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2007年1月24日 (水)

身内の反乱

異業種格闘技を仕掛ける最後のカテゴリーは同業者の変身です。これはあまり例が多くないと思っていますが、たとえばヤマト運輸の場合を取り上げてみましょう。それまでの運輸業界の必勝パターンはいかに効率の良い路線便の免許を獲得し、かつ同一路線で免許を持つ企業、すなわち競争相手を少なくするかというゲームでした。したがって、東京大阪間のような荷物需要の多い路線の免許を持ちかつ同じ路線の免許を持った競争相手が1~2社しかいなければ大変儲かるということになります。あるいはたいした需要はないのだけれど、免許を持っているのが自社だけというのも結構儲かる構図でした。一方で、福島と長野のような距離の離れた中都市同士の免許を持っていてそこには競争相手が2社いるというような状況は絶対儲からない。
そうした業界で、運輸業者としてはマイナーだったヤマト運輸は、突然大口顧客の三越の配送から撤退し、日本全国を相手にした小口配送を始めてしまったわけです。同業者からは気がおかしくなったと思われたと言います。しかし、そうした小口貨物をまじめに扱う業者がそれまでいなかったことから、最終的にはちりも積もれば山となりで、大変大きなビジネスに変身したことは皆様が知っての通りです。また、その過程で路線免許の許認可権を持つ運輸省と料金問題でけんかし、業界からはあきれられたというのも有名な話です。別の言い方をすれば、運輸省と仲良くやるのが競争のルールだった業界に、運輸省とけんかしてでも顧客志向のサービスを提供するという新しいルールを持ち込んだのがヤマト運輸といえます。
最近の例で言えば、テレビ業界ではほとんどビリで二流メーカーだったシャープが、液晶テレビに全勢力を注ぎ、優れたデザイン・性能&高価格でテレビ業界のトップメーカー入りを果たした例などがあげられるかも知れません。かつてのシャープといえば、製品は他社とほとんど差別化できていない上に、プロモーションなども控えめで、結果的に松下やソニーに比べると同じような製品が遙かに安い価格で売られているというのが普通でした。したがってトップメーカーからすれば、常に追随者であり、まず追い上げてくる心配のないメーカーと考えられていた。ところが、液晶テレビに関しては、業界に先駆けて開発しただけでなく、高性能・高価格を売り物にして、テレビコマーシャルをはじめとする大々的なプロモーションを行い、堂々としたリーダー戦略をとっている。松下は事実上液晶テレビをギブアップし、ソニーはサムソン電子と液晶パネルを共同開発するところまで追い込まれた。今も、シャープの液晶テレビは亀山工場製のパネルを搭載したモデルが亀山モデルと呼ばれて、他社に比べて高価格を維持している。製品革新で異業種格闘技を仕掛けた例かもしれない。

皆さんの業界でも異端児がいると思います。是非教えてください。

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