« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »

2007年8月

2007年8月30日 (木)

プロ野球とJリーグ(続き)

Jリーグの清水エスパルスが好調である。昨日の試合を終わった時点で、勝ち点41で18チーム中4位の位置をキープしている。首位浦和が勝ち点52なので、トップとの差は大きいが良い位置である。昨年度に長谷川健太が監督になって以来好調である。選手としての長谷川を応援していたが、まさか監督でここまでやるとは思わなかった。どちらかというと日本代表のキャプテンをやったこともある澤登の方が監督の素質があるかと思っていたのが、これでは澤登の出番はないのかもしれない。

さて、以前異業種格闘技の事例としてプロ野球が不調なのは、Jリーグに顧客を取られているわけではないという話をしたことがあるが、覚えていてくれただろうか。
最近の野球のテレビ中継を見ていると、それがよく分かる。NHKでは滅多にプロ野球の中継をやっていないが、大リーグの方は毎日のように放送している。もちろん放映権の関係もあるのだろうが、それにしても大リーグ偏重が激しい。それだけ、大リーグ放映の方がプロ野球より視聴率が稼げると言うことだ。すなわちプロ野球の競争相手はJリーグというよりは、アメリカのメジャーリーグだというのは、これを見ても明らかであろう。もちろんスポーツとしての競合という意味であって、TV放送という視点では他のTV番組すなわちクイズ番組・ドラマ・バラエティなどと視聴率争いをしている構図に変わりはない。


一方で、サッカーの方はちょっと変わった状況である。Jリーグの競争相手は野球ほどクリアには見つからない。選手がどんどんと海外に出て行くという点では、プロ野球と一緒であるが、それが必ずしも日本でのサッカーの人気にマイナスにはなっていない。というのもプロ野球と違って、TV中継依存のビジネスモデルになっていないためである。TVの視聴率で見ても、滅多に放送されない上にたとえ放送されたとしてもプロ野球よりさらに低い視聴率しか取れない。Jリーグのビジネスモデルはキー局のテレビ放映権にはあまり依存していないのである。それより、実際にスタジアムに足を運んでくれる人に大きく依存している。
さらに事態をおもしろくしているのは、Jリーグの試合とは別に日本代表の試合というのが年に何試合もあってこちらはTVのゴールデンタイムにも放送されるおいしい番組になっている。ただし、代表の試合はTVで見る人がJリーグの試合を見に競技場に通うことはあまりない。
となるとJリーグの競争相手というのは若い人が好む別のスポーツやスポーツ以外のエンターテイメントということになるのかもしれない。
皆さんはどう見ていますか?

まあ、いろいろ書いてきたがエスパルスには後11試合、この調子で頑張ってもらって何とか優勝争いに加わってもらいたいものだ。
本音は今年も降格争いの心配をしなくて済むのがうれしいというか、安心して見ていられるということだ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年8月28日 (火)

「観、感、勘」続き

夏休みで、ブログの更新を怠っているにもかかわらず、相変わらず大勢の人に見てもらっていて、ついにページビューが10万回を超えました。すごいことです。
どうもありがとうございます。

今日は先日の「観、感、勘」について、青山学院のビジネススクールで教えていたときの学生の橋本さんから、メールももらいましたので紹介します。(もちろん、本人の了解は取っています)。

先生が15日にアップされた『観、感、勘』を拝読させていただきました。

生意気ながら、最近、橋本がつらつら考えますに、何かひとつの仕事を完結してい
くときに必要なのは、
やはり、最後は『勘』(人には上手く説明できないのですが、自分としては自信が
あるというか、迷いがない
状態)のような気がしているのです。

ただし、絶対に必要なのは、『何も調べない、今までの経験だけ』で勘を働かせる
ことではなく、
判断の材料に必要な情報(現地に行く、最新の数字周りの情報を集めるなど)、や
れることは
全てやった上で、その中で、最後の決断は、勘に任せるといった感じになるのでは
ないかな・・・と思うのです。

仮説思考で先生がおっしゃっていたとおり、ある程度結論を決めてから、情報を集
めていくと、正しい場合には
きれいに道筋が描けることも、きっとそうなのだろうな~~と思うのですが、
どっちに向いて良いかがわからない、雲をつかむような問題の場合には、最後は、
腹をくくると申しますか、
勘を働かすと申しますか・・・という感じなのだと思うようになりました。

