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2007年5月

2007年5月31日 (木)

日本一のチョコレート・ブランドはなぜ誕生したか?

今週のリーダーはネスレコンフェクショナリー株式会社社長の高岡浩三氏だ。ネスレコンフェクショナリーと聞いてもなじみがないかもしれないが、日本で一番売れているチョコレート「キットカット」の会社だと言えば、ぴんと来るかもしれない。

高岡氏は2001年にマーケティング本部長に就任して以来、キットカットの売上を伸ばし続けてついにNO.1ブランドまで持ってきたという実績を持つ。ちなみにNO.2はポッキーだそうだ。またチョコレートの商品数は1900アイテムもあるというから驚きではないか。この中にはいわゆるパティシエなどで作られている生チョコレートの類は入っていないとのことだ。チョコレートが大好きなので、少し脱線してしまいました。

しかも驚くべきことに、この間TV広告量を1/5まで減らした上で大幅な売上増を実現したそうである。TV広告をやらないとCVSの棚に並べてもらえないというのが最近のマーケティングの常識であることと、キットカットが主に売れるのがCVSをはじめとする、小規模小売店であることを考え併せれば、彼のやったことが当時はいかに非常識だったかがよく分かるのではないだろうか。

それでは、この成果をどうして実現したのかといえば、口コミ効果あるいはかっこよく言えばViral Marketingである。

2002年ころに、鹿児島のほうで1-2月になるとスーパーでキットカットがよく売れるのでPOPを作ってくれないかという依頼が九州の営業に入ったそうである。不思議に思ったので、なぜ売れるのかと聞いたところ、「きっと勝つ」に似た語感なので、受験のお守りに使われるという答えだったそうである。これを聞いた高岡氏は、ひらめくところがあり、全国の営業に問い合わせてみると同じような話が結構ある。そこで、これをマーケティングに使おうと決心した。そこでユニークだったのは、ネスレからは一切この情報を出さないと決めたことである。それはメーカーから発信した情報は消費者は信用しないという彼の信念から来ているようだ。そこで、人々の話題にあがるような仕掛け、イベント、ニュースへの情報提供など、これでもこれでもかというアイデアを次々に実現し、ここまで来たというからたいしたものだ。

質疑応答の最後に、結局企業は人と違うことをやり続けないと競争には勝てないですよねと語っていたのが印象に残ったお話でした。

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2007年5月30日 (水)

ライバルはモールスキン


RHODIAには実は強力なライバルが存在する。モールスキン(MOLESKINE)である。
Rhodia003
こちらはサイズ的にはRHODIAのNO.12をさらに一回り大きくした縦14cm×横9cmである。
私が使っているRHODIAのNO.11に比べると遙かに大きい。知名度で言えばこちらの方が知られているかもしれない。BCGでも今村さんがこのメモ帳を使っている。

ただし、モールスキンは普通のノートと同じ横開きのメモ帳である。そして、原則としては切り取らずにノートとして使う点が、Rhodiaとは大きく違っている。したがって厳密には競争相手ではないかもしれないが、両方持つ人はいないと思うのでRHODIA派とMOLESKINE派に分かれるライバルであることは間違いない。
ただし、実際に使ってみると分かるが場所を構わずメモを取るのには縦開きの方が向いている。新聞記者の取材メモも形式・サイズともこのRHODIANo.11ないしはNo.12に近い。

Moleskine

写真にもあるように、モールスキンを手に持って、メモを取るには少し大きすぎる。一方で、じっくりノートを取るとか、会議の整理をするのにはスペースの広いモールスキンの方が向いている。モールスキンにも5mm方眼紙のタイプがある。

あなたはRHODIA派、それともMOLESKINE派?
私は両方試してみた結果、RHODIAの方が自分の用途には向いていると判断した。良さそうなものは何でも試してみる方なのだ。

ところで、RHODIAはどうしたら手にはいるのかと聞かれたので、お答えする。大きな文房具屋で扱っているところもあるが、面倒がなく確実なのはネット文房具店である。以前にも紹介した、ワキ文具のURLを以下の通りである。

http://www.waki-st.co.jp/

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2007年5月29日 (火)

RHODIAの使い方

どうやって使うのかというと、とにかく常時持ち歩いて、メモしたいと思ったら書き込む。もちろん1ページに1アイテムとする。ミシン目が入っていて、きれいに切り取れるので、用が済んだら切り取って捨てる。あるいはそのまま、伝言などのメモとして人に渡すことも出来る。私の場合は、仕事のアイデア、ブログのネタ、人から聞いておもしろいと思った話、買い物リスト、やることリストなど、何にでも使っている。若い人なら、携帯電話に入力するような短めのメモやノートばかりです。
仕事のミーティングや顧客とのディスカッションのメモとして使っても見たが、これには少し小さすぎるので、こちらは以前同様大型のノートを使っている。

これを使うようになって、電車の中でのメモが楽になった。前は新聞記事などの周辺の空白に記入していたのが、たっぷり書くことが出来るからである。もちろん、これを持っていなかったときや、混んでいてカバンから取り出せないときは、従来同様書けるものであれば、割り箸の袋であろうが、雑誌の裏表紙であろうがどこにでもメモを取る習慣は変えていない。

唯一の欠点は、いくら用事が済んだら捨てると言っても、取っておきたいメモやアイデアもある。そうなると古いメモ帳、しかも櫛の歯が欠けるように微妙に薄くなったメモ帳である、を取っておかなくてはならない。このあたりの使い方は、まだまだ試行錯誤中である。どなたか良い方法がないだろうか?

