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2007年6月

2007年6月30日 (土)

ゼミ生紹介


二番手は浅野洋一さんだ。日産自動車で商用車部門の企画にいる。彼も最初に紹介した岡村さんほどではないが職場が横浜なので、結構遠いところから早稲田まで通っている。但し、40代のベテランで管理職に就いているので、他の人より時間は自分でコントロールできるのではないかと推察する。
私のゼミでは唯一学部も早稲田大学(政治経済学部)出身だ。そのためみんなで飯を食べに行くときに重宝する、というのもこの界隈の情報に詳しいからである。しかし、卒業後20数年たっているのに、未だに彼が学生時代行っていた食堂(早稲田の場合レストランと呼ぶよりこう呼ぶ方がふさわしい)がそのまま残っているというのが不思議でならない。
彼はゼミの中で最年長と言うこともあって、みんなからはお兄さんのように慕われている。話しぶりは遠慮しがちなのであるが、その心底には強い信念があるのはゼミ生も感じているようだ。研究や修士論文などへの取り組みも、まじめで手堅いタイプだ。本人は殻を破りたいと思っているようだが・・・。
同じゼミにホンダと日産がいるので、自動車の話は盛り上がる。会社のカルチャーはずいぶん違うようだ。ゼミ生の一人は最近浅野さんの世話で日産車を買った。

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2007年6月29日 (金)

事業が化ける

今週登場してもらったリーダーはリプラスの創業社長の姜裕文(かんひろふみ)社長だ。創業わずか4年で売上100億円、経常利益25億円の会社を作り上げた。既に上場もしている。これがITとかモバイルならよくある話かもしれないが、不動産の家賃回収代行とういう地味なローテクのビジネスである。しかも本人はまだ36歳である。

彼の言葉の中で印象に残ったのは「事業が化ける」話と「ビジョンを見切る」という2つの話というより単語だった。

彼はBCGやドリームインキュベータ時代に数多くのコンサルティング経験を持っているわけであるが、その中で「これはうまくいく」とか「そこそこいく」とかいう事業はたくさん見てきたが、これは化けると思った事業は今やっている家賃回収代行事業が初めてだったという。彼が言う「化ける」というのは、これまでにない新しい事業であり、しかも100億円ー200億円の事業になるのではなく1000億円を超えるような規模になる事業という意味だと解釈した。そうした事業に巡り会えた自分は運が良かったと謙遜していたが、彼でなければ掘り当てられない事業だった思うし、組み立てることが出来なかったろうと思う。但し、いったんビジネスモデルが出来てしまった後は、他の人でも出来たかもしれない。

もう一つの「見切ったビジョン」というのも、化けるとやや似た話ではあるが、事業のビジネスモデル、市場環境、競争相手、競合優位性などを考察したときに、「これは行ける、しかも誰にも負けない」と見切ったそうである。本人も傲慢といえば傲慢かもしれないがと語っていたが、すごい読みと自信である。
ビジネスモデルの斬新さだけで世の中を変えてきた企業はそうは多くない。例えばフェデックスとかセコムなどがそれに当たる。リプラスも成功すれば、その範疇に入るのであろう。

恒例のQ&Aのところで、会社の規模が大きくなると創業者の想いをみんなで共有するのが難しくなるのではないかという質問に対して、「誤解を恐れずに言えば、想いなんか共有できててなくてもいい、戦略・ビジョンが共有出来ていればいい」と言い切ったところに彼のすごさを感じた。

彼のように頭も良くて、実行力もある若い経営者がこれからもどんどん出てくるのだろうなという予感がした講演でした。

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2007年6月27日 (水)

出井伸之の二面性

昨日、前ソニーCEOの出井伸之さんが作った新しい会社に遊びに行ってきた。クオンタムリープというユニークな名前の会社だ。クオンタムリープというのは量子力学で質量がエネルギーを得るとある段階で劇的に変化することを意味するらしいが、ここではたぶん飛躍的進歩ないしは飛躍的進化という意味で社名に使っているのだと思う。

久しぶりに会った出井さんは、相変わらず若々しくて、日本の現状の問題点、あるいは自分が目指すべきことをエネルギッシュに語ってくれた。元々文系なのに(こういう区分自体が古くさいが)、ITや技術のこととなると話が止まらないくらい饒舌になるのは相変わらずだ。

さて、出井さんの会社が何をやっているのかを一言で言うのは難しい。難しく言えば、日本に地殻変動を起こすような仕掛け・仕組み作りにチャレンジしている。そこに知恵・経験とエネルギーのかけ算、技術と経営の融合、日本とアジアの架け橋などの要素があるようだが、もし興味がある方は是非ホームページをご覧ください。
http://www.qxl.jp/

しかし、私が感じた出井さんの狙いは、彼が持っている二面性、既存社会すなわち保守本流の世界とのネットワークとこれから生まれてくる未知なるものへの好奇心、あるいは応援したいと思う気持ちをミックスさせようとしているように感じた。
もう少し具体的に言えば、『エスタブリッシュメントの経験・ブランド・資金』と『エネルギーとアイデア以外に経営資源のない若者』を出井さん自身あるいは彼の会社が触媒となって、融合させて何かを生み出したい。そして出来れば核爆発を起こして、日本あるいは世界を変えたいと考えているのではないだろうか?
出井さん、間違ってたらごめんなさい。

ベンチャー企業の経営者をサポートする仕組みとして、鯉のぼりの会などを組織化しているようなので、志のあるベンチャー企業の経営者は門を叩いてみたらどうだろうか?
内田のブログを見たと言えば、優遇されるか冷遇されるかは分かりませんが・・・。

ちなみに出井さんは早稲田大学の評議員会の議長だか委員長を務めており、大学にとっても大事な方だ。しかし、私の日々の活動と評議員会の関わりについては全く分からないというのが正直なところだ。関わりがあれば、いろいろなことを頼めるのに(・・・なんてことはつゆほども思っていません)。

功成り、名を遂げたので今さら汗水流して働かなくても、あるいはあえてリスクを取らなくてもと思うのだが、それが出井さんの生き様なんだろうかと感心した昨日でした。私も頑張らなくては・・・。

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2007年6月26日 (火)

異業種格闘技を見る視点(続き)