橋本が、最近「これは良い」と思っている方法は、下記のとおりです。
何か新しいことをするときには、24時間から48時間くらいで、とにかく闇雲に情報
を集めてみます。
本でも良いし、インターネットでも良いし、担当者の方のお話やグチでも良いし・
・・で、大体集まったものを
一旦、頭の中において、数日頭の中でもむ感じです。
そこで、色々な思考やアイディアは沸いてくるのですが、そこで、結論を出さずに
、一旦、脳にしまって
他の仕事をしたり、ぼんやりと考える時間を設けるのです。
その問題の当事者ではなく、傍観者として問題を遠目でみるくらいの心境がベスト
なような気がします。

私は、この期間を『熟成』と読んでいるのですが、そうして良い感じで『熟成』が
進むと、
ある日、私の場合江戸川沿いをジョギングしていたり、ウォーキングしていたりす
ることが多いのですが
そのときに、『あ、あの問題は、こっちの方法の方が良いや』とか、『この問題点
は、ここだったのか~~』と
頭にぽんと解答が沸いてくる感じなのです。

そのときは、なぜか確信に近いものがあって、迷いがないといいますか、その結論
に向けて、がむしゃらに
仕事を片付けるといった感じになります。
この場合は、プロジェクトのメンバーにも、迷いなく、色々とお願いごとができる
ので、仕事の進みも、とても
良い感じで、結果も良いことが多いです。

これは、先生のおっしゃる『勘』に該当するものですか?

経験、数字、情報だけでは説明できないものがあって、センスという言葉に集約さ
れてしまうのかもしれないのですが、
先生のおっしゃる『観、感、勘』をどのくらいお持ちなのかによって、結果が、全
然違ってくるのだろうな~~と、
感じています。
『観、感、勘』を、身につけて、良いお仕事を継続的に、楽しくできればステキな
ことだな~と、思っております。

橋本さんへ

あなたの行っていることは、立派な仮説思考であり、また勘を働かせていることだと思います。多くのプロフェッショナルも、勘の大切さを説いていますが、勘が冴えるためには同時に経験や試行錯誤が大事なことを言っています。
橋本さんにも勘を働かせるための経験がたまりつつあるのだと思います。
Keep going!

内田和成

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年8月24日 (金)

海底のバドワイザー

久しぶりの20の引き出しである。コンサルタントになるための20冊のトップバッターで紹介した「パラダイムの魔力」という本に載っているネタである。

あるダイバーが50mの深さの海底に落ちているバドワイザーの缶を見て、いつもの赤と白の模様が見えたので不思議に思ったという話である。私はダイビングをしないし、あまりそちら方面の科学的知識があるわけではないので、海底に落ちているバドワイザーの赤白模様が見えて何がおかしいのかと思ったのであるが、実は光の屈折の関係で深さ50mでは赤の光は見えないそうである。そのダイバーは科学的知識があったが故に見えないはずのものが見えたために驚いたと言うことになる。

どうして見えないはずのものが見えるかと言えば、日頃頭の中にバドワイザーといえば赤と白と刷り込みが起きているために、本当はない色を頭の中で作り出してしまうという話である。人間は自分が日頃よく見ているものと違うものを見ると、それを勝手に修正して、元のデザインなり色に直してしまう能力を持っているそうだ。

パラダイムの魔力の著者によるとソ連のチェルノブイリの原子力事故で被害が拡大したのも、科学者たちが目の前で惨事が起きているはずにもかかわらず、こんなことが起こるはずがないと信じ込んでいたために対応が後手後手に回ったことが大きいと述べている。

とても恐い話である。というのも企業活動の中でこんなことはいくらでも起こりうる。たとえば、これまでの実績から自社製品は競争相手のX社より品質が優れていると思いこんでいると、たとえ競争相手がすばらしい商品を出してきても、それがデータの間違いであるとか、たまたま運がよかっただけで、相変わらず自社の方が優れているはずだといった思いこみは平気で起こる。
あるいはユーザーのニーズが大きく変わって、これまでの性能重視からデザイン重視に変わりつつある状況で、今は消費者が気まぐれであの製品が売れいているが、ブームが終わればまた性能重視に戻るはずだなんて言う思いこみもいくらでも起こりうる。
要するに目の前で起きている重要な変化を、自分のこれまでのフィルターで見てしまうことで平然と見逃してしまうと言うことになる。