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2007年5月28日 (月)

RHODIA(ロディア)

今一番気に入っているメモ帳がRHODIAのNo.11である。
写真にあるように、縦型に開いて使う。文字も図も書きやすいように5mmの方眼紙になっている。また、1枚1枚簡単に切り取れる。何が便利かといって、縦10.5cm×横7.4cmととても小型であるために、メモを取る場所を選ばないことである。縦開きのために場所を取らず、かつ左で保持しながら右手で記入することが可能と言うことで、立ったまま使うことが苦にならない。会議中に使うより電車の中や街の中、あるいは対談中、会食中に取り出して使うことが圧倒的に多い。
Rhodia001
RHODIAには種類がいろいろあるが、縦開きのメモ帳だけで何通りもの大きさがあり、一番多きイサイズはA4まで存在する。しかし、左手でホールドして使うとうなると私が使っているNo.11かもう一回り大きいNo.12が限界であろう。
写真左手がNo.12で右手がNo.11である。比較の対象をおいていないお粗末な写真であるが、少し大きさが違うことを感じていただければ十分である。ちなみにNo.12の大きさは縦12cm×横8.5cmである。
Rhodia002_1
カバーを使わずにむき出しに使うのであれば、No.12をお勧めする。一つにはメモ帳としては書き込むペースが十二分あるということと、人の手にちょうどすっぽり収まる大きさであるためだ。ではなぜ私がNo.12を使っていないかと言えば、ちょっと気取って革製のケースに入れているからだ。No.12を革製のケースに入れると、使うときに手に少し余ってしまうのである。
ということで、男性の場合はむき出しで使うのならNo.12、ケースに入れて使うのならNo.11がお勧めである。女性の場合はむき出しで使うとしてもNo.12は少し大きすぎるかもしれない。

使い勝手が良いだけでなく、結構かっこいいので、見せるとほとんどの人が興味を示す。もう既に購入して使い始めている人も多い。明日は使い方を紹介しよう。

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2007年5月26日 (土)

コンプライアンスくそ食らえ

下品な表現で恐縮だが、最近のコンプライアンス強化の動きを見ていると気になることばかりだ。企業は市場や顧客に向いた行動を取るべきなのに、いつの間にか、コンプライアンス室の設置や内部統制のマニュアルを整備するといった内部プロセス重視の流れになっている。その結果、企業のベクトルが内部を向いてしまい、本来顧客や市場に向けられるべきエネルギーが内部で消費されてしまっている気がする。今週の日経ビジネスにも行き過ぎたCSRを疑問視する特集記事が載っていた。
もちろんコンプライアンスが大事でないと言っているわけではないが、組織やプロセスに重きを置きすぎている企業が多いのに対して、それでは解決になりならないというのが私の考えである。組織を作ったり、役付役員をコンプライアンス担当に任命したり、予算をたくさんつけている企業に限って、それを持ってコンプライアンス対策のやれることはやったと思っている経営者が多いような気がする。しかし、私に言わせればトップ自らが自分で人に恥じない行動を取れなければいくらルールを定めたり、監視の目を強めたとしても、企業の不祥事はなくならない。大事なのはトップのマインドシェアであり、トップ自らがその問題にどれだけ関心を持っているかを示す方が、よほど簡単で効果のある方法だと思う。社員はリーダーの背中を見ている。ルールを決めるより、社員一人一人が自分が経営者だったら、あるいは一市民だったらこの問題へはこう対処すると考え、行動する組織が本当の意味でコンプライアンスに優れた企業といえるのではないだろうか。

この件については、少し前に国際経営者協会という組織のニューズレターに書いた文を基にしています。この国際経営者協会について詳しく知りたい方は、下記のURLにどうぞ。
http://www.ima.gr.jp/index.php

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2007年5月24日 (木)

ビジネスプランコンテスト

早稲田大学は今年10月に創立125周年を迎える。慶應は来年150年を迎えるそうですが、早稲田もそれに劣らず伝統がある大学だ。ただし、寄付金集めとなるといつも慶應の方がたくさん集まるのは、ネットワークの慶應と独立独歩の早稲田の違いを象徴しているようで興味深い。
さて、私の所属する商学学術院でもそれを記念するイベントとしてビジネスプランコンテストが行われる。私も審査員をつとめるので、皆様も興味があれば是非応募してください。
以下はパンフレットからの抜粋です。
「早稲田大学創立125周年記念商学学術院イベント「次世代への先見」では、 記念講演・懸賞論文・ビジネスプランコンペティションを開催いたします。

現在、懸賞論文・ビジネスプランコンペティションの募集を行っております。次世代の日本経済・産業および社会に関して自由な発想で論文・ビジネスプランを描いてください。

応募部門

1) 学部生の部
2) 大学院生の部
3) 一般の部


応募締切  2007年7月31日(火)
賞金等  論文・ビジネスプランそれぞれ
 優 勝 15万円(各応募部門ごとに1点)
 準優勝  5万円(各応募部門ごとに1点)」

詳細は主催する早稲田大学産業経営研究所のホームページをご覧ください。

賞金がけちくさいですが、なにぶんにも大学の主催と言うことでご容赦ください。

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2007年5月23日 (水)

日本人の生存能力低下?