昨日の続きで異業種格闘技を見る視点、その2である。
4つ目の視点が「選択」である。今まで同じ機能を果たす製品やサービスが増えてくることによって、消費者から見れば選択肢が広がるという話である。たとえば、従来は焼き付けてアルバムに貼るしかなかった鑑賞方法・保存方法が、パソコン上で見るという使い方、テレビで楽しむという使い方、ウェブ上に保存しておいてみんなで見るという使い方など、いろいろな方法が出てきている。これによって既存のアルバムメーカーは需要が減ってしまう。
最後の視点が「追加」である。カメラの例では、携帯カメラの登場によって、写真を自分が楽しむために、あるいは記録に残すために使うのではなく、他人へ送るだけという使い方が出てきている。具体的には写メールに代表される使い方で、多くの場合は自分のカメラからもいずれは消してしまって後には残らない。

ここでは、カメラ業界を例にして説明をしたが、皆様も自分の業界あるいは、興味のある業界でこうしたバリューチェーンを書いて、何が起きているか、あるいは今後何が起きるかを予測してみるとおもしろいと思う。

最後に、上に示したバリューチェーンのエノオリジナルのパワーポイントファイルをアップしておく。ダウンロードして、スライドショーで見てもらうと、もっと分かりやすいのではないかと思う。
「VCpattern.ppt」をダウンロード   

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2007年6月25日 (月)

異業種格闘技を見る視点

以前、写真業界を例にバリューチェーンを使って、業界に起きている異業種格闘技を説明したことがあった2月16日18日22日)。今回はその続きである。バリューチェーンを使うことで、どんなタイプのビジネスが生まれたり、消えたりしているのかが簡単に分析できるのである。
下の図を見てもらいたい。
Vc_1
まず分かりやすいのが、「置き換え」である。フイルムがメモリーカードへ、カメラがデジカメへ、ラボがプリンタへ、アルバムがパソコンへと、さらにはデジカメがカメラ付き携帯電話へという風にそこかしこで置き換えが起きているのが見てとれる。置き換えられる側は大変であるが、置き換える側は新たなビジネスチャンス到来である。たとえば、プリンタメーカーはデジカメが普及したお蔭で数千億円のビジネスが新たに生じたことになる。

次によく起きるのが「省略」である。現像という機能が不要になったり、メモリーカードをテレビに差し込んで見るとなれば、現像も焼き付けも不要になる。あるいは携帯電話でメールに添付するだけとなれば、メモリーカードも不要で、携帯電話の中の内蔵メモリーだけで十分と言うことになってしまう。

3つ目が「束ねる」である。これまでのバリューチェーンの要素の2つ以上がまとまって一つの要素になってしまうケースである。カメラの場合は、レンズ付きフイルム(通称:使い捨てカメラ)がそれに当たる。これまで、カメラとフイルムという別々だったものが一つになってしまっている。通常どちらかの機能がもう片方を吸収してしまうので、この例の場合はカメラメーカーが困ってしまうことになる。というのもフイルムメーカーは従来のカメラが売れても、使い捨てカメラが売れてもフイルムの需要は減らないからである。

4つ目と5つ目は、明日紹介しよう。

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2007年6月24日 (日)

偶然と必然

コンサルタントに勧める2冊目は、茂木健一郎さんの「脳」整理法である。
これは、ノウハウやスキルを書いた本ではなく、コンサルタントの立ち位置や価値について考えさせてくれる本である。ちくま新書として2005年に出版されている。
Nouseiriho
p134に「自分」を離れて世界を眺めるという節があり、その中にこんな一文がある。
「科学的世界観とは、理想的には、あたかも「神の視点」に立ったかのように、自らの立場を離れて世界を見ることによって成り立っています。そのことを、科学者たちは、「ディタッチメント」を持って対象を観察する、と表現します。」
企業の問題点を整理することを「論点整理」と言うが、その際に当てはまる考え方であり、まさにコンサルタントが持つべきスタンスを表した言葉である。もっと分かりやすく言えば、コンサルタントの持っている岡目八目的要素の重要性を語っている。
茂木さんも、「ディタッチメントは、科学者に限らず、複雑な現代について自分の脳を整理し、活用していこうというすべての人にとって、大変参考になる考え方なのです。」と述べている。

p74にある「不確実性を楽しむという「生活知」は、そもそもこの世界の本質、とりわけ生の本質は「偶有的」なものであり、不確実性は避けられないものであるという認識のもと、「覚悟」を決めることによってこそ得られるものである。」という一節もまたコンサルタントの生き方を示唆している。

これ以外にも、偶然が幸運に出会う能力として、セレンディピティという言葉があるが、それを偶有性の視点で詳しく解説している箇所には、学ぶべき点が多い。

私がこの本で一番興味を持った部分は、世の中には必然でもなければ、かといっても偶然でもない、その中間の領域というのがあり、それを偶有性と呼ぶが、まだまだ解明されていない領域であり、だから人間なんだというところである。さらに、これは私の解釈であるが、偶有性は個人だけでなく、企業や戦略にも全く同じように使えるなということである。

学生時代に読んで大変感銘を受けたというより自分の生き方に大きな影響を与えた、ジャック・モノーの「偶然と必然」という名著も思い出した。当時の言葉を使えば、かぶれたといっても良いかもしれない。

最後におまけのひとこと。
茂木さんといえば、NHKテレビの『プロフェッショナル 仕事の流儀』のホスト役で活躍中であるが、この新書の裏表紙にある茂木さんの写真は、えらく痩せていてテレビで見る茂木さんとは別人のようである。それだけでも見る価値がある新書である(笑)。

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2007年6月22日 (金)

low-key

以前にこのブログでも紹介した、前ダイエー社長で現在マイクロソフト(日本)のCOOである樋口泰行さんに早稲田大学に来てもらって、リーダー論を語ってもらった。

樋口さん本人は大阪大学→松下電器→ハーバードビジネススクールとエリートコースを歩んできたわけであるが、松下電器時代に溶接などの現場を経験し、実は現場が大好きで気取らないリーダーである。

ダイエーの社長時代の話が数多く出てきたが、その中では全店舗の店長に秘書を通さず、自分で直接電話したとか、閉鎖店舗が50店以上あったそうだが、全店に閉鎖直前に人を連れずに自分で乗り込んだとか、随所に彼が現場を大切にしていたことの証となる話があった。

実はこの話を聞いて思いだしたのが、CoCo壱番屋というカレーショップの創業者である宗次徳二さんの話である。彼は、自分のカレーチェーン店を日本全国、覆面で見て回って、実際に食べてみて、サービスを見て、必要に応じてフィードバックをしていたそうである。同業の経営者が毎日高級な食事をしているのに対して、自分はカレーを毎日食べ続けたという話を思い出した。そうすることで、チェーン店全体の味の質やサービスのレベルを維持してきたのだと思う。そうしたことに積み重ねが全国で1000店を越えるビジネスへとつながっているのに違いない。地味であるが、そう簡単にまねの出来ないことである。樋口さんの現場重視も、これに似たものがあると感じた。

