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2007年10月

2007年10月30日 (火)

日経キャリア MBAランキング

最新のムック「日経キャリア」でMBAのランキングを紹介している。我が早稲田大学のMBAプログラムが上位にランクされている。といっても、早稲田のMBAは複数存在するために一般の人には混乱を招いているのではないかと心配している。トップではないが、商学研究科のプログラムも上位にランクされていてうれしい。

Photo_2

人気教授の誌上講義という形で、同僚の根来先生も登場しているので、早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻(夜間主)のプログラムに興味のある方は是非ご覧ください。
また、この夜間MBAの願書受付が、いよいよあさって11月1日より始まるので、興味のある方は是非応募ください。
http://www.waseda.jp/gradcom/pro/03.html

来年からは、私のモジュールもさらにバージョンアップして、始まりますので、楽しみにしてください。

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2007年10月29日 (月)

創造力(続き)

創造力の感想文をいくつもメールでもらっていますので、差し支えない範囲で紹介します。

高村さんからです
以前ご紹介頂きました「パラダイムの魔力」に、
 ・曇りのない目で物事を見ることの重要さ
が書かれており、これは研究職の私には大変インパクトのある内容でしたが、
「創造力」にも、
 ・曇りのない目で現場とデータを見ることの重要さ
が書かれており、更に今回は、実際に体験・成功された事柄について書かれていましたので、より説得力があり、身に迫るものがありました。

また、
 ・事前の準備の重要さ
 ・チームワーク・モチベーションを維持する方法
が書かれておりましたが、こちらも極地や会社の立て直しでの実体験を例にした、とても考えさせられる内容でした。
特に事前の準備の重要さにつきましては、自分はまだまだ、気持ち、と言いますか、常に考え続ける姿勢が足りないなと反省しました。
「組織の大目的は、人類の為になるというような、誰もが納得する良いものが良い」、という内容もありましたが、これも
世の中の成果主義とは一味違う良い考えだなと思いました。目的が利己的・自己中心的だと部下もやる気が出ない、というのは
私という部下としましては、本当にそうです。

また、ちょっと話がそれてしまいますが、「創造力」に
 ・登山隊全体で登頂にトライしているのであるから、登頂隊の人数は必要最小限にするし、登頂の名誉は全員にある、
という内容がありましたが、これを読んだ時、私は「ほぼ日刊イトイ新聞」というサイトに載っていた
萩本欽一さんのインタビューを思い出しました。
URLは下記になります。
http://www.1101.com/kinchan/2004-09-06.html
このインタビューの11回目の、「組織の末端を見つめる。」という回に、私にとってはちょっと似ているように思われることが書いてあります。
やはり、業界が異なっても一流の人は同じように思うものなのでしょうか。

また、このインタビューで、素人やダメな人は優れている、という、「パラダイムの魔力」に似た話が出てきます。
このインタビューでの観点は、モチベーション・感動できるシチュエーションの構築に置かれています。
ドラえもん的に言いますと、「のび太じゃないとだめだ、出来杉君じゃ映画にならない」というような感じです。

エンジニア・研究者としてスキルが上がると、思考が固まっていってしまいがちで、スキルを上げることと、常識に囚われない素人で在り続ける事、
同時に達成するのは結構難しいように思いますが、それでも「スキルが高くて信念が強い素人」を目指してやっていこう、
という気持ちを改めて持ちました。これに加えて、事前の準備はまめにしっかり、ということで、なかなか難しいですね。。

予想通り、とても面白い本でした。今後も何度となく読み返していきたいと思います。
有難うございました。

溝本さんからです。
「創造力」、今日一気に読んでしまいました。

ジョエル・バーカー著の「パラダイムの魔力」も
苦手な英語克服のため、原書でチャレンジし半分
近く読んだ所でしたが、つい浮気していまいました。

数多くの勇気を貰いましたが、一番心に残ったの
は、「創造力」が実現される上での『大物の存在』
についてです。

以下略

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2007年10月25日 (木)

