。
経済の複雑化がどんどん進んでいるように思えるのですが、先生は実体経済についてどのように
感じておられるのでしょうか?
是非是非、今の日本の実体経済について
なにかblogネタを更新していただけますと
幸いです。

それと最近読んでよかった書籍のお勧めも
お願いします

投稿: 恵介 | 2009年8月 6日 (木) 16時25分

内田先生、こんにちは。

Google Readerで内田先生のブログをtrackしており、ブログを拝読してから、「南方日報」のインタビュー内容を検索してみました。それで同報のホームページに写真付きの記事(8月4日の新聞)を見つけておりました。ご興味があれば、下記のリンクまでご参照下さい(中国語ですから、Google translateでご覧ください)。

http://www.nanfangdaily.com.cn/epaper/nfrb/content/20090804/ArticelA04002FM.htm

いい話ではないですが、広東省はファイナンシャル危機の影響で2008年には大きなショックを受けっていました。輸出産業に依存しすぎますから、海外のオーダーが大幅減少した結果、広東省にある多くOEM工場が破たんになってしまい、数多くの出稼ぎ労働者も失業になってしまいました。よって、広東省も最近、産業チェンジを狙い努力しているようです。

ちなみに、「早稲田大学は広東省で一番有名な外国の大学だ」という話は嘘ではあり、嘘でもないでしょう。というのは、多くの中国人は、日本では早稲田大学と東大が一番有名な大学だというイメージを持っていますから。

投稿: 崔 | 2009年8月 6日 (木) 00時02分

こんにちは。
珠江ピアノはヤマハの合弁パートナーだったところなので、技術はしっかりしているのでしょうか。
個人的に、杭州のヤマハとどうなるのか注目しているところではあります。

投稿: talaw | 2009年8月 5日 (水) 12時59分

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