これ以外に、記憶に残ったコメントが2つあった。
一つは「日本の課題は頭がいい人が現場でなく本社などの間接部門に行きすぎることだ」。ビジネススクールの学生に「現場を経験してこそ、人としての厚みが出てきて良いリーダーになれるから、現場に行きなさい」と勧めていた。
次に、彼はコンパックでの事業責任者、HPとダイエーでの社長を経験して、「直感的に、この人には下に2-3人しかつけられない、この人なら50人は大丈夫、この人は500人つけられると分かるようになった」と語る。すごいことだ。

決して人を威圧するタイプのカリスマではないが、じわりじわりと自分の考えを押し通せる強い信念を持ったリーダーである。英語で 言うと、"low-key" タイプのリーダーである。

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2007年6月20日 (水)

エリア間競争

東京駅から出張に出かけるときに30分くらい空き時間があったので、新しくできたばかりの新丸ビルを覗いてきた。平日の昼間にもかかわらず、大変な賑わいだった。丸ビルの向かいに双子ビルのように出来たわけであるが、丸ビルが高層階にレストラン街があるのに対して、新丸ビルは低層化にお店もレストランも集中している。

先日紹介した東京ミッドタウンに比べて顧客の年齢層は相当高い。東京ミッドタウンでは、私はやや年寄りに感じたが、ここでは私より上の層が相当いた(あっちも私を見て相当おじさんだと思ったかもしれないが)、しかもかなりの数がカップルである。非常に驚いた。平日の昼間(金曜日の11時過ぎ)になぜ、こんなところにカップルで来られるのかなと、不思議に思ったと同時に少しうらやましかった。

丸ビルや六本木ヒルズなど他の商業施設に比べて、明らかにユニークなのは、非常に快適なオープンスペースがふんだんに用意されていて、座り心地の良さそうなソファーや外気に直接面したデッキに相当数のベンチが置かれており、無料でくつろげる点である。年齢が上の人々に対する配慮が感じられた。特にテナント外の最上階である7階は四方が、外に直接出られるデッキになっており、東京駅、皇居などを低い目線から眺めることが出来ており、くつろぎの場所としては上出来である。

テナントも高級ファッション店やしゃれた雑貨の店、時計店などがたくさん入っており、下手なデパートのテナントより高級感があった。立地(東京駅前、伝統的オフィス街丸の内のど真ん中)、客層(中高年&リッチ)、テナント、中高年に配慮したファシリティーなどが戦略的に整合性がとれており、良くできている感じがした。三菱地所を見直した。

最近の東京は一時話題になった、新宿の伊勢丹対高島屋とか、ダイエー対イトーヨーカ堂といった単独店舗の戦いから、商業施設同士の戦いになってきている。例えば、六本木ヒルズ対カレッタ汐留対表参道ヒルズ対東京ミッドタウン対丸ビル・新丸ビル(丸の内)といったエリア間競争である。こうした大型施設同士の競争が今後とも増えてくる気がする。最近で言えば、これに豊洲のららぽーとなども加わっている。
但し、私の場合あまりファッションなどに興味がないこともあって、銀座や青山などの昔から知っているエリアに相変わらず行くことが多い。それと秋葉原と新宿のヨドバシカメラもよく行く。

その中でも新丸ビルは他のエリアがターゲットにしてない中高年&リッチ層をターゲットにしているところがかなりユニークである。もし、これを戦略的に狙ったのだとしたらたいしたものであり、結果的にそうなってしまったのなら、逆に今後の展開がどうなる見物である。

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2007年6月19日 (火)

アベグレンさん

先月なくなられたジェームズ・C・アベグレンさんを偲ぶ会が昨日ホテルオークラで開催され、私も参加した。アベグレンといっても知らない若い方も多いと思うが、50年前に名著「日本の経営」を出版している。一時日本の経営の三種の神器といわれた終身雇用、年功序列、企業別組合の3つを日本企業の特徴(強み)として世の中に紹介した人だ。また、1966年にBCG東京オフィスをオープンしたことでも知られている、と言うか彼がいなければ私が入社したBCGの今日はなかったと思う。何しろ、何を血迷ったか世界中で二番目のBCGオフィスを東京に開いたのだから。
昨日の会には、発起人として富士ゼロックスの小林陽太郎さん、住友電工の川上哲郎さん、トヨタ自動車の奥田碩さん、日本IBMの椎名武雄さん、日経新聞の杉田亮毅さん、神戸大学の加護野忠男教授などそうそうたるメンバーが名を連ねている。もちろん、会場には何百人もの方がいらしていて、アベグレンさんの影響力のすごさと人気のほどを示していた。
何人かの経営者に、どうしてアベグレンさんと知り合ったのか聞いてみたところ、皆さんまだ20代、30代の若手で勉強熱心だったときに、BCGやアベグレンさんのもたらす新しい経営手法(たとえば経験曲線やPPM)に興味を持ったり、一緒に仕事をしたのだという。偉くなってから知り合ったのではないと言うことだ。アベグレンが偉くなる人を見極めてつきあっていたのか、アベグレンとつきあう人が偉くなったのかは、不明だ。

彼は81歳でなくなったのだが、2年前には「新日本の経営」を出版されるなど研究意欲も旺盛で、驚くべきエネルギーであった。今年に入っても元気で活躍されており、メールなどのやりとりもあったので元気だなと安心していたのだが急になくなられた。残念である。

ところで、余談であるが、アベグレンさんは1997年には日本へ帰化しており、日本人としてなくなっているが、実は日本へ帰化するとき日本国籍を取るより、アメリカ国籍を捨てるのに苦労したそうである。普通の人はアメリカ国籍を取るのに、大変な努力したり苦労しているのに、彼はそれを捨てるのに苦労したと言うから、そこまでして日本へ帰化したと言うことは、やっぱり本当に日本が好きだったのだろうと思う。国籍とは何か、日本人とは何かを少し考えてしまった。
ご冥福を祈る。

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2007年6月18日 (月)

スノーピーカー

仕事で新潟に行ってきた。そこで素晴らしい経営者に出会った。新潟県三条市に本社を置くスノーピーク(SnowPeak)というテントやクッキングテーブルなどのアウトドア用品メーカーの山井太(とおる)社長だ。パネルディスカッションを一緒に行った。事前に会社案内をいただいたのであらかじめ目を通したのだが、会社案内だけでわくわくする感じ伝わってきた。そこでこれはもしかしたらと思い、実際お会いしたらすばらしい経営者だったというわけだ。