一昨日より私が教えている早稲田大学が全学休校となってしまった。理由は、ニュースなどでご承知かと思うが麻疹(はしか)のためである。
いい年をした大人がはしかにかかるのかとびっくりしたが、昔と違って今の子供たちは小さいころにはしかの予防接種をしていないらしい。というのもほとんど麻疹にかかる人がいないので、副作用の心配のある予防接種を無理に受けなくても良いという親の判断も無理からぬことではある。
少し前にも撲滅したはずの結核が密かに復活して、はやっている人が多いという今回のはしか騒動と似たようなニュースが街を賑わした。この手の昔だったら当たり前だったことが、滅多に見られなくなり、そのうち誰も気にしなくなる、そうしてみんながまるで忘れてしまった頃に、突然復活して抵抗力のない人たちがばたばたと感染するなんてことが増えてきている気がする。
話は飛躍するが、私の心配していることははしかや結核のことではなく、日本人全般の抵抗力というか生存能力のことである。無菌豚みたいに、病原菌・細菌がいないところで飼育された動物と同じように、安全な環境で過ごすことに慣れてしまった我々日本人は、実は抵抗力が弱まっているのではないか。そのうち、ミネラルウォーターばかり飲み慣れた人々が、「水道水を飲んで数百人が病気になり入院したが、調べてみたら、通常の雑菌が発見されただけだった」なんてことにならないと良いなと真剣に心配しているのは私だけだろうか?

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2007年5月22日 (火)

ストラディバリウス

昨日は、パソナ社長の南部靖之さんに招かれてストラディバリウスの・サミット・コンサートなるものに行ってきた。ストラディバリウスの楽器がどれくらい素晴らしいのかは、素人の私にはよく分からないが、12台の弦楽器が奏でる調べはとても優雅で、心和むひとときだった。
演奏会のプログラムが終了してから、3回もアンコール曲演奏があったのは、我々に対するサービス&感謝もあっただろうが、それ以上に演奏者たちがこの楽器を演奏することを心から楽しんでいるようで、これも印象に残った。
演奏会終了後に、たまたま出会った某経営者と一緒にピザをつまんだ店で、店長らしい人から聞いたのであるが、今回の楽器11台にかけられた保険金は90億円ということでさらにびっくりすることになった。ここで、たかが楽器に90億と言ってしまうと、音楽愛好家の方から総スカンを食うんでしょうね、私は。

ところで、私と南部さんの出会いは今からちょうど20年前の1987年にさかのぼる。ニューヨークから日本に戻ってくる飛行機の中でたまたま隣り私と同年配の若者が座っていた。その当時JALの機内では主に外人向けにはっぴを無料で配っていたのであるが、それを「これはなかなか良いですよ。あなたももらいなさい」と私の分までもらってくれたのが南部さんとの最初の出会いであった。初対面でいきなりそんなことを言う人は珍しいので、当然強烈な印象を持った。互いに自己紹介をすると、彼はパソナ(当時はテンポラリーセンターと呼んでいたのではないかと記憶する)の創業者だったわけである。もちろん、雑誌などで名前はよく知っていたが、実際に会うのは初めてであった。
私はまだ、駆け出しのコンサルタントであったがたまたま私の得意分野のコンピュータ、それも当時の日本ではまだ珍しかったマッキントッシュの話をしたので、彼の記憶に残っていたのかもしれない。後日手紙をいただき、そこからおつきあいが始まった。仕事の関係は全くなしの友人としての付き合いである。

南部氏を知っている人はみんな同じ印象を持つのではないかと思うが、彼はやんちゃないたずらっ子がそのまま大人になってしまったような人物で誰からも好かれている。これであれだけの企業のトップがつとまるのかと心配することもあるが、そう思わせて周りの人が協力せざるを得ないように持って行くのが彼の天性なのかもしれない。何となく、漢王朝の創始者の劉邦を思わせる性格といったらほめ過ぎであろうか。
一見、天衣無縫でいい加減な性格に見えるが、実は細やかな気配りの持ち主で、私もいろいろなところでお世話になっている。歯医者さんも紹介してもらった。
まだまだ若いので、これからもますます新しい事業に挑戦して、後に続く若者に夢を与え続けて欲しい存在である。

南部さん、昨日はどうもありがとうございました。

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2007年5月21日 (月)

消費者主権主義

今から7年ほど前の2000年初頭の「企業経営」という冊子に、「eコマースの本質は消費者主権主義」というタイトルの小論文を書いた。最近になってますますこのことが重要になってきている気がする。それはWeb2.0の普及である。

そのことに言及する前に、まず私の主張する消費者主権主義が何を意味するかを説明しておこう。私はインターネットが普及した結果、もっとも変わったのは何かというと、情報の主権が大企業・政府・大学といった権力・権威を持つ組織から、個人・消費者・零細企業といった一般大衆に移ったことだと思っている。
たとえば、インターネット普及以前でも大企業であれば、海外の企業と取引しようとしたときに、付き合いのある商社、自分の取引銀行あるいは調査会社などを通じてアメリカの企業に渡りをつけてもらったり、市場規模がどれくらいあって、どんな市場構造になっているかなどを調べることは比較的簡単だった。一方で、一個人や零細企業がアメリカの企業と直接コンタクトを取ってビジネスをすることなど想像を絶するほど大変なことだった。仮に調べてくれるところがあったとしても、一個人や零細企業では負担しきれないほどコストがかかった。
ところがインターネットが普及した結果、一個人や消費者でもグーグルやヤフーを使えば、簡単にアメリカにどんな企業があるか、あるいはその企業がどんな業績でどんな経営をやっているか、さらには取引先からどう見られている釜でほぼ無料で調べることが出来る。このように、大企業(含む政府・大学)と個人(含む零細企業)の間の情報格差が革命的に縮まったのがインターネットの効果である。そして情報活動の主役が個人・消費者に移ったことを消費者主権主義と呼んだわけである。

