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2007年2月 4日 (日)

筋の善し悪し(2)

前回も言ったように筋の善し悪しというのはきわめて感覚的な言葉なので、説明するのが難しい。いわゆる暗黙知である。しかし私もコンサルタントなので、何とか形式知化を試みてみる。
まず筋が良いというケースの具体例を挙げよう。ある消費財メーカーが売上の低下に悩んでいるので何とかしたいと思っていた。少し調べてみると、製品は競争相手に比べて劣っているわけではなくむしろ優れているところがある。また、製造方法に特徴があって、生産量を後2-3割増やせれば、生産コストがかなり下がることが予想される。競合はTV広告を含めてプロモーション政策に力を入れており、消費者の認知度が高い。その結果、小売店段階では、競争相手の製品の方が扱っている店舗数も多く、棚のスペースも自社より多い。それが競合とのシェアの差になっていると考えられた。こうした場合は、マーケティングミックスを工夫して、価格政策やプロモーション政策、あるいは卸・小売店対策をいじるだけで、大きな改善を見ることが多く、我々は筋がよいと考える。明らかにまだ自分の持っている経営資源を十分に活用していない上に、いじるべき政策変数が多数残っている。要するにオプションの数が豊富で、それぞれをいじった場合の改善幅が大きそうなのである。
一方、筋が悪い例をあげてみると、同じ消費財メーカーで同じく売上減に悩んでいる。ただし、こちらの場合は、業界ナンバーワンで、得意としている比較的年配向けの製品では50%以上のシェアを保っている。業界全体ではマイナス成長で、とりわけ自社の得意な高年齢層では年と共に一人当たり使用量が減っている。一方、二番手企業はシェアでは我が社に劣るものの、若者向け市場で圧倒的な地位を築いている。我が社も若者向けの商品をそろえているものの、年配向けの商品イメージを引きずっているせいか、競合の若々しいデザインやネーミングに比べて人気がない。我が社の製品に対するイメージ調査の結果は、お父さん・お母さんの○○という結果になっている。製品についても、年配者は大げさな商品変更を望まないと考えてきたために、どちらかというと小手先の改良にとどめてきた。結果として研究開発費はあまり使われてこず、製品開発力で競合に大きく見劣りする。これが少ない投資で大きなリターンをもたらしてきた要因の一つである。こちらは戦略オプションから見ても、企業の体質から見ても打ち手が限られるので筋が悪いと言うことになる。そもそもオプションが限られている上に、手を打ったところで競合に勝てる可能性や消費者の心を捉える可能性が少ない、すなわち改善幅が少ないと言うことになる。
ということで、まずはオプションの数が多いか少ないか、あるいはそのオプションを選択した場合の成功可能性やリターンの大きさが大きいかどうかと言うのが、筋の善し悪しの基準になる。

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