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2009年8月

2009年8月31日 (月)

車中広告に見る世相

選挙は民主党の圧勝でした。岡田(克也)さんおめでとう。
頑張ってください。私は政治に直接コミットしていないが、岡田さんは個人的に応援している。
しかし、これだけ大勝ちしたと言うことは、逆に民主党は国民の答えに答える義務が生じたと言うことで、大変だ。

一昨日、昨日と京都へ企業訪問行ってましたが、その話題は後日紹介します。

私は前著[スパークする思考]の中で、花王前会長の後藤さんが使っていた言葉[キョロキョロする好奇心]を紹介した。私自身の情報収集やアイデアを生み出す源と同じだったからだ。私も電車の中で、乗客を観察したり、中吊り広告を見ることで世の中の流れをつかむことがままある。

今日はその話題だ。先週の金曜日に地下鉄東西線に乗って早稲田大学まで行ったのであるが、その車中で妙なことに気がついた。車中の広告が妙に少ないのである。元々都営地下鉄などは広告が少ないし、東武電鉄の車両に当たると広告が埼玉ローカルなものが多いなと言うのは感じていた。しかし昨日乗った車両は東京メトロの車両で、これまではいろいろな車内広告に満ちあふれていた。

ところが昨日乗った車両の網棚の上にはめ込みで入れられている広告がすき間だらけなのである。ちょっと数えてみたところ、営団の路線案内などの広告ではないスペースを除くと私が座った席の周りにはポスター14枚分のスペースがあった。ところが実際にポスターがはめられているのがわずか7枚しかなかった。半分である。道理ですいている感じがしたわけだ。世の中で広告の不況が言われているが、こうしたところに如実に現れているなと思った。

さらにどんな広告主が広告を出しているのか見てみて、もっと驚いた。よくある化粧品や食品の広告がほとんどない。7枚中なんと4枚が借金の整理をしますという弁護士事務所や司法書士事務所の広告だった。後の3枚が英語学校、専門学校、キリンビールの第三のビールのコマーシャルで、こちらは以前からもあった類のものだ。

それにしても債務の整理や過払い金の取り戻しを訴える広告が堂々と言うか、大半を占めていることに大変驚いた。自分自身の大発見と思ったら、先週の週刊ダイヤモンドの弁護士特集にその答えが書いてあった。特集の最初のパートのタイトルが「過払い金返還請求の宴」と題して、弁護士と司法書士がいかに儲かっているかを大々的にと取り上げていた。中でも驚いたのは、35ページに一覧表が載っている主要弁護士事務所や司法書士事務所の過払い金返還広告の出稿額だ。弁護士事務所では法律事務所ホームロイヤーズが約15億円、ひかり法律事務所が4億円、ミネルヴァ法律特許事務所が2億円など、1億円以上の広告費を使っている弁護士事務所が9社もあった。さらに司法書士事務所も同様で、みどり法務司法書士事務所の7億円を筆頭に、ひかり法務事務所、新橋法務司法書士事務所などが続き、こちらも1億円以上が8社に及ぶ。これらは取り戻した金額ではなく、広告費である。ウーン、よほど儲かっているのだろうな。記事によればトップの事務所では1年で200億円取り返したそうだ。そして、事務所の報酬はその3割だそうだ。確かに儲かるビジネスモデルだが、何か違和感があるな。

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2009年8月28日 (金)

コラボレーション商品

最近異業種がタイアップしてユニークな商品を発売する例が多い。
皆さんがよく知っているところで言えば、サントリーと京都のお茶の老舗福寿園がコラボレーションした「伊右衛門」、ユニクロと東レが共同開発した「ヒートテック」などがあげられる。
こうした企業のコラボレーションについてはもちろん昔から存在したが、最近特に増えている。市場が成熟化し、競争が激化している中で、業界内の発想だけでは商品開発に限界が来ている、あるいは差別化が難しいことが要因と思われる。