この話を知って以来、それまで大事な話と思っていた「百聞は一見にしかず」は時として危険であると思うようになった。なぜならば人間は見たいと思っているものを見てしまう、すなわち「信じるものを見る」と言うことが分かったからである。思いこみの恐さである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年8月18日 (土)

トヨタ・日産・ホンダ

昨日のリクルートのDNAの本の続きである。

リクルートが自動車メーカーの採用活動を手伝ったときに感じたことがおもしろく載っていた。
日産は優秀な人材を集めていたが、豊田はタフな人材を採用していた。それに対して、ホンダの本田宗一郎氏は、採用と面接試験は人事部に任されていたが、『入社後半年は全員を工場に配属。その間、上司である係長へ毎週業務レポートを提出させ、半年後に藤沢武夫副社長と、レポートを読みつつ新入社員一人ひとりと1時間ほどかけて面接し、向き不向きを見て配属先を決定している』と話されていたと書いてある。3社の違いが分かっておもしろい。

これ以外にも、リクルートブック作成のために松下電器の松下幸之助さんを訪問したときに、江副さんが大阪支社長やカメラマンなど総勢5名でインタビューに望んだところ、幸之助さんから「私ひとりのインタビューに5人も来られて、おたくはえらい儲かってる会社でんな』と言われ、それ以来江副さんは極力ひとりで訪問するようになったとかかれていたりして、大変参考になる。
ビジネスの大きさや相手の重要度に応じて、会議に臨むこちらの人数を増やしているような会社は将来性がない。仕事の必要度に応じて、人数をそろえるべきである。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年8月17日 (金)

リクルートのDNA

リクルートを創業した江副浩正氏の書いた「リクルートのDNA」という本の中にいくつかおもしろいフレーズがあったので、紹介しよう。

セコムの飯田亮さんを例に出して、成功するには『天の時』が大事と説いている。江副さんは、ベンチャーで成功するには、時代を一歩先取りする、すなわちその事業を始める『天の時』が大事と言っているが、私はそれはタイミングであると思っている。ビジネスで、早くてもいけないし、遅すぎてはもっとダメと言うことは数多くある。その中で、『今だ』と感じることができるか、さらにはその時点で不確定要素がありながら、『ゴーサイン』を出せるかどうかが、経営者の先見性であり、決断力だと思っている。もちろん、江副さん自身も天の時を間違えなかったためにリクルートという会社をこれだけ大きな会社にできたのだと思う。

江副さんの経営理念(モットー)の一つにこんなのがあった。
分からないことはお客様に聞く主義。・・・略・・・、そこで大切なことは、自分の意見を持ってお客様の意見を聞く姿勢である。自分の意見を持たなければ、お客様の本当の声を聞き取ることはできない。賛成である。最近は、まず人の話を聞いてから自分の意見をまとめるきらいが強い気がするが、自分でまず意見(仮説)を持ってから、人の話を聞いて、自分の意見を検証したり、修正することが大事だと思う。

リクルートがやっていた経営戦略を決める泊まりがけの取締役会「じっくりT会議」を有名なホテルや旅館でやったことを紹介しているところで、「『居は気を変える』という。分不相応に立派な宿を選んだのは、非日常的な贅沢な空間に身を置くことで豊かな発想が生まれる、と考えたからである。」とある。BCGでも企業の役員や幹部を対象に役員合宿という1泊2日程度のディスカッションを、東京から離れた場所でやることがよくある。これも江副さんの発想と全く同じで、毎日の仕事や意思決定から離れたところで、全社的な視点や長期的視点で物事を考え、議論するためである。

リクルートのDNAという本自体は、江副さんのメッセージが必ずしもクリアでなく、やや物足りなさを感じたが、経営のヒントにはあふれている。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2007年8月15日 (水)