プロ野球のビジネスモデル

以前Jリーグとプロ野球は実は競争していないという話を書いたが、今日はプロ野球のビジネスモデルの話である。

10月23日付の朝日新聞に、「クライマックスシリーズを振り返って(下) 大入りホクホク 視聴率パいま一つ」という記事が出ていいた。パリーグは第1ステージのロッテ・ソフトバンク戦も、第2ステージの日本ハム・ロッテ戦も最終戦までもつれたために大きな盛り上がりを見せ、特に第2ステージの日ハム・ロッテ戦は5試合すべてで札幌ドームが満員になり毎試合4万2222人の観客を集めたと書いてあった。5日間で21万人を動員したことになる。恐るべし、北海道の日本ハムファンである。日ハムの球団社長は1日1億円の売上が上がって、ほおをゆるませたと出ている。

一方で、テレビ視聴率ではセリーグのクライマックスシリーズは大成功だったが、パリーグは10%も行かず、苦戦したと出ている。特に一番盛り上がったはずの日本ハム対ロッテの最終戦エースのダルビッシュと成瀬の投げ合いの試合が8.3%しか行かなかったそうである。
このあたりにプロ野球のビジネスが簡単ではない証拠が表れている。というのも、サッカーのJリーグであれば仮にテレビ放映がなくても、競技場が満員であれば球団としては十分成功と言える。ところがプロ野球の場合は、球団の収入が潤うだけではビジネスモデルとしては不十分で、親会社の広告効果が上がることは最重要となる。具体的にいえば、単に球場が満員になるだけではなく、テレビで放映されて、なおかつ視聴率が10%を超えないと成功とは言えない。もちろんテレビで放映されるかされないかで親会社の広告効果は大きく異なるが、仮に放映されたとしても10%以下では広告効果が限られる上に、そうした番組はやがて消えてなくなるからである。

純粋に球団の黒字経営が目標になるJリーグと、親会社の広告効果や相乗効果が見込めないと意味を持たないプロ野球のビジネスとしての違いがこうしたところにも表れている。

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2007年10月24日 (水)

ルイス・ハミルトンその後

以前、自動車レースのフォーミュラーワン(F1)に新人ドライバーのルイス・ハミルトンというスターが誕生したという話を書いたが、今年のF1は先週末のブラジルグランプリで幕を閉じた。

結論から言うと、マクラーレンのルイス・ハミルトンはわずか1ポイント足りずに年間チャンピオンを取り損ねた。しかも、1位でフィニッシュして年間チャンピオンになったのはそれまで年間チャンピオンを争っていた同僚のアロンソではなく、ライバルフェラーリのキミ・ライコネンだった。まさに鳶にあぶらげをさらわれた形になった。
それにしても、1位が110ポイント、2位、3位が共に109ポイントという大接戦だった。

ルイス・ハミルトンは新人で年間チャンピオンという初の快挙はなしえなかったが、大いにその名をあげたし、来年も彼を軸にレースが展開されるだろう。
個人的にはアロンソを応援していただけに、フェラーリに年間チャンピオンを持っていかれたのは残念だった。

いいニュースが一つ、アジアチャンピオンズカップの準決勝を戦っていた浦和レッズが、ついに決勝進出を決めた。こちらはサッカーの話。

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2007年10月23日 (火)

日本版ビジネススクール

昨日取り上げた「日本人はなぜ戦争をしたか」に出てくる総力戦研究所というのは、よく考えるとビジネススクールに大変性格が似ている。というのも、20代後半から30代半ばのエリートを各役所、陸海軍、企業から選抜してもらい、1年間の期限付きで集中トレーニングを行う。カリキュラムも講義から始まって、研究会、机上演習、課題作業、視察旅行、講演と多岐にわたり、同じメンバーで朝から夕方、時に晩まで生活を共にする。目的も、単なる戦略や戦術の研究ではなく、経済力・軍事力、精神力などすべてを包含した仮想敵国との総力戦を想定した学習を行うのである。

その中でも机上演習というのはシミュレーションと呼んでもよいものであり、ビジネススクールのケーススタディと似たにおいがする。実際に企業活動で起こることを想定してクラスでディスカッションを行うケースメソッドに対して、机上演習では日本が取り巻く政治環境、経済力、軍事力などを総合的に勘案して戦争のシミュレーションを行うのである。

若いうちから、様々なバックグラウンドを持つエリートたちが、日頃の自分の職務を忘れ、国家という大所高所から、分析を行い、議論をし、意思決定をしていく。ただし、これは本物の意思決定ではなく、あくまでも演習である。国家を企業に置き換えれば、ビジネススクールの目的、正確そのものである。