ところがこうしたコラボレーション商品については、それぞれの商品について話題になることは多くても、体系的に取り上げられることはあまりなかった。
それに対して意欲的な研究を行ったのが、学部のゼミ生であった武藤美穂である。彼女は「コラボレーション商品の分類と考察」というタイトルで卒業論文を書いたのであるが、その成果が認められて、その論文(抜粋)が今月発行された「日経広告研究所所報246号」に掲載された。

Nikkeikokokuhyoushi_2

Nikkeikoukokumokuji

ごく簡単に内容を説明すると、コラボレーション商品には大きく分けて広告宣伝が目的の「キャンペーン型」商品と製品差別化をイメージ面で行う[ブランド拝借型]、さらには製品差別化を機能面で図る[共同開発型]の3通りがあるとしている。
上に述べた伊右衛門は2番目のブランド拝借型であり、ヒートテックは3番目の共同開発型となる。一番目の代表例としてはTBSテレビのドラマ「華麗なる一族」(2007年)にあやかって発売された山崎パンの[華麗パン]があげられる。
彼女はこうしてコラボレーション商品を分類した上で、それぞれのパターンの成功要因や課題について掘り下げている。

発行元の許可を得て全文を掲載するので、興味のある方はご覧ください。

武藤美穂「コラボレーション商品の分類と考察」日経広告研究所所報246号「COLLABORATION.pdf」をダウンロード

さらに興味を持った方は私宛メールをいただければ、さらに詳細な内容の卒業論文そのものをPDFファイルで送付します。

ちなみにごく最近の日経ビジネス(2009年8月10日・17日合併号)でも商品開発特集の中でロッテのコラボレーション商品戦略が取り上げられていた。

Nb

武藤美穂の先見性に脱帽である。
ちなみに武藤さんは今年から某日用品メーカーで働いており、現在は営業だが、将来は商品開発部門でその能力を発揮してくれるのではないかと大いに期待している。

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2009年8月24日 (月)

夏休みの終わり

長野での2週間も終わり、私も今週は東京に戻って仕事です。
この土日には学部のゼミ生が長野に遊びに来てくれました。
先週の社会人に続いて2週間続きです。
学生なのだから、なにも車の混む土日に来なくてもいいのではと思うのですが、部活の練習が休みなのは日曜日だけということで、土曜日の夕方到着して、日曜の昼過ぎには帰って行きました。

Nagano101 土曜日はバーベキューでしたが、その前にはきれいな夕焼けが見られました

Nagano102 山荘前にて

日曜日は車山に車で出かけましたが、少し曇っていたのにもかかわらず、周囲の山々はすべてきれいに見えました。浅間山から、立山、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、中央アルプス、南アルプス、富士山、そして八ヶ岳です。絶景でした。

Nagano103 富士山

Nagano104 車山山頂で北アルプスをバックに記念撮影です。

ところで、土曜日の試合でエスパルスが静岡ダービーを制してジュビロ磐田を破りました。2位のチームなどが敗れたため、順位が5位から3位に上がりました。トップをいく鹿島とは勝ち点で差が11もあるので優勝は難しいと思いますが、3位以内が見えてきました。と期待をさせておいて、裏切るのが…。

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2009年8月21日 (金)

好調清水エスパルス

Jリーグの清水エスパルスが19日の試合に勝って、勝ち点を36に伸ばし5位に浮上した。
今シーズンでは最もいい位置だ。このまま好成績を維持して、アジアのクラブNo.1を決めるアジアチャンピオンズリーグ選手権に出場してほしいものだ。Jリーグの年間成績3位以内が出場できる。一昨年(2007)はレッズ浦和がアジアチャンピンになり、クラブ世界一を決める世界クラブ選手権に出てACミラン(イタリアの強豪)と戦った。昨年はガンバ大阪がこの世界クラブ選手権に出場し、イギリスの名門マンチェスターユナイテッドと戦った。クリスティアーノ・ロナウドが在籍していたクラブだ。
清水エスパルスが万が一アジアナンバーワンになり、スペインのバルセロナあたりと戦うことになったら、絶対見に行くぞ。でも今年から開催地が日本じゃなくてアラブ首長国連邦になったらしい。遠いな。ドバイには既に行ったしな。どうしよう。