観、感、勘

現在、夏休みで蓼科の山の中に来ている。頭が休みモードな上に、ネットもうまくつながらないときもあり、すっかりブログも半休状態である。ごめんなさい。

以前、経営は最後は勘だという話をしたことがあるが、今日はその続きである。

経営に大事な要素に3つのカンがある。観と感と勘である。語呂合わせだと言われそうであるが、その通りである。

最初の「観」は、ものを見る力である。大局観とか、観点といったときの観と同じ意味の観である。経営者にとった、今何が起きているか、あるいはこれから何が起きているかを、大局的な視点から見ると同時に、現場の目線で見ることもきわめて大事なことである。要するに眼をしっかり開けて今自分の周りで起きていること、あるいは今後起こるであろうことをしっかり見ると言うことである。これについては、そんなに異論はないと思う。
しかし、物事を正しく見るというのは実は難しい。もちろん何が正しいのかというのも、状況によって異なるわけだから、人によって見るものが違ったり、大事に思うものが違うのは当然である。しかし、ここで難しいというのは正しさの定義の問題ではなく、見方の難しさのことである。というのも、人間というのはどうしても主観的に物事見てしまう。すなわち自分の見たいものを見てしまったり、自分のフィルターを通してしかものを見られないからである。

二番目の「感」は文字通り、感じるの感である。顧客が何を思い、自社の社員が何を見て、どんな思いを抱いているのか知るといったごく当たり前の感情である。あるいは競争相手や社会も含めて、何が起きているのかを感じる力である。こうした感じる力を忘れて理屈に走った経営者はどこかで足下をすくわれる。もちろん感情ばかりで経営する経営者の方がもっと危ないが。
ここで言う感には、通常の感覚の意味以外に、風向きが変わるとか、ツキを感じるといった場合に使う感も含まれている。経営にこうした個人的な感覚とか非論理的な考えを持ち込んでよいのかという意見もあるかと思うかが、こうした自分が感じることを大事にするのも人生だけではなく経営においても大事だと思う。
一番目の観が、自分の目で見たものを大切にしろという意味だとすれば、こちらの観は目を閉じて心の声を聞くと言うことになろうか。
私はこうした感じる力のことを経営者の方やコンサルタントに、肌感覚を忘れないでくださいと伝えている。

最後の「勘」は、こんなもので経営をしてはいけないと、ビジネススクールでは教わるだろう、いわゆる勘である。昔から、日本人は経験と勘と度胸のKKDで仕事をしているからダメなのだと言われる勘の話である。もちろん、日々の仕事をすべて理屈や戦略なしに自分の直感と経験ばかりで仕事しては、自分に進歩がないだけでなく他人にノウハウが移転できないために組織の力が発揮されない。
しかし、企業を経営したり、組織を預かる人間がどうしても理屈では決めきれない判断、すなわち意思決定をしなくてはならない場合は意外と多い。その場合、黒白はっきりするまで意思決定を延ばしたり、あまり数字ばかりで判断するとうまくいかない。時には自分の勘を信じて、これだと意思決定する必要がある。
もちろん、この意思決定に至るまでには、いわゆるロジカルシンキングも必要だし、あの人が言うのならしょうがないと他人に思わせるだけの実績も必要である。だが最後は、これだと信じた道を行くのも経営者の大事な仕事だ。こんな時に、多数決で決めたり、いくつかの項目の○×表を作って、○の数で決めたりするのは最悪の意思決定だ。

観、観、勘の話はまだあまりロジカルに組み立てができていないので、是非皆さんの意見を聞いて、進化させていきたいと思っています。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2007年8月11日 (土)

プロ弁護士の思考術

夏休みに入って、更新が滞っています。ごめんなさい。
今日は、コンサルタントへのお薦めの本5冊目です。

ベテラン弁護士の書いた「プロ弁護士の思考術」という本である。読んでいて最初は自分の考えとちょっと違うなと思ったのだが、読んでいくうちに同じプロフェッショナルとして、参考になる考え方が多いなと思い直した本である。

Photo

若手弁護士が陥りがちな例として、「だが、インターネットでサンプル契約などを集め、適当に取捨選択して契約を作る例が絶えない。自分の考えがない検索上手だが、考え下手の若手が激増しているようである。」をあげている。コンサルタントにもそのまま当てはまる文章である。

選択の自由は最大の自由という節では、
「弁護士の役目は、このような無数のオプションを提示し、効果を予測、比較検討する判断材料を提供することにある」と書いてあるが、これも経営コンサルタントの役割そのものである。