不勉強でスノーピークという会社のことを知らなかったのだが、アウトドア愛好家の間では熱烈なファンが多いことで知られているそうで、彼らは『スノーピーカー』と呼ばれるらしい。山井社長自ら、スノーピーカーは宗教だとよそで揶揄されると苦笑していた。それくらいの固定客がいると言うことは素晴らしいことだ。

パネルディスカッションのテーマはステークホルダーマネジメントだったが、山井氏は顧客を満足させることがスノーピークの優先順位ナンバーワンで、決して株主ではない。しかし良い製品を作って、顧客から支持されれば結果として利益につながり、株主を満足させることが出来ると言っていた。実際、極めて高い利益率らしい。

何が素晴らしいかと言えば、自分たちがユーザーとしてこんなものがあったらいいなというものを作っており、しかも品質のためにはコストにこだわらない。最高の材料を探してきて、それで安全で優れた製品を作るのだという。だから内の製品は高いと自信を持って自慢している。
当日もスノーピークの環境に対する取り組みについて聞かれたときに、さりげなく内は永久保証ですから商品がゴミになりません。それが環境対策ですと言い切ったところにすごさを感じた。
要するにポリシーがしっかりしている。それを山井さんは心意気と称していた。こうした考えはきっと社員にも徹底しているのだろう。

ミッションステートメントは一日に百万回繰り返すと言ったから、その言葉からも徹底度がわかる。

年間に自社製品のユーザー5000人に会うと言っていた。世界広しといえども社長でそこまでやっているのは自分くらいだろうと言っていたが、すごいことだ。それを通じて顧客の声をつかまえて次の商品開発に活かすそうだ。社長の義務としてやっているのか、楽しみでやっているのかと聞いたら、後者だと明快に答えてくれたのもうれしい。

東京に帰ってきてから、バイクに乗る娘に聞いたらスノーピークのことを良く知っていた。まさに知る人ぞ知るらしい。

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2007年6月17日 (日)

物言わぬ顧客の声

研究室でプラスのコピーボードを使っているが、コピーボードに付属のレックスマークのプリンターのインクが切れた。
説明書を見たら、電話で注文が出来ることになっており、オッ便利だな、ヨドバシに行かなくて済む。「レックスマーク、なかなかやるな」と好印象。

しかし、そこから悲劇は始まった。
1)まず指定された電話番号03-6670-3091に電話すると番号が変わりましたとのテープが流れていた。ここまではああ電話番号が変わったんだと、特段不思議な感じはしなかった。
2)次に新しく指定された電話番号03-5651-5106にかけると、カスタマーサービス担当先がシャープに変わったので、フリーダイヤル0120-322-812へかけろとの指示、独自のコールセンターが成り立たないので業務委託したのだろうなと想いながらも、かなり嫌な予感。
3)携帯から上記フリーダイヤルにかけると、お客さまの電話からは通じませんという良くある着信拒否の案内。この番号にかけろって言ったのはそっちなのに、どうしてつないでくれないの。ここで少し頭に来る。
4)気を取り直して、固定電話から上記フリーダイヤルに電話、「ただいまオペレータにおつなぎしております。しばらくお待ちください。」のテープが繰り返される。「シャープいい暮らしストアです」とか言ってるが、どこがいい暮らしなのかと内心思いながら、辛抱強く待つ。
5)そして、そのままホールドすること10分、突然「ただいま電話が大変混み合っておりますので、しばらくしてからお掛け直しください」とアナウンスがあって、ブチッと電話が切れる。もちろん、私の血管もブチッと切れた。

内田の教訓:レックスマークのプリンタはいくら安くても買わない方が無難だな。

以前、アスクルの岩田社長からおもしろい話を聞いたことがある。最初アスクルのカタログには自社製品を売りたいために、キングジムのファイル(ファイルと言えばキングジムと言うくらいの定番商品)をおいていなかったそうだ。そしてお客さまから、キングジムのファイルがないのかと問い合わせがあると、同じ品質でこちらの方が安いから是非アスクルのファイルを買ってくださいと勧めていた。そうするとお客さんが納得して、それを買ってくれるので、ああお客さんは説明すれば分かってくれるんだと安心していたそうだ。ところが、しばらくしてどうも変だと思って追跡調査をしてみると、そのときはいったん納得してアスクルのファイルを買ってくれたお客は二度と戻ってきてくれなかったそうである。それ以降は、競合の商品でもなるべく揃えるようにして、今日の発展につながったそうだ。顧客が直接不満を言ってくれるケースは少なく、黙って他社へ逃げてしまうケースがほとんどであると言うことだ。

これを書いていたら、自分の別の経験も思い出した。もう7-8年も前になるが、デルコンピュータでPCを注文したら、送料が6千円と言われてびっくりした。多少高くても1000円から、せいぜい1500円がいいところだと思ったので、どうしてそんなに高いのかと尋ねると、シンガポールから配送するから高いと説明されたので、二度びっくり。どうしてシンガポールから日本への物流費を顧客が負担しないといけないのか、全く理解できなかった。どうしても買わないといけないPCだったの購入したが、それ以来デルからはPCを買っていない。もちろん、今はそんな高い送料は取っていないと思うし、説明もきちんとしたものに変わっていると思うが、それは確かめていない。

企業にとっての教訓:物言わない顧客の声に耳を傾けるのは難しい。

お詫び:この話はレックスマークやデルのマーケティングの不適切さを指摘することが目的ではなく、顧客の不満が顕在化する場合は対処のしようがあるが、不満を抱いたまま他へ行ってしまう顧客の声を聞くことは難しいと言うことを示すために使ったことをご理解ください。

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2007年6月16日 (土)

BCG×WBS

発売されたばかりの早稲田ビジネススクール・レビュー誌にBCG(ボストン コンサルティング グループ)とWBS(早稲田ビジネススクール)のコラボレーション企画が載っている。「付加価値を創造するヒント」がテーマで論文4本と対談1本で構成されている。対談はBCG日本代表の御立尚資さんが、多角化経営について帝人の長島社長と行っている。

Wbs_review
私もWeb2.0のテーマを一本書いているが、それは読み飛ばしてもらうとして、是非目を通してもらいたい論文が2本ある。一本はWBS教授の相葉先生が書いてくれたネットワークアナリシスに関する論文であり、もう1本はBCGのパートナーである太田直樹さんが書いた組織変革の手法に関する論文である。

