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2008年12月 7日 (日)

優れたリーダーは感情へ働きかける

11月始めの大隈塾のゲストスピーカーは伊藤忠会長の丹羽宇一郎氏だった。
丹羽氏は伊藤忠を立て直しただけでなく、日本のオピニオンリーダーとして多方面で活躍中だ。

その丹羽氏が早稲田ビジネススクールの学生たちにリーダーシップについて語ってくれたのであるが、学生にとっては至極の講演だったと思う。ただし、彼らがどこまでそれをくみ取ってくれたかは・・・。

丹羽さんの話の中で、いくつか印象に残った言葉を上げてみると、
今回のアメリカの金融危機は、金融機関の経営者が他人の言葉や情報を鵜呑みにして意思決定したのがいけない。経営者は一次情報に基づいて、自分の常識を働かせて判断しないといけないと言っていた。同感である。

阪神が巨人に13ゲーム差を逆転されたことを引き合いに出して、リーダーシップにおける精神や気力の重要性を説いていた。また、優れたリーダーは感情へ働きかけることで、共鳴の波長を創り出すことにあるとも言っていた。おもしろい。またノーベル賞を受賞した小柴さんの言葉を引用しながら、経営者は常に問題意識を持ち続けて、昼夜考え抜くことが大事で、そのためには昼間は知性と理性を働かせ、夜は感性と直感を働かせるのだそうだ。私がスパークする思考で言っていることに極めて近いので、驚いた。

さらにトップには自信がなくてはならないが、その自信は「狂いに似た確信」であると断定していた。

学生からのリーダーになるためには我々は何を学ぶべきか、あるいはどうしたらよいのかという学生からに質問には、
最初の10年で底力をつけ、次の10年で自分の仕事を徹底的に勉強し、最後の10年で人間を知ると答えていた。良いこと言うな。したがって最初の10年は死ぬ気で働くことが大事とも言っていたが、今時こう言うことをはっきり言ってくれる経営者は珍しいので、とてもうれしい。

丹羽さんは自社の経営以外にも政府の委員などをたくさんやっているが、それとは別にボランティアで世界食糧計画(WFP)を通じて恵まれない人々への食糧支援活動をサポートしている。

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コメント

Jさんへ

私も経営トップが個別のディールのディテールにまで入り込むのは現実的とは思いません。ただし、大きな潮の変わり目をつかむにはデータではなく、肌感覚が大事かなと思います。
まあ、今回の金融危機について、いろいろ言っているのはすべて後付のような気もします。

投稿: 内田和成 | 2008年12月13日 (土) 00時35分

ただしその反面、フットワークが軽く(かつ分析力のある)一部のヘッジファンドの人たちは、業界関係者の集まるカンファレンスほか、一次情報的なところで拾ってきた知見から、早い段階でこの危機を見通していた(プラスそれでたっぷり儲けた)ということもあるようです。

Liar's PokerのMichael Lewisが最近発表した雑誌記事などで、そのあたりの様子が少し伺えました。

投稿: J | 2008年12月 9日 (火) 04時20分

「金融機関の経営者が他人の言葉や情報を鵜呑みにして意思決定したのがいけない」ことについて...

その根源的な趣旨はその通りなのですが、同時にそれが実際の金融機関の経営の中でどこまで有効なのか、確信が持てずにいるものです。リテールならばまだしも、法人関係・市場関係の業務において、実際のところ経営トップが、どこまで現場の「一次情報」に基づいた経営ができるものか。とりわけ巨大化・複雑化・国際化した会社においては...

B社もL社もトップはトレーダー出身で、市場の現場感覚の大事さは良く分かっていたはずです。

むしろ逆説的に、金融機関経営者は二次情報に頼るしかない中、その制約内でいかにうまく経営していくか、が課題のようにも思えます。確信に至ってはいないのですが。

(久しぶりに書き込みました。)

投稿: J | 2008年12月 9日 (火) 04時16分

近江商人さんへ

丹羽さんのような素晴らしいリーダーに身近で接することができたというのは素晴らしい経験ですね。
伊藤忠の方が丹羽さんをリーダーとして信頼している様子がビンビンと伝わってくる話です。どうもありがとうございます。

私も嶋口先生という素晴らしい教師が自分の師匠であったという人生の幸運に感謝しています。

投稿: 内田和成 | 2008年12月 9日 (火) 00時27分

総合商社勤務の者です。二つエピソードを
紹介致します。
①98年、4000億円の一括不良債権処理を行った時もそうでしたが、丹羽社長(当時)は年末近くになると夕刻に全フロアを回り、各課の若手と直接話をしていました。細かい営業の話もよく把握しており、仕事上の問題点やこれからどういう方向でやろうとしているのか会話したことを覚えて
います。社長が自分達末端の営業と同じ視線で
話をするということで、この未曾有の危機を乗り切ろうという気力が湧いた時でした。

②03年、SARS禍で約半年間香港は外との交流が
できず、駐在員とその家族は閉塞感、不安に苛まれておりました。WHO解除宣言が出て、一番先に
東京から飛んできた人が丹羽社長でした。駐在員
だけでなく家族も呼び集められ、半年間の辛苦に
一人一人に労いの言葉をかけていました。当時まだ東京から出張員すらまともに来港しない状況での出来事、駐在していた自分にとって仕事を続けていく上での勇気がまた湧いてきたことを記憶しています。

彼はリーダーとして自然な行動で現場や前線に
足を向け、実際に自分の目で状況を確かめ、
案件を担当する者から直接問題点や方向感を聞きます。正しい判断をするため、常に現場感覚を維持することを肝に銘じていたと思います。

引き付けられたたくさんのエピソードがありますが、上の二つは印象深く、以降の自らのビジネスマンとしての方向性に大きな影響を与えてくれました。


投稿: 近江商人 | 2008年12月 8日 (月) 18時23分

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