私は清水エスパルスのファンをJリーグ発足以来続けているから、かれこれ16年になる。その間一度もJリーグの一部から落ちたことがない。一方で、優勝も半期の優勝が一度あるだけで、年間総合優勝はゼロだ。なんとなく中途半端なチームであることは否めない。だからファンで居続けるのかもしれない。プロ野球の阪神ファンと似ているかもしれない。
かつては日本代表に、堀池・大榎・長谷川健太、澤登、森岡などたくさん送りこんでいたが、今はフォワードの岡崎くらいだ。チームも目立たなければ、選手も目立たない。そんな地味なチームだが成績は悪くない。陥落争いに顔を出したことはほとんどない。一方で優勝争いでスポーツ新聞の一面を飾ることもない。スポーツニュースでも取り上げられることは少なく、ゴールシーンと試合結果くらいだ。浦和や鹿島、新潟のように強力なサポーターを抱えてスタジアムを満杯にする力があるわけでもない。
でもシーズンが終わってみると3-5位くらいにつけている。玄人受けのするチームの代表例だろう。

話が突然飛ぶが、企業でもこうした目だなぬ優良企業はたくさんある、ヒロセ電機、ユニチャーム、日東電工などだ。カリスマ型のリーダーがいてマスコミにたびたび登場するわけでもなければ、大塚製薬のオロナミンCやトヨタのプリウスのような圧倒的な製品を持っているわけでもない。でも好業績だ。玄人受けする企業といえる。日本でもこうした企業が増えたり、こうした企業に優秀な人材が就職することを期待している。

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2009年8月20日 (木)

ウチダザリガニ

皆さんはウチダザリガニをご存知ですか?
私はずいぶん前にフレンチレストランのオテルドミクニで食して以来、自分の名前がついたザリガニということでなんとなくお気に入りになっていました。オテルドミクニのメニューには北海道産と書いてあったので、関サバや関アジのような地名とは思っていませんでしたが、てっきり北海道の内田さんが飼育しているザリガニだと思っていました。
スーパーの野菜売り場に栽培者の名前が入ったブランド野菜が売られていたりしますよね。それと同じだと思っていたのです。

ところが昨晩NHKで外国から来た生物で日本の生態系が破壊されているという警告の番組「ちょっと変だぞ日本の生態」をやっていたのですが、そこに突然その名前が出てきたのです。思わず聞き入ると、ウチダザリガニはもともとアメリカ原産だったものが、日本の食糧事情を改善しようと昭和初期に日本に導入されたそうです。何と80年も前の話です。当初は北海道の摩周湖に476匹放流されたそうですが、それが1980年代に入るとなぜか摩周湖以外の湖に広がりだして、今や北海道中の湖で観察されるほどに増えてしまったそうです。そのために湖や釧路湿原が危機に瀕していると語っていました。
なぜ危機かというと、ザリガニは水中に生えている水草を根こそぎ食べてしまうそうです。そうなると同じ水草を食べているカモなどの水鳥たちが食物がなくなって湖に来なくなってしまったとのことです。
思わずダーウィンの「同じ生態系を営む二種類以上の種は生存できない」というセリフを思い出してしまいました。
他にも水中の不純物などを浄化していた水草がなくなると湖が何もない砂漠のようなところになってしまうとも言ってました。
なんとなくいい人だと思っていた人に裏切られたような寂しさを感じましたが、ザリガニには責任ないですよね。わざわざ日本のために持ち込まれたのですから(と言って自分を慰めている)。

同じ番組で日本中に北米原産のアライグマが繁殖して、日本の生態系が大きく壊されているという話もやっていました。農作物を荒らしたり、鳥などの家畜を食べてしまうそうです。さらには家の中に住み着いて、家を壊したり汚してしまう現場も見せていました。
アライグマは雑食系で繁殖力が強いためにあっという間に増えてしまったようです。生態系としては、とくに狸が影響を受けているようです。どうしてそんなに増えたかというと、70年代後半にはやったアニメ「あらいぐまラスカル」の影響だというから考えてしまいました。一時は年間1500頭以上もペットとして輸入されたそうですがもともと獰猛なこともあり、途中で飼えなくなったアライグマが相当数自然に放されててしまったようです。
現在は神奈川県だけでも年間5000頭が捕獲されると言ってましたから、日本全国ではどれくらい生息しているか想像もできません。