ちなみに総力戦研究所では模擬内閣と称して実際の内閣と同じ役割を生徒に与え、教員から与えられた環境条件の中での、経済・戦争のシミュレーションを行っているが、これも私がビジネススクール時代にやったビジネスゲームに似ている。



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2007年10月22日 (月)

昭和16年夏の敗戦

表題は最近読んで感銘を受けた猪瀬直樹氏著のドキュメンタリー「日本人はなぜ戦争をしたか」という本のサブタイトルである。
この本は、実は8月にソウルで日本マーケティング協会のセミナーがあったときに神戸大学の加護野先生から推薦を受けた2冊の本のうちの1冊である。

Showa16

第2次世界大戦が起こる1年ほど前に、日本政府の肝いりで総力戦研究所というものが作られ、そこに役所や軍、民間から Best and Brightest が集められ、日本が欧米と戦争をしたらどうなるのかというシミュレーションが行われたというものである。そして、開戦前の昭和16年8月に日本は戦ったら必ず負けるという結論が出され、東条英機陸相の前でプレゼンテーションが行われていた。それにもかかわらず、日本は12月に戦争へと突入していった。それはなぜだったのかというテーマを扱ったドキュメンタリーである。

大変興味深く読んだのであるが、正直私自身でうまく評価できない珍しい本である。この本には猪瀬直樹さん自身の主張がないこともあって、本で何を言いたいのかがよく分からない。しかし、おもしろさは下手な小説顔負けであり、迫力もある。また、いろいろ考えさせるところが多い。また戦争に関するこれまでの不勉強を反省する良い契機ともなった。でも最後にSo what?(だからなんなのさ)と言いたくなるもどかしさがあった。

私は白黒はっきりしている方であるが、これくらい判断できない本も珍しい。しかし、人に勧めるかと言えば、イエスである。もし既に読んだ方がいたら、是非感想をお聞かせください。

ちなみに加護野先生お薦めのもう一冊は深田祐介の「黎明の世紀」と言う本である。これも同じく太平洋戦争さなかに開催されたアジアサミット「大東亜会議」を取り上げた本である。こちらも主役は東条英機であり、私の全く興味のなかった戦争時代におけるのアジア外交の舞台裏を知るには格好の本であった。こちらの方が読みやすいが、ずしりと来るのは「日本人はなぜ戦争をしたか」である。

Reimei

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2007年10月18日 (木)

キャプテンシー

今日10月17日の日経新聞スポーツ欄のサッカーに関するコラムにいい話が載っている。吉田誠一さんという人が「主将に求められるものは」というタイトルで書いたリーダシップに関する話である。

サッカーでフィールドにいる選手の中のリーダーのことを主将とかキャプテンとか呼ぶが、そのキャプテンが持つべき資質やあり方のことをキャプテンシーと言う。そのキャプテンシーを感じさせる出来事が試合であったという話である。

それはドイツの3部リーグのある試合で、ユニオン・ベルリンのある選手が相手選手に危険なプレーをしたために、2枚目のイエローカードを受け退場になった。イエローカードに値するかどうか微妙なプレイだったこともあり、反則をした選手が不服そうな顔をしてピッチを去ろうとした。
そのとき、キャプテンがその反則した選手に、何事がささやくとその選手がファウルをして痛がっている相手選手のところに行って謝ったという話だ。

相手が怪我をしたら、謝るのが社会常識で、それを忘れた選手をたしなめたわけだが、判定の是非とは違うところで同僚が社会性、規律を欠いていることをたしなめたのがキャプテンの判断だったのだろうと書いている。

組織のリーダーが持つべき資質をうまく言い表しているコラムである。是非原文をお読みください。

ご承知かも知れないが、サッカーでは正式な指揮官は監督である。一方でいったん試合が始まれば監督が出来ることはきわめて限られる。そうなると現場で指揮を執るキャプテンのリーダーシップが大きな意味を持つ。ところがキャプテンは権限があるようでない。そうした中でどのようにリーダーシップを発揮するかは、最後は人間性を問われるのだろう。

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2007年10月17日 (水)

難しいことを易しく教える

今月の日経新聞「私の履歴書」は経済学者の青木昌彦さんである。


ある企業の研究所のアドバイザリーボードを何年間か一緒に務めていたことがあって、人となりを知っているつもりだったが、今回改めて彼の学生時代の話を読んで本当にびっくりした。
学生運動をやっていたことは他の人から聞いていたが、あれほどの筋金入りの闘士だったとは・・・、現在の温厚な雰囲気からはとても想像も出来ない。こうした学生運動の経歴と学者としての業績がどうリンクしているのかは私のようなものには残念ながら理解できないが、すごい人だと改めて認識した次第である。