反対意見の重要性について、「批判に耳を貸すとき、思索は一段と深まる。反対意見を聞くのは、他人のデータベースにアクセスするようなものである。」うーんとうなる、素晴らしいフレーズだ。

学生と社会人の最大の違いは、社会に出たら教科書にない全く新しい問題に直面することである。新しい問題だから、解答も分からず、正解もない、とある。全く同感である。

思いつきで未来を台無しにするひとたちという節では、
思いつきで部下に指示を出して会社に損害を与えるトップの例が出ている。
「このようなタイプの上司は、物事を細かい手順に小分けして、具体的に考えることが出来ない。大きな課題を単純に考え、抽象的な支持を繰り返す。」ダメなプロジェクトリーダーそのものである。私も昔、こうしたタイプだったのでよく分かる。

中にはどうかなと思うような記述もあるが、おおむねコンサルタントの心構えや考え方に共通するものが多く、役に立つ1冊である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年8月 7日 (火)

政治家は品行方正ではダメだ

最近のマスコミの風潮を見ているとやたらと政治家に清廉潔白・品行方正を求めるが私は大きな間違いだと思っている。
と言うのも日本の政治に今必要なことは、今までの成長経済から成熟化した日本社会や日本経済へ大きく舵取りを行う改革を指揮するリーダーが必要だからである。改革を行うということは古いしきたりや常識にとらわれずに、大胆な提案を行ったりそれを実行していくと言うことであり、今までのルールを破って新しいルールを作ると言うことである。

その役割を担うリーダーが小学校の頃から校則を破ったことがないとか、今まで一度もお巡りさんにやっかいになったことがないという優等生に務まるわけがない。優等生が既存のルールを破るなどできるわけがないのである。ということで、今のリーダーに期待するのは型破りな人間であり、そのためには多少の過去など不問に帰すべきと考えるがいかがであろうか。
これは企業改革に成功してきたリーダーを見れば自明と思うが皆さんはどう考えますか?

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2007年8月 4日 (土)

ソウル便り最終回

今日ようやくソウルから帰ってきた。台風一過の後、気持ちよく帰れると思ったが、ソウル地方が大雨で、空港が閉鎖になり、結局ソウル空港を出発したのは4時間遅れだった。団体行動で3時間近く前に空港に到着していたために、空港に6時間半も滞在するという羽目に陥ってしまった。残念。

今日は韓国滞在の総括と思ったが、ようやく帰り着いたこともあり、気がついたことを2-3記して終わりにする。

So_3

この写真はソウル中心部を流れる人口の川である。かつて流れていた自然の川がなくなってしまったの惜しんで、それを5kmにわたって復活させたそうである。市民の憩いの場所となっているようで、夕方にかかわらず大変な人がいて、子供たちが川の中で遊んでいたりしている。ただし、この川は人口の川で水道水を使用していると聞いた。贅沢だな。

二つ目は、ソウル市内にはなぜか眼鏡屋さんがすごく多い。とりわけ観光客・日本人目当ての店が多いような気がした。めがねが安いのかな、それとも性能がよいのかな?デザインが優れているという感じはしなかった。中には10分で作りますといった看板を掲げている店もあったのには驚いた。理由を知っている人は教えてください。

時々テレビを見ていて感じたのは、今や日本も香港も上海もソウルも若者向けの番組はみんな同じように見えるということだ。日本で言えばジャニーズの若手が出ているような音楽番組、SMAPのような絵に描いたようないい男といい女のテレビドラマ、クイズ番組、どれも言葉がなければどこの国の番組が分からないくらいに通っている。
アジアの市場、とりわけ若者市場が急速に均質化しているような気がする。

Gimpoairport_2


最後はおまけのおまけで、金浦空港の掃除のマシーンである。デジカメが故障して、携帯カメラで撮影したのでピンぼけで申し訳ないが、子供の乗る三輪車を大きくしたような乗り物の先頭にモップがついていた、床をすいすいと拭いていく。効率も良さそうだが、乗り回してもおもしろそうだった。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年8月 3日 (金)