さて、賢明なる読者は以前私が紹介した、我が家にタヌキが現るを思い出したのではないでしょうか。そうです、どうもあの時現れたのはタヌキではなくアライグマかもしれないと思いました。なにしろ神奈川県だけで何万頭も生息しているようですから。テレビではアライグマとタヌキの出現率は50:50と紹介してましたので、タヌキの可能性がないわけではありませんが、正直なところタヌキだったら夢があるけれど、アライグマでは・・・。

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2009年8月19日 (水)

ビジネススクールの絆

先週の土曜日に私の滞在している山荘まで早稲田のビジネススクールの現役生や大隈塾の卒業生が訪ねてきてくれた。

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とてもいい天気だったのでベランダでバーベキューを楽しみました。

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Nagano000

学年も違えば、ゼミも違う。あるいは正規のMBA生もいれば、大熊塾だけの履修生もいる。こうしたバックグラウンドの違う人たちが仲良くするのはいいことだ。彼らにとって、今は楽しいだけかもしれないが、それでよい。そうした人脈は知らず知らずのうちに自分を育てる肥やしになると同時に将来の宝になる。自分のことを振り返ってみても慶応ビジネススクールの同級生や同窓生にどれだけ助けられたことか、書きつくせないほどだ。

私がビジネススクールの教師になった理由の一つがこうした若い人たちの人脈形成や人格形成の触媒になれたらいいなと思ったためだ。

ちなみに彼らが持ってきてくれた下の写真はワインに見えるが実はコーヒー豆です。
ちょっとしたサプライズでした。

Nagano003

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2009年8月18日 (火)

大人の道楽

1週間ほど前から夏休みをとって長野に来ています(といっても大学なので9月までずっと休みではあるが、全く仕事をしないという意味での夏休みです)。
当然ながら、新聞のない毎日ですが、今はネットで主なニュースが見られるので重宝しています。

そんなある日、日経新聞の提供する日経ネットを見ていたら面白いコラムを発見した。
それぞれの分野のプロが自分のお気に入りや最近気になる商品を紹介している"Green Light" というサイトだ。副題に“目利きが選ぶお墨付きアイテム”と出ている。

http://www.nikkei.co.jp/style/life-style/green-light/index.html
時計、かばん、オーディオ、ファッションなどあこがれの製品から日常品まで結構おもしろい。
キーンニューポートという革製のサンダルが紹介されていたが、思わず欲しくなってしまった。

http://www.nikkei.co.jp/style/life-style/green-light/022/index.html
これ以外にもオーディオなどに興味深い製品が乗っていた。

目利きのプロと呼ばれる人が数人で交代で担当しているようだ。ブログでプロの小道具を紹介している私としては、どうしてこのコラムを執筆してくれと依頼がないのだろうと思ったが、考えてみれば私はつまみ食い型で専門性がない。残念。
そのうち経営コンサルタントの選び方のコラムでもできれば声がかかるかもしれないと、一瞬思ったが、これも趣味ではないので無理だな。

日経ネットは経済記事や企業情報を見たい時にチェックする目的でブックマークしているが、直接ビジネスにならない大人の趣味的な分野での記事?が充実している。
たとえば車に関しては、専門誌のNaviと提携して、C-Style with Naviというコラムがある。

http://www.nikkei.co.jp/style/car/index.html
これが車好きには結構答えられない欧州社を中心としたロードインプレッションなどがたくさん載っている。

こうしたしゃれたコラムやサイトを無料で運営しているのだが、広告収入で稼ぐモデルなのだろう。もう一工夫して本誌と連動できるようになると、極めて障壁の高いモデルになると思うのだが…。(余計なお世話か)

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2009年8月10日 (月)