相葉さんの論文は「ネットワークアナリシスが組織と戦略を変える」というタイトルである。内容は、企業内の意思決定や情報伝達において、インフォーマル組織の持つ重要性が従来より指摘されてきたが、インフォーマルゆえ定量的に分析されたり、語られることはほとんどなかった。近年の情報技術の発達がコミュニケーション・フローの分析を可能にして、新たな領域を切り開いているという話である。

一方、太田さんの論文はBCGの持つPtoE(Pathways to Engagement)という手法を紹介したもので、組織の構成員の意欲も低く、規律も乱れている組織をいかにして「動機付けされて規律も整った組織」に変えていくかという内容である。それには、現状診断から始まって、それをどう解釈し、どんな道筋で変えていくのかという点に触れている。

ちなみに早稲田ビジネススクールレビューというのは、アメリカのHBR(ハーバード・ビジネス・レビュー)の早稲田ビジネススクール版で、経営に関する論文などが掲載されており、年2回刊行されている。HBRのような知名度がないのが残念であるが、書店で販売されているので、興味のある方は是非手に取ってみてください。

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2007年6月15日 (金)

教育と訓練の違い

今週のリーダーはユニチャームの若き経営者高原豪久社長だ。本人は若いと言われることを嫌うと思うが、父上が創業し、女性用生理用品や子供用紙オムツで日本一にした会社を39歳の若さで引き継ぎ、さらに発展させている。現在45歳の働き盛りである。

ユニ・チャームという会社の名前は知っていても、実態を知らない人も多いのではないかと想像する。東証一部上場と言っても、売上で言えばたかだか3000億円程度の会社でたいした規模の会社ではない。ところが、この会社が日本市場では世界一のトイレタリーメーカーのP&Gや日本でも有数のマーケティングエクセレントカンパニーである花王を向こうに回して十分に戦うどころか、彼らをやっつけてしまっているというから驚きである。まさに小さな巨人である。
最近は日本だけでなく、アジアを中心にした世界戦略を推進しており、アジアの多くのマーケットで後発でありながら、リーダーのP&Gを逆転して、シェアNO.1を獲得している。

ユニチャームの特徴は一見地味で目立たないが、実は会社の戦略やビジョンが明確で軸がぶれないことに加えて、実行力があることすなわち足腰がしっかりしていることである。高原社長の話の端々に、なるほどそうなのかという、気づきがあった。

たとえば、スローガンを大事にしていると言っていた。そして、それを社員に分かりやすい形で示す。たとえばグローバル10という形で、世界シェア10%を目指そうとか、あるいはアジアで成功するためにはユニ・チャームの「勝ちパターン」を作ることが大事で、それが出来たら枠にはめていく作業に移るそうだ。
勝ちパターンの例をあげると、既にある程度立ち上がった市場を狙うとか、ローエンドではなく、プレミアムで勝負するとか。分かりやすい。
さらにプレミアムすなわちブランド力で勝負するに当たって、それを定量化するという。ブランド価値を定量化と聞くと、一瞬すごく難しいことをやっているのかと思ったら、利益が出ている商品はプレミアムで売れていると定義しているそうで、わかりやすい。

要するに大変プラクティカル(実践的)なのである。日本では低価格品として位置づけられる商品についているマミーポコという商品名をアジアではプレミアム商品用のブランドとして売る。なぜかと言えば、アジアでは「Mammy Poko」と言う音感が高級品の響きがするからと言い切る。別に日本のエコノミークラスの商品を高級品として売っているわけではなく、ブランド名を転用しているだけとのこと。ブランドコンサルティングの会社が聞いたら、統一性のなさに怒るだろうな。

あるいは、急成長している市場で大事なことはSCMすなわちロジスティクスをきちんとやることであると言われると、意表を突かれる。しかし正論である、実にしぶい。

最後に一番印象に残った言葉は「教育と訓練は違う」という言葉だ。知らないことを教えるのが教育、知っていることを体で覚えてもらうのが訓練。ユニチャームは訓練を重視している。すごくよく分かる。頭でっかちな社員を作るのではなく、頭に見合った足腰を持った社員を作る。トヨタを始めとして強い会社というのは、こういう足腰の強さを持っている。


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2007年6月14日 (木)

「痛い」と言わない動物たち

先日、旭川の旭山動物園に行ったときの話を紹介したが、その旭山動物園の小菅正夫園長が書いた「命のメッセージ」という本がある。
その中に大変素晴らしいことが書いてある。そのまま引用する。

『僕は獣医として多くの動物を見ましたが、動物は「痛い」と言いません。具合が悪いそぶりも見せない。僕が診察したときには平気な顔をしていたのに、翌日死んでしまったりする。僕はそれで悔しい思いを何度もしました。
でも、動物にとってみれば、「痛い」という顔をしたら食べられてしまうのです。具合が悪いそぶりを見せたら、草食動物にも見破られます。「あいつは具合が悪いから大丈夫だ」となめられ、警戒さえされません。』

とても怖いけれど、深いなと思いませんか。
彼はだから動物園の檻にいる動物がかわいそうというのは当たらない、なぜなら自然の中にいる動物は生きていくのもやっとの厳しい環境にいるのでどんどん死んでしまうのだとも言う。

この話を人間にたとえるとどういうことになるのかなと、つい考えてしまう。今の人間は動物園に暮らしているようなもので、自然で生き延びる競争力はゼロに近いだろうな。家でも、学校でも、会社でも、社会全般で人間って守られている。でも、その割にたくさんの人が死んでいるような気もする。これで保護されなくなったらどうなるのだろう。それともみんなで暮らしていくことで、楽して生きられる道(社会という仕組み)を作った人間は、やっぱり賢い動物なのかな。

実は4月の始め頃、タクシーに乗っていたら大変興味深い本の朗読が流れていた。たぶんNHKだったと思う。その中で、紹介されていたのが上の一節だった。残念ながら誰の書いた何というタイトルの本かが分からなかったが、これは旭山動物園の園長が書いた本に違いないと直感した。そして、今回アマゾンで旭山動物園で検索したら、小菅園長の書いた本に「命のメッセージ」と言うタイトルがあったので、これに間違いないと思って注文した。やはりあたりだった。何となくうれしい。
というわけでおまけとして、先日訪問した動物園でペンギンが泳いでいるシーンを撮影したので紹介しよう。
「penguin002.AVI」をダウンロード

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2007年6月12日 (火)

