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2007年5月 7日 (月)

常識の罠

先月の私の履歴書はセブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんでした。
イトーヨーカ堂を伊藤名誉会長と二人三脚で日本一の小売業にした方だけあって、含蓄に富む文章がいくつも見られました。
その中で、同じ話を2度にわたって別の逸話として紹介してあったのが印象に残りました。それは一言で言えば常識の罠という話です。
一回目は4月20日付のイトーヨーカ堂が業革(業務改革の略)に取りかかったときの話です。イトーヨーカ堂が創業以来初めて減益に陥ったので、原因を調べるとユーザーニーズへの対応が出来ておらず、在庫が積み上がっていた。それで在庫を減らそうとしたところ、営業サイドから「在庫を減らすと売上げが落ちる」、「豊富な品揃えこそがスーパーの特徴だ」と大反対が起きたそうである。
2度目は4月25日付のIYバンク(銀行)発足時の話で、みんなが絶対うまくいくわけがないと大合唱したそうである。その時のことを鈴木さんは、「みんながいいと言うことは単純競争に陥り大抵失敗し、みんなに反対されることはなぜか成功する」と言っている。
しかし、在庫削減に成功したイトーヨーカ堂がスーパー業界でダントツの利益率を誇り、IY銀行(現セブン銀行)も設立数年で経常利益率が3割にも達する高収益銀行になっていることは皆さんもご承知の通りである。常識に挑戦することに大きなビジネスチャンスがあるが、それはまた誰もやろうとしないからであり、それをやり遂げるための洞察力(先見性)と実行力の両方を兼ね備えたリーダーは少ないためであろう。
ただし、個人的にはイトーヨーカ堂グループも今では自分たちが作り上げてきた常識の罠に今度は逆に囚われて苦労しているように見える。

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コメント

イトーヨーカ堂の常識の罠
コメントが遅くなり申し訳ありません。最近めっぽう忙しく、ブログの更新も不定期になるほどでした。
さて、私がイトーヨーカ堂が常識の罠に囚われていると感じるのは、彼らが作り上げてきた売り場のスペースを最大限に効率化するために作り上げられてきたマーチャンダイジングの仕組が綻びつつあるのに、未だにそれにこだわっているように見える点です。
具体的にはPOSによる売れ筋・死に筋管理、メーカーとの商品共同開発、売り場面積当たりの売上を最大化する仕組みなどです。これらは、スタートした当初は、イトーヨーカ堂やセブンイレブンの専売特許のような者でしたが、今や他の小売りも学びつつあります。そうした中で、他の小売りとの差別化が明確でなくなってきていると思うのです。
そこで、本来ならば、全く一から新しい仕組みを作って挑戦したいと思っているのにもかかわらず、今の仕組みの中でさらなる効率化を目指さざるを得ないのが今のIYグループではないでしょうか。失うものが大きすぎるのです。

投稿: 内田和成 | 2007年5月29日 (火) 00時23分

最近ブログを書かれているのを知り、楽しく読ませていただいております。常識の罠の部分で、わからなかった点があるので、いつか取り上げていただけると助かります。
「ヨーカ堂グループも自分たちが作り上げてきた常識の罠に囚われて苦労しているように見える」とあるのですが、どういう部分を見てそのように感じられのでしょうか。よろしくお願いします。

投稿: plutom | 2007年5月 9日 (水) 06時00分

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