ビジネススクール特集

今日から日経産業新聞でビジネススクールを取り上げた連載記事が始まった。栄えある第1回が早稲田大学ビジネススクールだ。その中でも夜間のMBAを取り上げてくれている。本当にありがたい話だ。

20090810nikkeisangyo

詳細については、記事を読んでもらうとして、こうした記事が載ること自体が若い人の間にビジネススクール特にMBA取得に関心が深いことの証であろう。記事中にも書かれているが2年間での学費290万円は決して安くない金額だろう。したがって、通っている学生も真剣だ。先生もうかうかしていられないという好循環を生む。これが授業の質を上げている。

こうした記事を読んで、来年も私をたじろがせるような学生が来て欲しいものだ。

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2009年8月 4日 (火)

驚きの広東省

8月2日から4日まで、大学の仕事で中国の広州に行って来ました。広東省が省の幹部に行っている研修に早稲田大学から教員を送ってくれてと言うことになり、一人は行政の専門家の先生が選ばれ、なぜか私がもう一人となりました。総長と太田常任理事と一緒に行ってきました。広州は2度目でしたが、前回と違って非常に密度の濃い3日間でした。

そもそも広東省のことをほとんど知らなかったのですが、香港の後ろに控える省で経済特区の深せんを持つくらいのイメージでした。行く前にもらった資料や行ってから教えてもらったところによれば、面積は18万平方㎞と日本の半分しかないのに、人口はほぼ1億人もいるのです。500人を超える人口密度です。しかも、出稼ぎなどを併せた実質人口は1億人をはるかに超えて、ほぼ日本の人口に匹敵するようです。
さらにGDPは中国の省の中で一番だと自慢していました。
もちろん総額であって、一人当たりではまだまだのようですが。まさに一つの国といってもいい大きさと経済力です。アメリカのカリフォルニア州がよく一つの国にたとえられることを思い浮かべました。

広州の場所
Aの記号のついているところです

今回の聴衆は、広東省の書記(省でNO.1の人)を始めとして、省長や幹部数百人でした。ちなみに書記はワン・ヤンさん(さんずいに王のワンと洋と書くヤン)といい、中国共産党の中央政治局委員を務める超大物です。
そうした人が私ともう一人の塚本先生のために併せて2時間も使ってくれるのですから、期待の大きさがよくわかります。

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右の方に写っているのが、一緒に講演を行った公共経営研究科の塚本教授です。

Koshu002_2

立派な案内幕でした。幹部の方々が写った写真もあるのですが、そちらはブログにアップして良いのか分からないのでカットです。

一体何を話したかといえば、日本の企業がこれまでどのように発展して、どのように壁にぶち当たってきたかという話でした。日本企業の成功と失敗から学びたいとのことです。これだけ成功してもまだ日本から学ぼうという姿勢に感心しました。

講演はまあまあうまくいったと思うのだが、その後の質疑応答はさんざんでした。相手の言っている質問が通訳のせいでよく分からず、全くとんちんかんな答えをしてしまった。うーん、残念。

さて、向こうでのエピソードをいくつか紹介しましょう。

初日はまず南方日報という新聞社のインタビューでしたが、これは以前も北京で新聞のインタビューを受けたことがあり、そんなに問題なく進行しました。ただ、本当に記事になるのかどうかは全く分かりません。
ちなみに前回は私の仮説思考が中国語で発売になったのを記念して経営者の集まりで講演をやったときに併せて行ったのです。

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中国語以外にも韓国語にも訳されています。

初日の夜は早稲田大学で以前1ヶ月という長丁場の研修を受けた広東省の企業の経営者たちとの会食でした。広東省から派遣されたということで、どなたも自信に満ちあふれた顔をしているのが印象的でした。


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そのうちの一人が支配人を務める白天鵞ホテル(珠江沿いの絶景の高級ホテルです)での記念撮影です。

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ホテルから二次会に向かう途中での珠江の風景です。とてもきれいな景色でした。夜だったせいかもしれません。