感じるマネジメント

BCGの卒業生(OB)である高津尚志さんから彼がまとめた著書「感じるマネジメント」を頂いた。企業が経営理念を全社に浸透させるためにはどうしたらよいかを、デンソーにおける実話を交えながら解説しているユニークな本である。高津さんはBCGを卒業後リクルート社に転職し、そこでヒューマンリソースのマネジメントに関するコンサルティングをしている。その経験とノウハウを仲間と一緒にまとめた本だ。企業を変えることの難しさと楽しさが伝わってくる良い本に仕上がっている。
Kanjiru

詳細は実物を見て頂くとして、気に入ったところを紹介する。
松下電器のマネージャーが、新しい仕組みを社内に浸透させるためにリーダーがやるべきこととして「確かに、仕組みは有効です。でもね、千の仕組みよりも一つのパフォーマンスが大事なんですよ。つまり経営者が自ら実践することです。」と語っていたのが印象に残った。

あるいは神父の講話として、夫婦関係のあり方には、face to face と side by side     の2つがあります。恋愛しているとき、その二人はお互いを見つめ合うface to face の関係になるが、夫婦関係を幸せなものにするためには、お互いに遠くの目標に向かって手をつないでいくside by side の関係が重要だと説く。身につまされる話だ。

高津さんはBCG時代はなぜか王子と呼ばれていたことを思い出した。ハンカチ王子やはにかみ王子の先輩だ。そういえば、彼も早稲田出身だったな。
王子、どうもありがとう。

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2007年6月11日 (月)

ルイス・ハミルトン

だいぶ前のブログでスター誕生と題して、自動車レースのF1に新星現ると期したが、頭角を現すどころが早くも年間チャンピオンシップの得点争いでトップに立った。

昨日のカナダグランプリで予選トップすなわちスタートの一番手になって、レースが始まってから一度も抜かれることなく、危なげない走りで初優勝した。Pole to finishの勝利である。恐るべしルイス・ハミルトン。

結果として6試合終わった時点で年間総合ポイントが48点、2位のアロンソが40点である。この48点というのがどれくらいすごいかというと、1試合ごとに与えられる点が1位10点、2位8点、3位6点(以下1点ずつ減っていく)しかないので、48÷6試合=8点ということで1試合の平均順位が2位ということになる。過去にも華々しいデビューをした選手はたくさんいたが、安定度、しかも上位安定度という点では群を抜いている。これが22歳の新人というのだから、とんでもない新人である。

実は昨日のレースは事故が続出し、あわや死亡事故かという位の激しいクラッシュなどで、ペースカーが4回も入る波乱のレースだったのだが、彼は終始落ち着いていた。逆に昨年までの総合チャンピオンで今期も年間チャンピオン最有力候補といわれたアロンソが、すっかりペースを乱して、最後は佐藤琢磨までに抜かれて7位に終わるという体たらくだった。
今年のF1はおもしろいな。それにしてもレースの放送が始まったのが午前2時で終わったのが明け方の4時ということで、今日の昼間は眠かったな。

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2007年6月10日 (日)

揚琴とシンセサイザー

昨日は、先日紹介した揚琴(やんちん)の演奏会に行ってきた。会場は200名を収容する小ホールだったが、実はチケットは発売と同時に売り切れたそうで、ブログで紹介したときに問い合わせをした人にはご迷惑をかけたのではないかと思う。
昨日の曲目は中国の古典あり、西欧の音楽あり、日本の曲ありで変化に富んでいたが、中国の楽器であるにもかかわらず、どこの国の曲にもフィットしていて違和感なく楽しめたのには驚いた。また、通常はこれもまた中国の楽器である二胡などとの合奏が多いのに対して、今回はピアノ、ギター、シンセサイザーという西洋楽器や現代楽器とのコラボレーションだったが、これもとてもきれいにはまっていた。
中国の伝統的な楽器で、日本の曲や西欧の曲をピアノやギターさらにはシンセサイザーとのジョイントで聴くというすてきな体験をさせてもらった

もちろん演奏も素晴らしかったが、ガジェットおたくの私としては176もある弦を間違いなく演奏する技術に驚いたり、レパートリーが300曲もあるそうだが、すべての曲を暗譜していて楽譜なしで演奏することに大変驚いて帰ってきた。

デジカメで撮った動画を私のブログに載せる許可を
演奏者から得たので、紹介する。是非揚琴の音色をお楽しみください。
最初の曲は中国の曲である。
「play001.AVI」をダウンロード
2曲目は中島みゆきの「地上の星である」。まるで最初から揚琴用の曲だったのではないかという感じに聞こえる。
「play002.AVI」をダウンロード
最後の曲は日本でもおなじみの夜來香である。
「play003.AVI」をダウンロード

郭敏(グォ ミン)さんの次回のコンサートは10月27日(土)にあるようだ。

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2007年6月 9日 (土)

栃木から早稲田へ

早稲田の社会人大学院(MBA)コースのゼミ生を紹介しよう。

私の社会人MBAゼミ生は全員2年生であるが20代から40代後半まで様々でユニークなメンバーがそろっている。
トップバッターは岡村慎二郎さんである。彼はまだ30歳前の若い学生だが、なんと栃木県から新幹線を使って通っている。ホンダの栃木の工場で購買部門に勤めているのだが、毎日ではないにしろ週3-4日栃木からわざわざ早稲田まで通ってくる強者だ。定期代の方が学費より高いという噂もある。すてきな奥さんとまだ小さな男の子がいる。そんな環境にもかかわらず、東京まで通うなんて何を考えているのかと家では言われていることだろう。
ゼミの中では、風貌はおっとりした感じでゆっくりしゃべるのだが、発言の内容は結構鋭かったり、過激だったりして、そのギャップに他のゼミ生は驚いているかもしれないし、楽しんでいるかもしれない。

以前は富士通の購買部門にいたそうだが、現在はその経験を生かしてホンダの購買の仕事をしている。MBAを取った後は何をやるのだろうかと期待もしているが心配もしている。

早稲田のプロフェッショナルコースは、働きながらMBAを取れることを標榜していることもあって、彼のようなユニークな学生も現れる。以前は、愛知県から通っていた学生もいた。それも結構な企業の役員クラスの立場の人だ。

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2007年6月 8日 (金)

MBOの本質

今週はコバレントマテリアルの香山晋社長に来てもらって、MBOについて話をしてもらった。コバレントマテリアルと聞いてもなじみのない人がほとんどだと思うが、この6月1日に東芝セラミックスから社名変更したばかりである。というのもMBOという手法を使って、東芝の子会社ではない独立した会社となったために社名に東芝の名前が残っているのがふさわしくないからである。1千億円の売上があり、かつ儲かっている会社を東芝が手放したというので話題になり、昨年10月に日経新聞の一面を飾る大きな記事が出たので、記憶に残っている人も多いと思う。

