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2007年2月16日 (金)

トロイアの発見は仮説思考から

日本ではトロイの木馬の話で有名であり、伝説上の国家で実在しないと言われていたトロイア。その遺跡を実際に発見してその存在を世に知らしめたことで有名なシュリーマンの自伝「古代への情熱」の中におもしろい一説があった。ご承知のようにシュリーマンは小さいときに聞かされたホメロスの叙事詩「イリアス」や「オデュッセイア」を作り話ではなく実際にあった話だと思いこんで、後年トロイア(トロイ)の遺跡を発掘することに成功した。
その内容が自伝風に書かれたものが「古代への情熱」である。その中の一説に下記の文章がある。少し長いがそのまま引用する。
「シュリーマンが調査を始めるときに」と、フィルヒョーは書いた。「正しい前提から出発したか、それとも誤った前提から出発したかということは、今日では無意味な問いである。成功によって彼が正しいと判定されただけではなく、彼の調査の方法も正しかったことが実証されたのだ。彼の前提は大胆にすぎた。いや恣意的であったかも知れないし、あの不滅の詩の繰り広げる魅惑的な画像が彼の空想力をとろかしすぎたかもしれない。しかし、この心情の欠点、これを欠点と言ってよければだが、この中にも彼の成功の秘密もひそんでいたのである。確かな、いや熱狂的な信念につらぬかれたこの人を除いて、一体だれが、長年にわたるああいう大事業を企て、私財からああも莫大の資金を投じ、果てしなく積み重なっているように見える廃墟の層を掘りぬいて、はるか下に横たわる原地盤に到達したであろうか。もしも空想力にスコップが動かされなかったら、焼けた町は今日なお地中深く埋もれているであろう」
出所:新潮文庫「古代への情熱」p119
この文章の「前提」を「仮説」に置き換えると、シュリーマンはまさに仮説思考の男だったといえるのではないだろうか。

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