招かれざる客

またまたドーナツの話である。

さて、下の写真は昨日ソウル市内で見つけたダンキンドーナツの店である。

020807_2101

ダンキンはどこにでもある。一方でミスタードーナツはまだ1店のようだ。興味がある人は下記のホームページをご覧ください。ネットで見る限り、人気なようだ。
ミスタードーナツ1号店 in Seoul

http://www.konest.com/data/gourmet_mise_detail.html?no=1565

昨日のブログで私はミスタードーナツが好きと書いたが、今日の講義で神戸大学の加護野先生がショックなことを教えてくれた。ミスタードーナツのターゲットセグメントは名刺を持っていない人だそうだ。具体的には女子高生・主婦・OLなどだ。彼女たちが快適に過ごすためには男性がいないほうよい、そこで男性を排除する仕掛けとして商品に男性が好きなものを置かないとか、景品も女性が好きそうなものに限るとか工夫をしているそうだ。と言うことは、私は招かれざる客ではないか。これまでそんなことを知らず、ミスドーに言っていた。おまけにポイントカードまで持っている。知らないと言うことは恐ろしいことだ。でもこれからも行き続けると思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

サムソンのブランド構築

昨日はサムソンをテーマにした講義だったが、元サムソン社員で現在は大学の先生をしている人のマーケティングに関する話がおもしろかった。
これまでブランド価値が低かったサムソンブランドをどうやって現在のプレミアムブランドのポジションまで持ってきたか、あるいは今後持って行くかという話だった。インターブランドという会社の調査ではサムソンブランドはグローバル20位で、ソニーの26位をしのぐ(2006年調査)ということで、サムソンではそれを強調している。ところが、サムソンはこんなにすごいブランドなんだと力説しながら、内部ではまだまだソニーに及ばないことはよく分かっていて、その差をどう埋めるかを詳細に検討している話が印象に残った。

では、どうやってブランドを作ろうとしているかと言えば、一言で言うとこれまで製品ごと、地域ごとにばらばらに行われていたマーケティングを中央で統一的に行った点にあると感じた。そのためには何をグローバルでやり、何をローカルでやるか、あるいは訴求すべきポイントは何かと言ったことを詳細にかつシステマチックに検討している。
そうしたことの結果、携帯で作り上げたプレミアムブランドがほかの家電製品に伝搬して、サムソン電子全体の製品のブランド価値が上がったという話もおもしろかった。

また、全体で統一してしたマーケティングを行う以外に個別にユニークな施策もやっているそうで、それもおもしろかった。
たとえば、貴族marketingでは、中国の金持ち、中近東の王族などを対象に注文販売で高級品を売るという仕組みだ。たとえば、セリーヌ携帯などを売ったそうだ。個人的にはこれでどれだけブランド価値が上がるか疑問だが、日本で言えばテレビドラマで人気タレントが自社ブランドを使ってくれるような効果でもあるのだろうか。
これ以外にも、YouthMarketingと称して、ベトナム、タイ、マレーシアなど若者が多いアジア向けにイベントを通じてブランド価値を上げる努力をしている。たとえば、MTV Asia Awardの後援、あるいはMP3デザイン賞などをやっている。もうブランドイメージの固まっている地域や年配者ではなく、これからの市場でブランド価値を高める作戦だと思った。
また、Experience Marketingというのはサムソン製品を体験してもらうためのセンターを設けて、サムソン製品をみんなにさわってもらおうという仕組みだ。サムソンに対して好イメージを持ってもらおうと言うねらいで、販売は行っていない。ニューヨークのセンターでは年間100万人が訪問したという。何となくソニービルのまねのような気がするが・・・。

金にものを言わせていろいろやっている気がしないでもないが、それにしても会社全体でブランド価値を上げようと積極的に取り組んでいることだけは間違いがない。日本の電機メーカーではあまり感じない姿勢である。ブランドを大事にしているソニーでも、ソニーのブランドを守ることにはきわめて熱心であるが、サムソンのようにブランド価値を全社で上げていこうという姿勢はあまり感じない。守りの企業(ソニー)と攻めの企業(サムソン)の違いであろうか。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2007年8月 2日 (木)

クリスピー・クリーム・ドーナツ(続き)

菅生さん、コメントありがとうございます。コメント機能がこちらから使えないので、ここに書いてます。ソウルでは、ダンキンドーナツはたくさん見ますが、ミスタードーナツはまだ見てません。