MBOとは、知っている人も多いと思うがManagment Buy Out の略で、経営陣による企業買収のことを指す。通常のM&Aが第三者による買収であることが多いのに対して、現経営陣が大株主から株を取得して独立することからmanagement buy out と呼ばれれている。

このMBOを決断し、実行したのが、元東芝の常務で2004年より東芝セラミックスの社長についていた香山氏である。

香山さんの言葉で印象的だったのは、大企業の子会社でいる限りあるいは上場企業である限り、いくら成長戦略を描いて見せても、それが投資を伴うものである限り、evidence(証拠)を見せろと迫られるが、それを見せて説得するのは至難の業であるという話だった。1位や2位の企業ならともかく、3位以下の企業が投資を伴う成長戦略を示しても信用してもらえない。そうなると、せっかくのチャンスをみすみす逃すことになる。しかし、投資しなければやがてジリ貧になり、座して死を待つことになる。なんとかして、その状況から脱して資金を確保するためには、投資をサポートしてくれる資本家を捜す必要があったがそれが今回出資してくれた2つのファンドだったそうである。一方で香山さんたち経営陣も、投資家に対して逃げ出さずに最後までやり抜くというコミットメントを見せなければ投資は約束してもらえないことになる。

一言で言えば、東芝の子会社である限り、成功を100%約束出来ない投資を親会社から引き出すことは難しかったし、上場企業であることも投資家に対してそれだけの投資を正当化することが難しかったという。
そのどちらの制約からも脱する唯一の解がMBO&非上場化だった言うのが香山さんの信念である。世の中にはいろいろなタイプのMBOがあり、その理由も様々であるが、これが真のMBOであるという彼の信念と将来へのこだわりが感じられた今回のレクチャーであった。

氏は大学時代サッカー部のフォワードでならしただけあって、攻撃型の経営を行って東芝セラミックス社の再建を果たし、同時に同社を東芝から離脱独立させることに成功したのかもしれない。
がんばれ、香山さん!

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2007年6月 7日 (木)

HANDS

HANDSとは私が理事としてお手伝いしているNPOの名前である。

主に発展途上国の母子衛生の向上を目指した活動を行っている。
衛生状態が良くない国々・地域では生まれてくる子供だけでなく母親の死亡率も高い。そのため、そうした地域の保健所的ネットワークを整備することや啓蒙活動を通じて母子衛生に貢献しようというのが理念のNPOである。大阪大学の教授である中村安秀先生が代表をしている。

モットーは「保健医療の仕組み作りと人作りを通して国際協力に取り組むNPOです」とある。要するに、単にお金を出すとか、ハードウエア(建物、機会・設備)を提供したり、人材を送るのではなく、地域の住民が自分たちでそうした活動が出来るようになるまでの自立を支援するという地道な活動である。

これまでにアフガニスタン、ブラジル、ケニアといった地域で活動をしてきている。決して安全な場所とは言えないのに、女性のメンバーが多い。すばらしいことであり、女性のパワーを実感している。

実は、私自身がNPO活動を支援するようになるまで、NPOのなんたるかを知らずに生きてきた。というのも経営コンサルタントという、企業の収益活動を支援する企業に属しており、非営利活動とは関係ないと思っていたためである。
ところが、HANSの姉妹(というより親に近いが)組織であるアメリカのMSH(Management Sciences for Health)というNPO団体の活動を知って愕然としたことがお手伝いを始める一つのきっかけとなった。とにかくプロフェッショナル意識が高い。
それまでNPOといえば、草の根で手弁当でやっていて、とても企業とは比較にならない組織活動レベルと勝手に誤解していた。ところがMSHは営利組織のプロフェッショナル企業やバテル研究所などとコンペになって勝つこともあるくらい質の高い仕事をやっているし、給料も民間企業並みに払っているという。正直大変驚いたと同時に自分の不明を恥じた次第である。

正直、たいした貢献は出来ていないが彼女たちの心意気に応えられればと思ってお手伝いしている。
興味を持たれた方は、是非ホームページをのぞいてみてください。

http://www.hands.or.jp/

また会員や寄付も募集中であるので、関心のある方は是非お問い合わせください。

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2007年6月 5日 (火)

パラダイムの魔力

自分が経営コンサルタントとして大変役に立った、あるいはバイブルとして使っていた本をこれから少しずつ紹介していくことにする。

栄えある1冊目はジョエル・バーカー著の「パラダイムの魔力」である。日経BP社から1995年に出ている。
Paradigm001_1 Paradigm002

私なりに中身を要約すれば、同じパラダイムでも善玉の時は仕事に大変役に立つが、いったん環境に合わなくなると変革のじゃまをする悪玉になる。パラダイムチェンジを行うには、パラダイムシフトを発見する人と推進する人の両者が必要である。あるいはパラダイムシフトを起こすために、リーダーは何をすべきかなど、どれ一つ取ってみては企業変革やリーダーシップのあり方のヒント満載の書籍である。

おまけに、事例が豊富で分かりやすく、使える。私の20の引き出しの種本としても、大変役に立っている。
たとえば「峠の豚」、「バドワイザーの缶ビール」、「ソニーのCD]、「エアバッグと手榴弾」などはこの本が原点になっている。

気に入った箇所は何カ所もあるが、2-3節紹介しよう。
『新しいパラダイムは、古いパラダイムで生きているすべての人に、大きなリスクを負わせる。その人の地位が高いほど、リスクは大きくなる。現在のパラダイムに習熟しているほど、投資したものが大きいほど、パラダイムが変わって失うものは大きい。』
『人よりも早くパラダイムを変えようと思い立つ人は、頭でそう判断するのでなく、心で判断する。』
『管理はパラダイムの中でおこなうもの。パラダイムの間を導くのがリーダー。』

コンサルタントを目指す方、あるいは既にコンサルタントの方にとっての必読書である。だまされたと思って読んでみてください。
私がこの本を薦めたお蔭で、BCGのコンサルタントにもあるいは顧客にもこの本の愛読者は多い。たぶん20冊くらいは購入して、プレゼントしてきた。もちろん自分で買って読んでいる人も多い。

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2007年6月 4日 (月)

宅急便と1万円

久しぶりに20の引き出しネタである。「電子マネー」の引き出しに入っている「宅急便と1万円」のネタはどう使うのかと言えば、これはセキュリティーをどこまで国や事業者が整備すべきかという問題を議論するときの材料として使う。