この傾向は、その後強くなることはあっても弱まることはなかったが、最近になってさらに変質を遂げてきた気がする。というのは、私が消費者主権主義を唱えた頃は、情報主権の意味を情報収集や検索に重きを置いて考えていた。ところが、最近の傾向(特にWeb2.0と呼ばれるもの)を見ると、単なる受け身の情報操作だけでなく、一般大衆が情報発信という武器を手にしたことで社会そのものが変質しつつあるように思える。具体的にはYouTube、MySpace、mixiなどのような消費者からの情報発信で成り立っているサイト・コミュニティーが社会的に大きなインパクトを与えている。さらにこうした新興勢力が既存のメディア(新聞、雑誌テレビ、映画、音楽)産業に対しても大きな影響を与えるほどになっており、既存企業は存亡の危機に立たされていると言っても過言ではない。もちろん、こうした動きはメディア産業に限った話ではないが、一つの象徴として取り上げた。

これについては、まだまだ書きたいこともあるのですが、まずは皆様の意見をお聞かせください。

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2007年5月18日 (金)

あなたは揚琴を聴いたことがありますか

中国に揚琴(やんちんと読む)という楽器がある。木琴とピアノの中間のような音を出すが、余韻が深く、とても印象に残る楽器だ。演奏しているの見ると優雅と言うよりは、結構忙しくて雄々しい。
実は先日訪れたブダペストのハンガリー料理店で演奏されている楽器がとても似ていた。同じように中近東からヨーロッパに渡ったものであろうか。ハンガリーがフィンランドと並んでヨーロッパでは珍しいモンゴロイドの国(今では正しくないとされているようですが)ということと関係があるのであろうか?といろいろと想像をたくましくしてしまった。

音楽に詳しくない私がどうしてこんな珍しい楽器を知っているかと言えば、私の義理の妹がプロの揚琴奏者であるためだ。郭敏(グォミン)という名前だ。その郭敏さんが今度6月に目黒でコンサートをやるそうなので、興味がある方はどうぞ。パンフレットを紹介しておきます。

Guomin001_1 

Goumin002

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2007年5月17日 (木)

リクルート社を再び成長軌道に乗せた男

今週のリーダー登場は、リクルートの柏木社長でした。

4年前に社長に就任したときは、それまで2期連続で減収減益だったそうだ。その時点で、手堅く既存のビジネスモデルをキープしながら減収増益を狙うのか、新しい事業や市場にも進出して成長を目指すのかという2つの選択肢があったときに、リスクがあるのは分かっていたが、社員のモチベーションのためにも後者の選択肢を選んだという話が、まず印象に残った。

経営トップの役割をいくつか述べていたが、その中でやめる決断、組み替える決断はトップでないとやりにくいという話が特に記憶に残った。事業を推進している人間はどうしても「後少しやらせてください、そうすれば・・・」ということになるので、やめる決断こそトップがすべきという話で、安比高原のリゾート事業からの撤退、リクルートコスモスの売却などをその例に挙げていた。さらに求人誌や住宅情報誌の無料化というのも、最後はトップでないと決断できないと言っていたのも、すごくよく分かる。というのも、リクルートの屋台骨を支えてきたであろう週刊住宅情報やFromAのような雑誌を無料化するのは大きなリスクを伴うものだったに違いない。

社長就任後4年経ち、会社の業績もきわめて順調に推移しているようで、当初の成長路線選択が正しかったのであろうことが良く理解できた。そのために経営にも将来の見通しにも自信を持った話しぶりだった。そうかと言って傲慢な印象は全くなく、受講生からの細かい質問にも丁寧にかつ真摯に答えていた。

その他にも、カンパニー制を徹底することで遠心力を働かせて社員のやる気を出す経営を心がけている中で、社員のやる気を損ねることなく本社がどのような役割を果たすべきかなどの話題にも触れていた。そうした話題を通じて、社員や人を大事にしている様子が伝わってくるプレゼンテーションならびに質疑応答でした。まだ49歳と若い経営者なので、さらなる飛躍を楽しみにしている。

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2007年5月15日 (火)

経営者を作る

私がビジネススクールに移って、今一番興味があることが経営者教育である。もちろんMBAも経営者になるための最初の登竜門かもしれないが、必ずしも直ぐに経営者になれる人材を育てているわけではない。アメリカではハーバードビジネススクールをはじめとして数多くのビジネススクールで、すでに経営幹部になっている人々を対象としたエグゼクティブプログラムというものが存在する。私もスタンフォードのエグゼクティブプログラムに受講者として参加したことがあるが、参加メンバーはだいたい30代後半から50代前半くらいまでがほとんどで、大半が大企業の役員・事業部長クラスあるいは子会社の社長クラスか中堅企業の経営者に近い人々だった。
スタンフォードの場合は6週間缶詰のコースだったが、ハーバードはもう少し長いらしい。いずれにしても、そうそうたる企業の現役幹部が長期にわたって会社を抜けて参加するのであるから、送り出す企業側も真剣であるし、学びにきている人間も真剣だった。世界中から100名を超える学生が集まり、うちアメリカ在住者はわずか1/3ほどだった。その仲間が2クラスないしは3クラスに分かれての講義となる。講義はいわゆるレクチャーではなくケーススタディである。といってもMBAのコースと違って、現役の経営者たちが参加しているので議論もきわめて実務的であり学ぶところが多い。
そこで学んだ幹部ないしは幹部候補生は、将来のCEOないしは役員候補であるし、実際にそうなっている人も多いと聞いた。我々の同期生中にも製紙メーカーから派遣されてやってきて、卒業後その会社のCEOになったものもいる。また、そこで培われた同期生人脈がその後のビジネス人生に大いに役立つことは間違いない。