さて、学生運動の話は前半で終わっているのだが、今日10月16日はアメリカにおける経済学の恩師のミネソタ大学のハーウィッツ氏についてである。このコラムの最後の方に、「彼(ハーウィッツ氏のこと)は『馬にでも分かる講義』を目指していた」とある。そして難しいことを難しく説明するのは学者なら誰でも出来るが、難しいことを易しく説明するのは難しいと続いている。
私もまさに同感である。というのも私の大学における講義方針は『大学の先生は一般に易しいことを難しく教えるのがうまいが、私は難しいことを易しく教えるのが得意である』と言っているからである。そして、学生に対してもし私の話が分からなかったら、それはあなた方の頭が悪いのではなく、私の説明がへたくそなためだ。だから気軽に「先生、分かりません」と言ってくれてとまで言っている。
ちなみに青木さんがハーウィッツ氏のことを書いているその日に、ハーウィッツ氏のノーベル経済学賞受賞のニュースが飛び込んでくるのだから、青木さんには何かが憑いているのに違いない。

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2007年10月16日 (火)

実績採用かポテンシャル採用か

これから多くの企業で2009年度の採用活動が始まる。その際に、有名校の出身学生ほど大企業に就職が有利と言うことは、大企業は実績、すなわちこれまでの学業成績・クラブ活動歴など、で採用をしているのであろうか。それとも、本音で将来性を判断して、ポテンシャルに基づく採用をしているのであろうか。
企業側はポテンシャル採用をした結果として、たまたま有名大学が多くなっていると説明するのだが、それが本当かどうかは検証できていないし、多くの人は実は信じていないのではないか。

さらにいったん採用した学生、すなわち社員の人事考課も実績、すなわち単年度の業績、で評価するのか、あるいは将来性で評価するのかという同じ問題が存在する。こちらは以前と違って、かなりの企業で将来性より実績を重視するように変わってきている気がする。

さらに踏み込んで企業における人材育成について考えてみると、どこの企業でも上司は「即戦略で使える部下」と「将来性はあるが、指導に手間がかかって当面は成績が上がりそうもない部下」の二人を選べるとしたら、前者を選ぶのではないか。ところが、企業の人材には即戦力ばかりはいないし、即戦力の人材からして、誰かがそうなるまで鍛えてくれたのだから即戦力なわけで、後者の人材を喜んであるいはいやいやでも育ててくれる人がいないと成り立たないことになる。
皆さんは自分の部門の目標達成が厳しい状況でも部下を育成することに時間が使えているだろうか?あるいはそんな部下ばかりを抱えて、育成に努力している上司は、会社から正しく評価されているであろうか。

何でこんなことを書いているかというと、内田ゼミもちょうど来年度のゼミ生を選考する時期に来ているからである。私はゼミ生を、成績よりはこれからどれだけ伸びるかで判断しているのであるが、それが正しくできているのかどうかというとまだ結果が出ていないだけに何とも言えない。内田ゼミはまだ卒業生を輩出していないし、彼らが社会人として実力を発揮し出すのもまだまだ先だとすれば、当面はこの問題をうちに秘めつつ選考を続けていくということになろう。

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2007年10月15日 (月)

嶋口先生

私の恩師であり、もっとも尊敬する嶋口先生がこのたび日本マーケティング協会の理事長に就任されました。
これまで理事長だった宇野政雄先生の後任として、日本のマーケティングの推進役を果たしている団体のトップになられたのは大変うれしいことです。
嶋口先生、おめでとうございます!