その二次会でお邪魔した空中一号というレストランには圧倒されました。早稲田で研修を受けた一期生の方が経営しているのですが、中国で魚介類を中心としたチェーンレストランを経営して成功し、稼いだ金をつぎ込んだ大変豪華なレストランでした。
人気集中で、何ヶ月も先でないと予約が取れないそうです。
ビルの30階くらいに4フロアほどあるのですが、部屋数は30数室しかなく、すべて個室です。しかも一部屋の利用料が最低でも10万円くらいするそうです。各部屋や廊下には1枚数百万円から数千万円する絵や書が至る所に飾ってありました。
ワインのストックも半端ではなく、ロマネコンティ、シャトーマルゴー、シャトー・ムートン・ロートシルトなど超有名銘柄が冗談抜きに山と積まれていました。我々が案内してもらった最上階の部屋はなんと最低ルームチャージが10万元(150万円くらい)するそうで、とんでもなく豪華な部屋でした。何しろ、天井にドームがついていてそれが開閉するのです。驚きました。その時の写真を付けておきます。


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イヤー天井が音楽と共に開いて、月とタワーが出現したのには本当に驚きました。

二日目は午前中が既に紹介した講演会で、その後、省の幹部の方と食事をし、午後は工場見学に出かけました。それまでの強行軍で疲労困憊していたのですが、工場を見るのは楽しいので、無理して行ってきました。

最初に訪れたピアノ工場はPearl River と言うブランドの広州珠江ピアノ会社でした。
工場自体は極めて労働集約的で、多くの従業員がほとんど手作業でピアノの組み立てや加工、調整をやっていました。工場もとても近代的とは言えない代物でした。しかし、何がびっくりしたかといってそのマーケットシェアです。世界一の生産量で、世界シェアが19%だそうです。てっきりヤマハが一番かと思っていたので、かなり驚きました。世界需要が40万台くらいで、そのうち珠江ピアノは約8万台の生産量だそうです。ヤマハは5万数千台だと言ってました。しかし驚いたのはその後の話です。世界のピアノ需要の70%が中国なのだそうです。したがって、中国でNO.1になると自動的に世界一になると言うわけです。昔、全く音楽センスがないのにオルガンを習わされたことを思い出しました。中国では子供にピアノを習わせるのがブームというか教育に金をかけていることの証のようです。
さらに驚いたのが、ピアノの世帯普及率はまだ0.3%だということです。それで既に世界需要の70%ですから、これが1%になるだけでも世界需要の90%が中国と言うことになります。恐るべき数の力です。
品質はヤマハ並みで価格は三分の二くらいなようです(これは社長の受け売りです)。ヨーロッパのピアノメーカーがヤマハをバカにしていたのと同じことが将来起こるのでしょうか?

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工場見学の途中に見た高層マンションの数々、こちらでは一戸建てはほとんどないそうです。

二つ目はこれもPearl Riverと言うブランド知られている珠江ビールでした。何でもPearlRiverには少し驚きました。こちらは既にサントリーの上海工場なども見ているので、特に新たな感激はなかったです。ただし、既にリサイクルへの取り組みや水の使用量が世界的に見ても少ないという説明には感心しました。

ビール工場とピアノ工場の見学には広東省で夏の間インターンをやっている広東外語大学の学生が3名ついてきたので、少し話をしてみました。出来れば、役所に就職したいのだが、大変狭き門だと言うことでした。優秀な人が皆国家公務員を目指していた昔の日本に近いのかなという印象を持ちましたが、なにぶんサンプル数が少ないのでよくわかりません。
それよりおもしろかったのは、ピアノ工場で日本にはヤマハ以外にカワイピアノというブランドがあると私が説明したときでした。彼らが一斉にエッー「かわいい」ピアノと言いました。もちろんかわいいピアノではなく、カワイピアノだと訂正しましたが、彼らによると『かわいい』はそのまま中国語として通用するそうです。ニューヨークでも『かわいい』がそのまま英語で通用するという話を聞きましたので、今や『かわいい』は万国共通語になったようです。

最後に夜食事をした広東省の高級幹部は早稲田大学は広東省で一番有名な外国の大学だと言いましたが、あながち嘘ではないなという印象持った駆け足の3日間でした。

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