翻って日本の場合は、MBAを取得できるビジネススクールは過当競争ではないかというくらいたくさん出てきたが、経営者一歩手前の人材を対象とした経営者教育はまだ緒に就いたばかりである。私の所属する早稲田ビジネススクールでも夏期に経営幹部候補生を対象としたエグゼクティブプログラムを実施しており、私も講師として参加する。ただ、期間が1週間と短く人数も25人程度で少ないのでアメリカのエグゼクティブプログラムに比べるとまだまだである。しかしそれでも日本では数少ないエグゼクティブ・プログラムの一つで自慢できる。詳細がホームページにアップされていないためにまだここでは紹介できないが、近いうちに紹介したいと思う。

私はこの夏、もう一つエグゼクティブプログラムに参加する。こちらは社団法人の日本マーケティング協会主催のエグゼクティブ・マーケティング・コースである。こちらはマーケティング中心ではあるが、メンバーが取締役を含む経営幹部と本来のエグゼクティブプログラムの趣旨にやや近いこと、期間が10日間と早稲田の倍あること、さらに日本を離れて韓国で行うことなどが特徴である。もちろんその分、費用も高い。私はこちらのコースでは講師もやるが、コース全体をとりまとめる主幹という役割を委員長の神戸大学石井先生の下で務めている。興味がある方は是非下記のホームページをご覧ください。特に経営者の方で、我が社には後継者が育っていない、あるいは育てたいと思っている方にはお勧めです。
http://www.jma-jp.org/JMAhome/open/OPEN.htm

といろいろ述べてきたが、将来は役員や経営者を育てるのなら早稲田ビジネススクールを置いて他にないと言われるようにしたいものだ。

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2007年5月13日 (日)

機内で英語耳を作る

海外に行くときに航空機内で重宝しているのが、スピーカーや音響製品で有名なBOSE社製のヘッドフォーン、クワイアットコンフォート3である。

というのも私は英語がそれほど得意でないのだが、仕事で海外に行く機会が多く、嫌でも英語それもビジネス英語を使わなくてはならない。日常会話であれば、だいたい問題なく会話できるのであるが、ビジネスとなるとそうもいかない。特に聞き取りが大変である。
そこで行きの飛行機の中で映画を英語で見て、あらかじめ耳を英語に慣らしておく努力をしている。ようするに日本語耳を、機内で「英語耳」に切り替えるための作業(セレモニー)である。アメリカ行きやヨーロッパ行きであれが、飛行時間が10時間を超えるのでだいたい映画を2本見る。

Quietcomfort3

機内でどうやって使うかと言えば、このクワイアットコンフォート3を使って映画を字幕なしの英語で見るのである。字幕があるとどうしてもそちらに目が行ってしまうので、字幕なしにすることが肝心である。極端に言えば、筋が全く分からなくなっても、英語が聞き取れる訓練になればそれでよいと割り切っている。ということで見るのは洋画に限られ、日本映画は英語の勉強にならないので、残念ながら見ない。

これを使うまでは、航空機内に備え付けのヘッドフォーン、イヤホーンを使っていたが、航空機独特の騒音がうるさく英語を聞き取ろうとすれば、ボリュームを大きくするしかなかった。結果として音楽や他の効果音まで大きくなってしまい、外の騒音と相まって耳への負担が大きかった。一部の路線ではビジネスクラス・ファーストクラスなどにノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォーンを装備してあるが、それでも結構騒音はする。
このヘッドフォーンの優れている点は、密閉性が優れていることとノイズキャンセリング機能がしっかりしていることである。ノイズキャンセリング機能は驚くほど高く、何もつながない状態でスイッチを入れたときの静音性には誰もが驚くに違いない。また密閉性が優れていると,いくら大きな音で聞いても隣の人に迷惑をかけることがないという利点もある。

この製品とは別にQuietComfort2という製品が以前からあり、早稲田大学の山田英夫先生も使っているのを知っていたのであるが、あまりに大きくて機内持ち込みにする気がしないため、購入しないでいた。ところが昨年、これをとても小さくしたタイプのQuietComfort3が登場したので迷わず購入した。といってもたかがヘッドフォーンで45,000円もするので、少しは躊躇したが買って大正解だった。とにかく、飛行機特有の騒音がほとんど消える。英語が得意でないわけであるから、騒音がある中で英語を聞こうとするとボリュームを上げざるを得なかったのが、それをしないで映画の音だけが聞こえてくる優れものである。
多少の圧迫感があるのと、首が疲れるので飛行機に乗っている間使い続けるのは少し疲れるが、それでもあの航空機独特の騒音がほとんど消えるのは驚きであり、搭乗中ずっと使い続ける人も多いだろう。