ちなみに会長職も、サントリーの鳥井道夫さんから花王の後藤卓也さんに変わりました。

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創造力の送付

創造力の本を申し込んでいただいた方へ連絡遅れのお詫び

創造力の本を申し込んでいただいた方へ、住所を尋ねるメールを送る作業が遅れています。
実は過密スケジュールのせいで、体調を壊してしまい、作業が進んでいません。ブログの更新が滞っているのも同じ理由です。

住所を聞くメールが行っていない方はもう少しお待ちいただけますか。数日中にメールをお送りできる見込みです。
待ちきれない方は、私宛に送付先の住所、氏名、連絡先(電話番号)を送っていただいても結構です。

ごめんなさい。

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2007年10月11日 (木)

日本人は都心のウサギ小屋が好き

ある企業の役員の人と話をしていて、日本人はアメリカ人などに比べて東京の都心に少しでも近いところに自宅を持つことにこだわる傾向があり、少し離れていてもいいから広い庭のある家や自然に囲まれた自宅を好む人が少ないという話になった。しかし、彼曰く、これが時代と共に変わっていくのではないか。具体的には、日本でもこれからはライフスタイルの多様化が進み、都心に遠くても庭いじりをしたり、自然に囲まれることを好むビジネスマンやあるいは多少所得が低くても家で好きなことをやりたがる人が増えるので、そうした住宅が増える。そこにビジネスのヒントがあるというわけである。

それに対して、私は日本人はたとえ狭くても都心の便利さ、すなわち買い物の便、仕事場への近さ、教育環境など狭くても便利な家を選ぶ習性は当分変わらないのではないかと考える。したがって、仮に不動産価格が下がって、東京から1時間半のところに庭が100坪あるような家を売り出したとしても売れないのではないかと思う。それを買う金があっても、わざわざ都心に近い狭い家を同じ価格で買ってしまう気がする。

そして大胆な仮説としては、日本人だけでなくアジア人はすべて「小さくても良いから、都心に近い家、みんなと近くにいたい」という願望を持っているため、アメリカやヨーロッパ型の住宅環境にはならないのではないかと思う。要するに土地が少ないために現在の住宅環境になっているのではなく、狭い地域に群れて済むのが好きなために現在の状態になっていると考えるわけだ。これは、アジアの主な国々、韓国、中国、台湾、シンガポール、タイなどの首都を見て感じることである。田舎に行けばいくらでも土地はあるのに、みんな都心に集中している。

さて、皆さんはどう思いますか?

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2007年10月 8日 (月)

日経新聞の署名入り記事

日経新聞には記者の署名が入った記事や論説が良く載っているが、これにおもしろいものがある。
たとえば今日10月8日の朝刊には、9面の『経営の視点』というコラムに編集委員の小柳建彦氏が、『「ものづくり信仰」脱却の時』というタイトルで、日本の電機メーカーの経営が「工場でモノを作って売る」という発想から脱却できないのが、アメリカの企業や先進企業に比べて致命的であるという記事が載っていた。
欧米では、「製造業とは工場でモノを作る仕事」という概念が薄れていて、iPodのアップルなども生産をすべて外部委託しながら、高収益をあげていると主張している。

この記事の主張に賛成か反対か、納得するか不満を持つかは人によって様々であろう。私も部分的にはおもしろいが全面的に賛成しているわけではない。しかし、「これからのメーカーは同じ物をいかによく作るかではなく、どんな製品・サービスを創造するかで競い合わなければならない」という主張には賛意を覚える。そして、思わず切り抜いておこうと思ったことは間違いない。

署名記事がおもしろいのは、まず著者が自分の主張をはっきりと書いていることにある。署名なしの普通の記事は、何々筋の話としてとか、これによって競争がますます激しくなることが想定されるとか、「一体おまえは何を言いたいのか、あるいはそれは自分の意見なのか、ちまたの噂をまとめただけなのか」と聞きたくなるような主張のはっきりしない記事が多い。それに対して、署名記事には断定的ではっきりした主張がなされていることが多い。社説に近いものであるが、あれほど堅苦しくない。

もう一つのおもしろさは、著者の個性が浮かび上がってきて、そのうち自分のひいきの記者が出来ることである。私にも何人かいる。その人の署名が目に入ったときは、なるべく読むようにして、あああの人はこんな見方をしているのかと参考にしている。これからは小柳建彦にも注目していこう。

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2007年10月 5日 (金)

創造力の単行本

創造力の本プレゼントに申し込みいただいた方へ

9月30日で締め切りました申し込みですが、経営者向けの分は既に発送を始めてますので、もし申し込んだのに届かないという方はお知らせください。

抽選分については50名以上の方から申し込みがあったのですが、経営者分の余分と手持ちの分を充てることでほとんどの方にお届けできる見込みです。近々お知らせいただいたメールアドレスに、送付先を尋ねるメールを出しますので、こちらまで住所をお知らせください。連絡を頂いてから順次発送いたします。こちらも、万が一メールアドレスの間違いなどで、住所確認のメールが1週間以内に届かない場合は、おたずねください。

