幻の電子マネー
先日紹介したICテレホンカードと同じく、日の目を見なかったICカードがある。10年くらい前に各地で実用実験が行われた電子マネーである。
私の手元にも「VISA CASH」と呼ばれて、渋谷地区で大々的に展開された電子マネーの現物が残っている。
これは、よく見ると左上にDisposableと書いてあって、使い捨て型の電子マネーである。もちろんチャージ型のものもあった。名前の通り、クレジットカード会社のVISAカードが電子マネーの普及を狙って大々的に展開したものである。
このカードがなぜ普及しなかったかといえば、ユーザーのメリットが少なかったというICテレホンカードと同じ理由に突き当たる。
- まず、使える店が限られていた。そうなると小銭と併用せざるを得ない。
- 今のように携帯電話が普及していなかったので、チャージするためにわざわざチャージできる場所(数カ所しかなかった)に出かけないとならない。
- また、残高を確認するのも面倒くさく、チャージ機で確認するか、購入するときにお店で確認するしかなかった。
- 全国どこでも使えるわけではなく、渋谷だけ、新宿だけあるいは大宮だけのように地域限定で実験されていた。しかも実験主体が異なっていた(と言うことは企画や仕組みが異なっていたということ)
- 既に存在する何らかのカードに機能が追加されるのではなく、全く新規にカードを購入(手に入れる)必要があった。
- あまり、人に見られたくないものを買う場合に、身元がばれてしまう懸念があった。(別に法に触れるものでなくても、ある種の週刊誌、嗜好品など自分の購買履歴を知られたくないものは結構ある)
ここでの結論も、ユーザーにメリットの見られない独りよがりの仕組みは成功しないということである。
ただし、他に代替手段があると言うことが条件であり、独占的な事業を営んでいる場合はその限りではない。上記の例でいえば、現金やクレジットカードという代替手段が存在したために普及しなかったのである。
ということは、テレホンカードの場合も、磁気式カードと公衆電話をすべてICカードに変えてしまえばユーザーは否応なしに移行したと思われる。
ところで、こんな10年も前の電子マネーを何で今も持っているのだと不思議に思う方もいるかも知れない(普通は気にしないと思いますが)。
結構収集壁があるのです。
小学校時代に貯めた電車の切符も実家のどこかに残っているはずです。
もちろん、切手収集もやってました。これは、どこに行ってしまったか不明です。
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