ちょっとだけ不便があるとすれば、いつも乗っている日本航空ではイヤホーンジャックにアダプターの一部がぶつかってしまいうまく差し込めない点であろうか。ANAであれば、問題ない。さらに充電式電池がなくなるとノイズキャンセリング機能だけでなく通常のヘッドフォーンとしても使用できなくなるので要注意。ただし、すごく小さな充電器が付属しているので、0.5m位の延長コードを持って行けば座席の100Vコンセントから充電は可能(最近の飛行機のビジネスクラスにはPC用に100Vコンセントがついていることが多い)。

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2007年5月11日 (金)

東欧の風に当たって

今回初めて東欧(こちらでは "Central Europe" と呼んでいるが、日本では東欧の方がなじみが深いので東欧としておきます)にやって来て、いろいろなことを学びました。
来るまでは、「東欧=旧共産圏=遅れた国々」というステレオタイプの認識しか持っていませんでしたが、実際に現地に来て、見てみて、話を聞いてみたら、全く独りよがりの勘違いをしていたことがよく分かりました。

たとえばハンガリー一つとっても見ても、ブダペストに今も残る町並みから判断する限り大変近代的な街だったことがよく分かります。1860年頃、すなわち日本ではまだ江戸時代のブダペストの写真が残っているのですが、すでに7,8階はあろうかという石造りのビルがたくさん立っていて、日本の50年から100年は先を行っていたことがよく分かります。従って、今回の民主化というのは、チェコやハンガリーに関しては共産主義から解放された後進国が急速に経済発展を遂げているというよりは、元々文化的にも経済的にも発展していた国々が共産主義という50年足らずの休息から目覚めて、再度活動を始めたと言った方が正しいようです。
一方で今回は訪問できませんでしたが、ルーマニアやブルガリアなどは歴史の深さからも経済力からもまだまだこれからの国のようです。

また、最後に訪問したチェコ共和国も、街の中には何百年の歴史を持つ建物が残っており、オペラハウスなども日本にないような立派なものが残っていました。経済面で急速にキャッチアップしているだけでなく、伝統を感じさせる国でドイツなどよりよほど由緒ある感じがします。

Prahacastle
この写真は、すでに14世紀にはこの形になっていたと言われるプラハ城の写真をブルタバ川の反対側から取ったものです。中も壮大で日本ではちょっと想像がつかない広さの宴会場がありました。

また、オーストリア(ここは共産圏ではありませんが)とハンガリーは、かつてオーストリア・ハンガリー帝国を形成していたので仲が良いのかと思っていたら、そうではなくハンガリー側が妥協としてオーストリア・ハンガリー帝国を形成したらしく、ハンガリー側にかなり屈折した気持ちがあることがよく分かりました。両国民それぞれの相手国に対する物言いがおもしろかったです。しかし、町並みを見る限り少なくとも500年くらい前にはウィーンよりはブダペストの方が発展していたようです。

さらにチェコやハンガリーは旧共産国ということでおいしいものが食べられないのではないかと思っていたのですが、料理の質は相当高く、少なくともドイツ・イギリス・アメリカの3国をしのいでいることは間違いありません。この3国を比較に出すこと自体、間違いかも知れませんが。

今回の訪問の収穫は、成熟化しつつある日本経済あるいは国力を考えたときに、かつての東欧の国々がそうだったように、街作り・道路などのインフラを充実させておくことが将来につながるという確信を深めた旅でもありました。要するに将来に残るものを経済力のある今のうちに作っておかないと、将来そうしたものを作ろうとしてもすでに手遅れになってしまうのではないかと感じたことです。

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2007年5月 9日 (水)

早稲田大学ゼミのホームページ

私の研究室(ゼミ)のホームページを社会人学生と学部の学生が共同作業で作ってくれました。
私にはデザインのセンスがないので、彼らにお任せでお願いしましたが、しゃれたものができあがったと思います。デザインをやってくれたのは学部生の兼康希望君です。どうもありがとう。
興味がある方は覗いてみてください。

http://www.waseda.jp/sem-uchida/index.html
中身はもちろん、これから増やしていきます。

トップページにある「楽しいテーマを楽しく楽に」というのは、私のモットーである「三楽」を学生諸君が取り上げてくれたものです。私は、コンサルティング時代の経験から、せっかく大変な仕事をやる以上はまず「楽しい仕事」、すなわちアドレナリンが湧いてくるようなワクワクドキドキするチャレンジングでかつ楽しいテーマのをやろうと考えました。次に考えたことはそういつも楽しい仕事ばかりではないとすれば、難しいテーマや後ろ向きの仕事でもやりようによってはもっと楽しくできるのではないかと考え、同じ仕事を少しでも楽しくする工夫を試用と考えました。最後の「楽に」というのはどうせやるなら効率的にやって少しでも早く少ない作業量ですませるようにしようという話です。逆に言えば仕事量を減らすことで、その分より知的に楽しい仕事に自分の時間を振り向けることも出来ると考えたわけです。

ホームページを見て、学術的なものが何もないと気がつかれた方、鋭いです。まだ何もありません。
いつになるか分かりませんが、そうした学術的なものも載せたいと思っています。