どちらも連絡先は blog@kaz-uchida.com です

創造力の本をお読みになったら、是非感想をブログにアップしてください。期待しています。

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2007年10月 3日 (水)

グーグル対マイクロソフトその後

本日10月3日付の日経新聞朝刊に、『マイクロソフト、ネットで文書無料管理、「オフィス」向け新サービス、グーグルに対抗』という記事が載っている。

記事の要旨を述べるとマイクロソフトが、ワープロや表計算を含む仕事用のソフトであるマイクロソフトオフィスで作成した文書をインターネット上で無料で管理するサービスを始めるというものだ。既に同様なソフトをネット上で提供しているグーグルやIBMへの対抗措置だと述べられている。但し、オフィスソフトそのものは有料のままで、それをPCへインストールしてユーザーのみが編集やアップロードが出来るという点が、オフィスソフトそのものを無料としているグーグルなどとは大きく異なる。

これはまさに以前取り上げた、といっても1月の話であるが、異業種格闘技「マイクロソフトはなぜグーグルを恐れるのか(上)、(中)、(下)」で、マイクロソフトがどんな逆襲に出るかが楽しみであると述べた、まさにその「次の手」に当たる。戦いの第2幕が始まったわけである。

ではなぜ、マイクロソフトがオフィスソフトを無料にしないのかと言えば、オフィスが彼らの儲けの源泉であるからに他ならない。同記事によれば、オフィスを中心とするビジネス部門の営業利益は2007年6月期で前年同期比13%増の108億ドル(約1兆2千億円)に上り、かつ営業利益率66%とある。こんなに儲かるビジネスを只で提供するわけにいかないのは当然である。
一方で何もしないで放っておくと既存ユーザーがネット上にオフィスのデータを置いておくタイプの新サービス、すなわちグーグルのDocs&Spreadsheetsなどに流れてしまうのを防ぐために、ネット上のサービスのみを無料で提供するという手段に出たわけである。

既にMSオフィスを使用しているユーザーはソフトをスイッチすることなく、ネット上の共有サービスを無料で利用することが出来るので、使い勝手次第ではあるがかなり普及するのではないかと思う。

これに対してグーグルやサンマイクロシステムがどんな対抗手段を講じてくるかが興味深い。たとえば、グーグルも現在のソフトの使い勝手をよくしたり、新たなサービスを繰り出してくる可能性が高い。そのとき第3幕が開くことになる。

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2007年10月 2日 (火)

成熟市場の活性化

Wii & DS その後

本日の日経新聞朝刊に日本のゲーム市場(上半期:4-9月)が前年度に比べ22%増の2900億円強になったという記事が出ていた。内訳はハードが1380億円、ソフトがそれを上回る1540億円となっている。好調な理由が主に任天堂のWii(ウィー)と携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」にあることは、皆さんの想像通りである。

2-3年前まで国内ゲーム機市場は成熟市場どころか、若年層の減少やPCのゲームや携帯のゲームが普及することで、衰退市場だと言われていた。それが今年は過去最高だった昨年を上回る勢いと言う。
これがどうして、一転成長市場に様変わりしたかと言えば、ひとえに任天堂の開拓した新市場によると言うことが出来る。従来型のゲーム機(例えばプレイステーションやゲームボーイ)ではなかなかソニーに勝てない中で、彼らが考え出したのが、あるいは窮余の一策と呼ぶべきかもしれないが、これまでゲームをやっていなかった層にスポットライトを当てることである。とりわけ中高年と女性というのは、これまでのゲーム機市場では全く相手にされていなかったセグメントである。その結果の大ヒットが「脳トレ」だったのは皆さんもよく承知の話である。このあたりはPS3とイノベーターズジレンマの項も参考にしてください。