電子マネーや新しい社会システムで、犯罪に使われるのを防ぐためにやや過剰なまでのセキュリティーをかけることでかえって使い勝手が悪くなり、それが理由で普及しないことがよく起きる。たとえば、かつての電子マネー(モンデックスやVISAのスーパーキャッシュなど)なども使い勝手よりは安全性に重点を置きすぎたために普及しなかったのではないかと推察している。。
現在でいえば生体認証の銀行キャッシュカードがいい例で、確かにセキュリティーの度合いが高いかもしれないが、高すぎてかえって不便になってしまっている。たとえば技術的に互換性がないために他行で使えないとか、CVSのATMではほとんど使えないなどの不便さがあり、結果として全く普及していない。

私の持論は、セキュリティーを議論するときには、消費者の問題意識の高さを過小評価すべきでないという論者である。消費者は馬鹿ではない、リスクを自分で判断しているのだ。
たとえば、母親が田舎から都会に出ている子供へ衣料品や食べ物を宅急便で送るときに、1万円くらい忍ばせるのはよくある話である。それでは、母親は宅急便では現金を送ってはいけないことを知らないのであろうか。そんなことはない。逆に言えば万が一荷物がなくなったときに、荷物そのものの損害賠償は請求できるがお金は返してもらえないことを知っているのだ。それなのになぜ宅急便に現金を送るのであろうか?
それは彼らが利便性とリスクを天秤にかけて、それで利便性を取るという判断をしているのである。と言うのも宅急便というのが相当正確な物流手段で、送った物がなくなることは滅多にないということを知っている。かつ仮になくなったとして、1万円ならあきらめがつく。そのために、わざわざ別途銀行送金して5~600円の手数料を払ったり、現金書留という面倒な手段をとらないのである。

1万円送金して、毎回数百円の手数料を払うくらいなら、荷物があるときについでに送ってしまう方が、遙かに安くつくし面倒くさくない。そして間違いもほとんどない。すなわち、自分の頭の中でどれくらいの頻度で問題が生じ、それは自分の許容範囲かどうかを感覚的に計算しているのである。それが証拠に、毎月の生活費を都会で暮らす息子や娘に宅急便で物を送るついでに忍ばせている親の話は聞いたことがない。10万円を超える金額は、万が一なくなったときに許される許容範囲を超えているからである。
したがって、セキュリティ議論をするときに、システムや法制度で100%を目指すのではなく、消費者や利用者の自己責任と言うことも考慮に入れて仕組みを考えた方が、結果的に低コストでなおかつユーザー視点に立った者が出来るため、普及にもつながるというのが私の考え方である。

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2007年6月 3日 (日)

旭山動物園

旭川にある話題の動物園、旭山動物園に行ってきた。噂に違わぬ、優れた動物園だった。実際に会ったわけではないが園長の優れた経営感覚に感心して、帰ってきた。というのも、飼育している動物はどこの動物園にもいるありふれた動物ばかり、それなのに展示というか、見せ方一つで一大エンターテイメントに仕上がっていた。

まず、ポリシーが動物のあるがままの姿をなるたけ見せようという姿勢と、それをどのようにすれば見物客がうまく見ることが出来るかという視点で組み立てられている。
たとえば、我々が最初に見たのはキリンだったが、キリンの頭の高さと我々の目の高さがちょうど同じになるように、キリン園が深く掘られている。ちょっとした工夫で、普通の動物園なら見上げないと見られないキリンの頭がほぼ横でよく見ることが出来るようになっている。
Asahiyama001_1
さらに、たとえばアザラシの所では、飼育員がアザラシにえさをやりながら、アザラシがアシカやオットセイとどんな点が異なるかを実演で示してくれたりして、勉強しながらエンターテイメントを楽しめる。こうした、展示方法を「もぐもぐタイム」と称して、各動物のところで時間をずらして行っており、長時間いても飽きない仕組みになっている。

また、そこかしこに手書きの説明文が置かれており、それを見ると動物の特徴や習性がすぐ分かるようになっており、動物に対する親近感が湧く。売れ行きの良い食品スーパーや書店の手書きPOPと全く同じ発想である。
さらに園内には飼育員以外の係員がとてもたくさんいて、分からない質問に答えてくれたり、園内の案内をしてくれる。さらにはストロボ禁止の命令に従わない人に優しく注意を促したりしている。まるで、ディズニーランドのホストのような感じで、働いている人が活き活きしているのを目の当たりにしただけで、こちらまで楽しくなる。きっと、ボランティアやシルバー人材をうまく活用しているのであろう。

一言で言えば、ありきたりの材料で、来る人を楽しませる仕組みが、きわめて低コストで実現しているのである。滅多にいない珍獣を高額で購入して客を呼び寄せている動物園とは全く反対の路線であり、子供連れだけでなく、大人だけのグループや若いカップルが多いのも大変印象に残った今回の旭山動物園訪問だった。

ペンギンの所ではペンギンのかわいらしい動作を動画に納めることに成功したのでアップしておく。

「Penguin.AVI」をダウンロード

また、ヒグマの所では発情期のカップルが戯れているところを間近で見ることが出来たので、こちらも画像をアップしておく。(けんかしているのかと思った。)

「Higuma.AVI」をダウンロード


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2007年6月 1日 (金)

エグゼクティブ・プログラムその2

先日紹介した、早稲田大学ビジネススクールのエグゼクティブプログラムの詳細が決定しました。
7月23日(月)から27日(金)までの5日間のインテンシブな(集中)コースです。
今年のテーマは『変革と進化のマネジメント』で、早稲田大学ビジネススクールの誇る教師陣と外部スピーカーで構成されています。内容的にも、講義・ケーススタディ・講演がほどよくちりばめられており、忙しい経営幹部の方が短期間で経営について学べるようになっています。

私も24日(火)の1日を使って下記のカリキュラムで競争戦略を指導します。乞うご期待です。
-競争戦略講義1-    「パラダイムシフト時代の競争戦略」
-ケース-        「スターバックス コーヒージャパン(株)」
-競争戦略講義2-    「異業種格闘技の時代」

もちろん5日間で経営者が促成栽培できるわけではないので、同じような立場の人と5日間を共にすることで刺激を受け、さらに自らが切磋琢磨していくきっかけになればと思います。
場所は早稲田大学国際会議場で、早稲田大学のキャンパスの隣です。

詳細は、下記のURLをごらんいただけると分かります。
http://www.waseda.jp/wbs/03nondegree/executive/03overview_exe_jp.html

マーケティング協会のエグゼクティブ・
マーケティングコース(ソウル10日間)は無理だけれど、5日間なら何とかなるという方はこちらに是非ご参加ください。


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