先日の嶋口研究会の紹介のところで言い忘れましたが、次回の嶋口研究会は5月29日に早稲田大学大学院商学研究科の同僚である蛭田准教授によるM&Aの効果測定の話です。M&Aは実行前や実行時は大騒ぎされますが、その後本当に効果が上がったのかどうかが忘れられがちです。それを定量的に分析した話をしていただけるのではと期待しております。詳しくは嶋口研究会のホームページをご覧ください。
http://www.waseda.jp/sem-uchida/shimaguchi.html
ただし、会場はいつもの日本マーケティング協会の予定です。

また、嶋口研究会に興味のある方は上記ホームページ内にある連絡先(幹事)まで連絡してみてください。 

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2007年5月 7日 (月)

常識の罠

先月の私の履歴書はセブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんでした。
イトーヨーカ堂を伊藤名誉会長と二人三脚で日本一の小売業にした方だけあって、含蓄に富む文章がいくつも見られました。
その中で、同じ話を2度にわたって別の逸話として紹介してあったのが印象に残りました。それは一言で言えば常識の罠という話です。
一回目は4月20日付のイトーヨーカ堂が業革(業務改革の略)に取りかかったときの話です。イトーヨーカ堂が創業以来初めて減益に陥ったので、原因を調べるとユーザーニーズへの対応が出来ておらず、在庫が積み上がっていた。それで在庫を減らそうとしたところ、営業サイドから「在庫を減らすと売上げが落ちる」、「豊富な品揃えこそがスーパーの特徴だ」と大反対が起きたそうである。
2度目は4月25日付のIYバンク(銀行)発足時の話で、みんなが絶対うまくいくわけがないと大合唱したそうである。その時のことを鈴木さんは、「みんながいいと言うことは単純競争に陥り大抵失敗し、みんなに反対されることはなぜか成功する」と言っている。
しかし、在庫削減に成功したイトーヨーカ堂がスーパー業界でダントツの利益率を誇り、IY銀行(現セブン銀行)も設立数年で経常利益率が3割にも達する高収益銀行になっていることは皆さんもご承知の通りである。常識に挑戦することに大きなビジネスチャンスがあるが、それはまた誰もやろうとしないからであり、それをやり遂げるための洞察力(先見性)と実行力の両方を兼ね備えたリーダーは少ないためであろう。
ただし、個人的にはイトーヨーカ堂グループも今では自分たちが作り上げてきた常識の罠に今度は逆に囚われて苦労しているように見える。

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2007年5月 6日 (日)

富の再配分

ハンガリーのブダペストに来ている。ウィーンからドナウ川を船で下ってやってきたが、なかなか出来ない体験でおもしろかった。途中、水位の高低差を解消するためのドックが2カ所あったが、一カ所は上流と下流の水位差が18mもあって驚いた。
写真のドックで、水に濡れた部分が上部にまで至っているのが見て取れると思います。

Donau_river

一方、下の写真は船がブダペストの港(もちろん川岸です)に着く前に取ったハンガリーの国会議事堂であるが、とても美しい。

Hungary001

ブダペストでは、日本の新潟にある事業創造大学の学長の中澤さんから紹介を受けて、ハンガリー在住10数年の盛田常夫さんにお会いした。
盛田さんは、元々学者であるが、大学からハンガリーに研究に来てこちらが気に入り、その後野村総合研究所を経て現在はこちらでハンガリー立山研究所の社長をされている方である。すてきなハンガリー人の奥さんとご一緒に、素晴らしい庭のあるレストランでハンガリー料理をごちそうになりながら、ハンガリー事情や東欧事情をお伺いした。

皆さんもご承知のようにハンガリーは元々共産主義国家で、民主化の結果、社会主義国家でなくなり現在はEUにも加盟しているが、盛田氏によれば、その民主化の仕方は同じ共産主義国家のソ連とは大きく違うそうである。
ソ連などは、ソ連崩壊でロシアをはじめとする国々に分裂した際に、元々の共産主義政権の中枢を担っていた人たちがかなりうまく立ち回って、結果として数多くの富豪が誕生した。もちろん石油・天然ガスなどの天然資源が豊富にあったことも影響しているが、それ以上に時の権力者たちがかなりあくどいこともやって現在に至ったそうである。
それに対してハンガリーは元々大統領が私財をため込まなかったことや国にたいした資源がなかったこともあって、ロシアのようなダイナミックかつ偏った国家財産の再配分は起きなかったそうである。ロシア・ハンガリー以外にもチェコのことなどもふまえて社会主義政権崩壊時に富の再配分がどう行われたのかを研究し、いくつかのパターンに分類されていると聞いた。
日本ではなかなかお目にかかれない研究で、大変興味深かった。

なお盛田さんは、自分のホームページを持っていて積極的に情報発信されているので、ハンガリーや東欧に興味のある方は是非ご覧ください。
URLは以下の通りです。

http://morita.tateyama.hu/index.htm
上に述べたロシアの富豪誕生の背景などの論文もアップされているようです。

この後はプラハを経由して日本に戻る予定です。

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2007年5月 4日 (金)

嶋口研究会

先週の金曜日、ヨーロッパ旅行に出発する前日に嶋口研究会で「論点思考と仮説思考」というタイトルの講演を行った。
内容は、企業にとって大切なことは解くべき問題(これを論点という)をはっきりさせることと、その問題を効率的・効果的に解決していく2つが重要であるという話をした。前者が論点思考であり、後者が仮説思考である。