ちなみに私はドーナツが大好きで、日本ではミスタードーナツによく行きます。あの薄いコーヒーも大好きです。日本では圧倒的に強いミスタードーナツであるが、アメリカではミスタードーナツは負け組で、勝ち組はダンキンドーナツの方であるという話をご存じだろうか。
日本に両社が入ってきたときに、ダンキンは西武と組み、ミスタードーナツはダスキンと組んだ。世間の見立ては、大企業と組んだダンキンが勝ち、ミスタードーナツは負けるだろうというものだった。しかし、結果は逆になった。こうした本国のシェアと日本のシェアが逆転している例はほかにもたくさんある。たとえばグローバルシェアトップのカミソリはジレットであるが、日本ではシックが強い。
これ以外にもヨーロッパでは大衆車であるVWが日本では高級車になっていたり、決してトップランクではないWestinが日本では、最高級ホテルになってしまったりするポジショニングの逆転も目につく。

今日の目から鱗の話は、ソウルのセミナーの講師であるアメリカのテンプル大学の小田部(こたべ)先生に教わった。小田部先生によるとイノベーター(最初にその製品を開発した企業)で勝者になった企業より、イノベーターでありながら敗者になった企業の方が多いそうである。一方で、フォロワーでありながら、マーケットリーダーになった企業の方が、フォロワーでは敗者になった企業より多いそうである。理屈では、新しい製品を発明した企業がリーダーになり、他社の製品をまねした企業の方が負け組になりそうであるが、事実はそうではないそうである。

小田部先生によると、教科書通りの例としては、
イノベーターがそのまま勝者:コカ・コーラ、CD/DVDのフィリップスとソニー
フォロワーで失敗:DECのPC、コダックのインスタントカメラ
一方、直感に反する例としては、
後追いで成功:IBMのPC、セイコー・シチズンのクォーツ
イノベーターなのに負け組:EMIのCT、RC Colaのダイエットコーラ
などがあるそうである。統計的にはこちらの方が多いというから、ビジネスはおもしろい。
なぜ、そうなのかは私が言うわけにはいかないので、興味ある人は小田部先生に聞いてください。

ドーナツの話が思わぬ方へ、脱線してしまったが、競争戦略の事例としてはドーナツもおもしろいのかも知れない。
久保田さん(私のゼミ生で、私にKrispyKremeを教えてくれた社会人学生)、一度研究してみてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年8月 1日 (水)

クリスピー・クリーム・ドーナツ

最近日本ではやっているドーナツ屋でクリスピー・クリーム・ドーナツ(Krispy Kreme)というのをご存じだろうか。今のところ新宿の南口に1店しかないようだが、開店以来半年以上経つのに相変わらず行列しないと買えないらしい。1時間以上待つこともあると聞く。ダース買うのがはやっているようで、1ダース入りの箱を入れたビニール袋を手にした客を新宿駅近辺でよく見る。おみやげに買って帰るようだ。

このドーナツ屋さんがここソウルではそこかしこにある。と言っても、私自身はホテルのそばと明洞(ミョンドン)と呼ばれる繁華街の2カ所で見ただけであるが・・・。早速ホテルそばの店に行ってみたが、とてもすいていた。食べてみたところ、ちょっと砂糖が多くて甘すぎる気がしたが、フレッシュでおいしかった。
一方で明洞の店の方は、とてもしゃれた3階建ての作りで、若者でにぎわっていた。ただし、日本と違って、韓国では全く行列していない。はやっていないわけではないが、決してブームという感じでもなく、日本で言えばマクドナルドやミスター・ドーナツのように普通に根付いているようだ。これが国民性のちがいなのか、単に日本より早く進出したせいなのかはよく分からない。この写真は明洞の店である。

310707_1643

私自身はミスタードーナツで十分で、行列してまで買う商品とは思わなかったが、今後日本でどれくらい根付くのか興味深い。一時のファッションで終わるのか、スターバックスくらい定着するのか、皆さんはどう思いますか?

また、本題ではないが下の写真は明洞の町の写真であるが、平日の昼間にもかかわらず、これほどの人混みであった。渋谷でもこんなに人はいないぞ。

310707_1647

| | コメント (1) | トラックバック (0)

« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »