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2007年8月 3日 (金)

サムソンのブランド構築

昨日はサムソンをテーマにした講義だったが、元サムソン社員で現在は大学の先生をしている人のマーケティングに関する話がおもしろかった。
これまでブランド価値が低かったサムソンブランドをどうやって現在のプレミアムブランドのポジションまで持ってきたか、あるいは今後持って行くかという話だった。インターブランドという会社の調査ではサムソンブランドはグローバル20位で、ソニーの26位をしのぐ(2006年調査)ということで、サムソンではそれを強調している。ところが、サムソンはこんなにすごいブランドなんだと力説しながら、内部ではまだまだソニーに及ばないことはよく分かっていて、その差をどう埋めるかを詳細に検討している話が印象に残った。

では、どうやってブランドを作ろうとしているかと言えば、一言で言うとこれまで製品ごと、地域ごとにばらばらに行われていたマーケティングを中央で統一的に行った点にあると感じた。そのためには何をグローバルでやり、何をローカルでやるか、あるいは訴求すべきポイントは何かと言ったことを詳細にかつシステマチックに検討している。
そうしたことの結果、携帯で作り上げたプレミアムブランドがほかの家電製品に伝搬して、サムソン電子全体の製品のブランド価値が上がったという話もおもしろかった。

また、全体で統一してしたマーケティングを行う以外に個別にユニークな施策もやっているそうで、それもおもしろかった。
たとえば、貴族marketingでは、中国の金持ち、中近東の王族などを対象に注文販売で高級品を売るという仕組みだ。たとえば、セリーヌ携帯などを売ったそうだ。個人的にはこれでどれだけブランド価値が上がるか疑問だが、日本で言えばテレビドラマで人気タレントが自社ブランドを使ってくれるような効果でもあるのだろうか。
これ以外にも、YouthMarketingと称して、ベトナム、タイ、マレーシアなど若者が多いアジア向けにイベントを通じてブランド価値を上げる努力をしている。たとえば、MTV Asia Awardの後援、あるいはMP3デザイン賞などをやっている。もうブランドイメージの固まっている地域や年配者ではなく、これからの市場でブランド価値を高める作戦だと思った。
また、Experience Marketingというのはサムソン製品を体験してもらうためのセンターを設けて、サムソン製品をみんなにさわってもらおうという仕組みだ。サムソンに対して好イメージを持ってもらおうと言うねらいで、販売は行っていない。ニューヨークのセンターでは年間100万人が訪問したという。何となくソニービルのまねのような気がするが・・・。

金にものを言わせていろいろやっている気がしないでもないが、それにしても会社全体でブランド価値を上げようと積極的に取り組んでいることだけは間違いがない。日本の電機メーカーではあまり感じない姿勢である。ブランドを大事にしているソニーでも、ソニーのブランドを守ることにはきわめて熱心であるが、サムソンのようにブランド価値を全社で上げていこうという姿勢はあまり感じない。守りの企業(ソニー)と攻めの企業(サムソン)の違いであろうか。

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コメント

ブランドやコーポレートに経営者のイメージが結構大事になってきているというのはその通りです。
日本でもそうしたブランドビルディングに優れた経営者が出てきているようですが、個人的にはそうしたことにまで気を遣わなくてならない経営者に同情をしています。
私もあまり有名ならないように注意しないと、気軽にドーナツ屋さんに入れなくなるな・・・。

投稿: 内田和成 | 2007年8月 7日 (火) 22時59分

Jさんへ
NYのSamsung Experienceはまだ行ってません。今度NYに行ったときには是非寄ってみます。
各地にあるAppleStoreも結構わくわくするものを感じますね。
それに比べて、確かに最近のソニーそうした部分に十分な投資をしていないかもしれませんね。
がんばれソニー!

投稿: 内田和成 | 2007年8月 7日 (火) 22時56分

コーポレートブランド構築には、経営者が社会において、どのような振る舞いをするかも大事なポイントだと思います。コーポレートレピュテーションマネジメントはこれからの経営に必要な課題と感じます。さて、内田先生がドーナツがお好きとは知りませんでした。ミスタードーナッツのお店の入り口に狛犬のように置いてある景品は、外回りの営業で疲れたサラリーマンのおじさんが入りづらいような戦略と聞きました。でも先生はスマートでダンディですから、全然問題ありません。

投稿: | 2007年8月 5日 (日) 18時19分

私の勤務先は100カ国以上で事業を展開しています。当然ながら、グローバルなブランド力は大変重要です。ですから、書いていただいたSamsungの試みについて、興味深く読ませていただきました。

内田さんはNYのSamsung Experienceに足を運ばれたことはありますか(ガジェットお好きでしたよね)。ワクワクするような商品展示に気の利いた対応、絶好のロケーション...Samsungの気合と勢いが感じられます。Sonyを参考にしたのでしょうが、その「インプリ」は2歩も3歩も進化している感じです。

それと対照的なのが昔からあるNYのSony Plaza。投資をしていないのがありありで、店員もほぼ例外なくぶっきらぼう、寒々しい雰囲気です。

私は長年Sonyのファンでしたが、そんな状況を目にした昨今はちょっと...

投稿: J | 2007年8月 3日 (金) 22時22分

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