Shimaguchi003

内容はここでは書ききれないが前者の論点思考のポイントだけ触れれば、問題解決に当たっては、その課題を解決することで企業全体が良くなる大事な課題一つに限定して問題を解くことであり、すべての課題を解決するのは無意味である。また、その問題発見を間違えるといくら一所懸命解決策を考え実行しても、時間とエネルギーの無駄になるという話をした。
さらに、論点抽出のためには左脳よりも右脳を働かせることが大事で、「当たりをつけたり」、「筋の良し悪し」を判断するなどがカギとなる。
ロジカルシンキングを標榜するコンサルタントらしからぬ「右脳を使え」、「直感を働かせ」という講演だったので、とまどったオーディエンスも多かったのではないかと思った。

ところで嶋口研究会を少し紹介しておこう。嶋口研究会というのは、慶応ビジネススクールの嶋口充輝教授(現法政大学ビジネスクール教授)を中心にした勉強会で、1984年以来23年間続いている伝統ある勉強会である。8月(夏休み)と12月(忘年会)を除いて毎月欠かさず開かれてきており、これまでに200数十回開かれている。
主にマーケティング関係のテーマが多いが、それ以外の分野のスピーカーも多く招いて毎月行われている。
詳細については、下記のホームページをご覧ください。
http://www.waseda.jp/sem-uchida/shimaguchi.html

また、過去の発表テーマとスピーカーについては、下記のページでごらんいただけますが、慶応ビジネススクールのサーバーであることから、近いうちに削除される予定ですのであしからず。
http://www.kbs.keio.ac.jp/simagutilab/workshop.html

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2007年5月 3日 (木)

蜜蜂の大量死

ヨーロッパに来て、こちらの友人からはじめて聞いた話であるが、アメリカやヨーロッパで蜜蜂が大量に死んでおり、その連鎖の影響を心配しているとの話である。
ここ2-3年、アメリカを中心に蜜蜂の巣を飛び立った働き蜂が巣に全く戻らないためにそこに残された女王蜂や幼虫が栄養不足で死んでしまい、結局ほとんど群ごと全滅してしまう現象が発生しているそうである。CCD(Colony Collapse Disorder、日本語にすれば巣群崩壊症候群とでも訳すのであろうか)と呼ばれるそうだが、一時的には蜂蜜の価格の高騰につながるわけであるが、それ以上に深刻なのは蜜蜂が媒介して受粉を行う植物類が将来激減してしまうのではないかと言うことらしい。具体的にはリンゴ、アーモンド、柑橘類などがそれにあたるそうである。
原因についても、伝染病説や免疫弱体化説(人間で言えばエイズのようなものか?)あるいは遺伝子組み換え技術採用の植物が増えて蜂が蜜を採取できなくなったなど(友人はこれを信じていたようだが、私はにわかには信じがたかった)、今のところ諸説入り乱れているようだ。
友人はアル・ゴアの不都合な真実などとリンクして、地球環境の将来を心配していたが、その当たりはどんなものであろうか。もちろん生物や自然環境は私の専門分野ではないが、日本では聞いたことがなかったもので、紹介しておく。

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2007年5月 2日 (水)

古き良き時代

現在、GWを利用して、ヨーロッパのオーストリアに来ています。昨日までインターネットもつながらないような山の中にいました。と言うことで、ブログの更新が全く出来ない状況でした。楽しみにしていた方にはごめんなさい。今日からはウィーンのホテルです。

さて、私がこちらで何をしていたかというと、元BCGの同僚の家に遊びに行ってました。彼の家は、オーストリア第2の都市グラーツから車で20分ほどのFrohnleiten(フローンライテン)という街からさらに10分ほど山中に入り込んだところにあります。どれくらい田舎というと写真を見てもらうとわかりやすいと思いますが、すごい山の中です。ここでヨーロッパアルプスが終わるのだと自慢していました。

Austria001 彼の家の向かいの風景です。

しかし何がすごいと言って、とてつもなく広い家に住んでいることです。まず敷地は10haもあるそうだが、どこまでが彼の土地かよく分からないくらい広いです。また一番最初の写真は彼の家の母屋だが、それ以外に目立つ建物だけで3つもある。母屋に家族の部屋(5人家族)以外にゲストルームが2つもあるが、それでも足りないと言うことで、こちらの建物には20人以上泊まれるゲストルームがあるそうだ。元々農家の家だったのが捨てられて使われなくなっていたものを改築して自宅にしたそうである。そんな素晴らしい家で、自給自足ではないが、自然に囲まれて快適に暮らしていた。BCG時代に一所懸命働いた反動かも知れない。それでも3人の子供とすてきな奥さんに囲まれて幸せそうであった。ちなみにもう一人子供がいて、彼はケンブリッジ大学に留学中だ。

Austria002 Austria003

左が彼の母屋で、ここだけで10室以上ありそうです。右側がゲストハウスで、大きさだけなら母屋より大きいです。

彼の家だけでも驚いたのに、ここから10分ほど離れた市街地にある奥さんの実家というのにはさらに驚いた。まるでお城のような家と、とんでもない敷地の広さである。家の敷地を抜けるのに車で10分はかかるのを実際に経験して本当に驚いた。想像を絶する広さだった。上には上があるものだと感心した。
ちなみにそこでごちそうになった昼食は、700年くらい前に立てられて石造りの邸宅(写真にあるもの)の中で、古いヨーロッパの映画に出てくるような部屋とテーブルで執事にサービスしてもらうという日本では絶対にあり得ないようなものであった。

Austria004
だからなんだというメッセージのない文章で申し訳ないが、良いものを見させてもらった。

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