さて、今日の本題は成熟業界や成熟市場で悩んでいる企業の方が、再度企業を成長させようとするときにどんなオプションがあるのかということである。
一つ目は新規事業を始める。但し、自社にとって新規でもその分野に既に前からいる企業にとっては既存事業なので、成功確率は低い。
二つ目は海外進出である。これも不慣れな海外に行っても、既にいる企業と戦うことになり、しかも仕事の進め方、すなわち業界の慣習や法律・文化などが異なるので、結構苦労する。しかし、日本のメーカーの多くはこのパターンで成功してきている。造船・鉄鋼・精密機械・電気・自動車など皆このパターンである。
三つめは、M&Aである。成熟市場で過酷な競争を展開しているより、競合と一緒になった方が企業規模も大きくなるし、競争も一時的に弱まるというわけである。しかし、この考えは顧客(市場)のことを無視しているので、長い目で見て本当に成長できるのかは疑問である。
四つめは既存市場の再活性化である。例えば、昔セイコーがやった「なぜ時計も着替えないの」というキャンペーンは今も語りぐさになっている。というのも、それまで時計は一度買ったら一生もので、そう簡単には買い換えないものという認識があった。そうなると、一人に一台しか売れないし、しかも滅多に買い換え需要が発生しない。それを打ち破って、一人で複数個持ったり、ファッションとして頻繁に買い換えるようにし向けたのがこのキャンペーンである。結果として時計市場は活性化された。

今回の任天堂によるゲーム市場再活性化、あるいは自社の再成長はこの四番目のパターンと見ることが出来る。ちなみに9月29日付日経新聞に、今年の上期末での時価総額ランキングが載っていて、任天堂はなんとトヨタ、三菱UFJ、NTTについて4位というポジションにおり、キヤノン、ドコモ、ホンダ、武田薬品などを上回っている。この株価が正当かどうかは別として恐るべし任天堂である。

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2007年10月 1日 (月)

全員フツーの人?

私がハウツー本を読むのが好きなことは以前にも紹介したが、最近読んだ本で秀逸なハウツーものを見つけた。

カッパブックスの光文社から出ている光文社ペーパーバックスというシリーズの中の1冊『No.1販売員は全員フツーの人でした。でも、売上げ1億円以上! なぜ』というタイトルの本です。ルポライターの松井政就さんという人が日本の主要企業10社のトップセールスパーソンにインタビューして、その秘訣を聞き出そうという本である。彼は最初は各人が特別の才能を持っていたり、人をうならせるようなすばらしいことをやっているのかと思って取り組んだが、実は10人が10人とも当たり前のことをやっていることが分かったということから、このタイトルになっている。

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しかし、私が注目したのは、やはり彼らが普通の人ではなく、特別な人々だということである。というのも、この本を読んで私はボールペンで赤線を引きまくり、ラインマーカーで黄色く印をつけたところが続出したからである。久しぶりにいい勉強になった。

ビッグカメラのナンバーワン販売員山藤さん「これください」の商品はそのまま売らないという節に、「何がほしいかではなく、どんな生活をしているかが商品選びでは重要です。」なるほどと納得。
「買う気のないように見えるお客様にも、必ず声をかけます。買う気のない人がどうかでヤキモキするくらいなら、1度声をかけてその場を離れてしまえばいいんです。」うーんなるほど、BCGにもこれがうまい人がいたな。
では、なぜ買う気のあるお客さんに気づかないのか?「お客様の目を見ていないからです。接客してほしいとき、声ではなく目で呼びかけてくる人がいるんです。」反省、反省。
ベスト電器のナンバーワン、大谷さん。中でも、特に買ってもらえる可能性が高いのが、お母さんと子供だけで大型テレビを買いに来たお客さんだという。なぜか知りたい人は本を読んでみてください。うなりました。

近畿日本ツーリストのナンバーワン、中上さん。「旅行が車やテレビのような商品と違うのは、気持ち次第で楽しさが180度変わることです。」うーん、コンサルタントにも当てはまるな。

中でも一番感銘を受けて、ファンになってしまい、一度会いたいと思っているのがJTBの久世さん。
久世に言わせれば、「アメリカ5日間の旅を予約しに来た人が、タイ6日間の旅を予約し、満足して帰るのが店頭の力である。」あるいは「私が30分何かするだけで、お客様の旅は一変します。」うーん、プロ。
サラリーマンのストレス解消法として、会社を出たら仕事のことなど一切忘れろという人がいるが、仕事を離れたときこそ、見えてくるものある。
「買ってもらうために料金を下げる必要はありません。」
そうだそうだと頷いてばかりいました。

これで税込み1000円は、超お買い得。

ちなみに私が赤ボールペンと黄色のラインマーカーをどう使い分けているのだろうかと気になった人、ごめんなさい。違いはありません、そのとき使える筆記具を使うだけです。

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