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2007年9月 5日 (水)

レーザーディスクの耐久試験

オークネットという自動車オークションの会社がある。現在はブロードバンド回線や衛星回線を使った中古自動車のオークションを行っている。それまで実物を見るのが当たり前だった業界に始めて、ネットワークを使ったバーチャルなオークションを導入した企業である。インターネットがない時代に全国をネットワークして自動車オークションをやっていたから立派なものである。
いくら実物を見ないといっても、どういう車かを知ってもらうかというために何らかの映像が必要である。インターネットもないし、当時は通信回線で鮮明な画像を送るのは技術的にもコスト的にも難しかった。そこでオークネットが目をつけたのがカラオケや映画用として使用されていたパイオニアのレーザーディスク(通称LD)である。レーザーディスクに毎週の売り物を記録し、それを事前にオークション参加者(中古自動車販売業者)に送っておき、オークションにおける価格決めの参考にしてもらうという考えである。

ところが、実際にレーザーディスクに映像を記録する段階で問題が生じた。というのもレーザーディスクに収録された映像がきちんと記録されたかの耐久検査に時間を要するためにレーザーディスクが出来上がるのが2週間後になってしまうとパイオニアが言い出したからである。
そもそもパイオニアのレーザーディスクというのはカラオケなどで使われるときにテープや他の方法に比べて、何度使っても全く品質が劣化しないというのを売り物にしてきたので、製品として出す以上きちんと耐久品質検査をしないといけないというわけだ。カラオケでは同じ曲が何百回とかかるのでこの耐久性はきわめて大事な要素である。また、映画もビデオだと繰り返し見るうちにだんだん劣化してくるのに、LDではそれがないというのも特徴だった。

ところがオークネットから見れば、このディスクは翌週のオークションで1回しか使わないので、映像がきれいであれば耐久性は全く必要がないということになる。パイオニアの言い分を鵜呑みにしていたのでは、タイミングが遅すぎて中古車が出品できない。最後はオークネットの要望を聞いてもらったそうであるが、従来の映像事業のパラダイムから見ると譲れない耐久検査が、オークションという一過性の事業では全く必要がないというのもおもしろい話だ。

こうしたパラダイムの壁を破らないと新しい事業というのは生まれない。

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