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2007年1月

2007年1月31日 (水)

筋の善し悪し(1)

コンサルタントがよく使う言葉に、「筋がよい」とか「筋が悪い」というのがある。きわめて感覚的な言葉で説明するのが難しいのだが、論点思考のカギとなるので何回かに分けて説明を試みる。一回目は、どんな時にこの言葉を使うかというと・・・。

たとえば、ある企業からこの問題を解決して欲しいと言われたとき、それが非常に難しい問題だったり、針の穴に糸を通すような成功確率しかないときに筋が悪いという。
あるいは、ある人が企業改革のためにこうしたら良いという答えあるいは確信を持っているときに、それがどう見ても筋違いでそんなことやっても企業が良くならないと思うときに、○○さんの答え(仮説のことであるが)は筋が悪いという。
ある課題を解決するために3つくらいの選択肢があり、そのうちの一つがどう考えても問題解決につながらない場合に、その答えは筋が悪いという。逆に、これを解決すれば業績が良くなる、シェアが上がる、社長の悩みが解決するなどが見えている答え(仮説)の場合は、もちろん筋が良いという。
コンサルタントで、何度仮説を作っても正しい仮説が作れずに、的外れだったり、真の仮説の周りをぐるぐる回るだけの場合に、彼は筋が悪いというふうに使うこともある。
いずれも、結果が出てから言うわけではなく、まだ結論が出る前の段階でのコメントである。したがって、筋が悪いと言った人間が間違っている場合もないわけではないが、多くの場合は筋が悪いと言った事象については、いくら一所懸命分析したり、実行してもダメな結果しか出ないことが多い。
これを読んでコンサルタントとはなんといい加減な商売かと思われるかも知れないが、こうした筋の善し悪しが判断できないコンサルタントは大成しないというのが真実なのである。
次回は筋の善し悪しを具体例で紹介することにトライしてみたい。

このあたりも含めて、論点思考についての講演を2月16日にアカデミーヒルズでやりますので、興味のある方は是非どうぞ。
http://www.academyhills.com/biz/think_biz05.html

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2007年1月30日 (火)

異業種格闘技の起きやすい業界(3)

消費者を向いていない業界あるいは消費者に満たされていないニーズがあっても解消されていない業界には、その隙を狙って新しいプレーヤーが異業種格闘技を仕掛けてくる。
たとえば古い話で恐縮だが、かつてほとんどのスーパーや食料品店はどこも朝10時頃から夜の6時くらいまで営業をしていた。消費者もそれが当たり前と思っていたところに登場したのがコンビニエンスストア(CVS)であった。CVSは朝7時から夜11時まで営業し、かつ駅とか商店街の真ん中の行き来に便利な場所に立地していた。価格は全然安くなかったけれど、朝の通勤・通学前の客のニーズや夜遅く帰ってくる勤め人のニーズをたちどころにつかんで大きく発展したのは皆さんのよく知っているとおりである。当時のスーパーから見ると、価格は定価で安くない上に品揃えも店の大きさからして自分たちの何分の一もないのに、なぜあんなにはやるのか理解できなかったに違いない。そのうちCVSは24時間営業まで始めて、全く異なる業態へと変化してしまった。対抗しようにも、価格が安いわけではないので値下げするわけにも行かず、品揃えでも負けようがなかったので、どう戦って良いか分からないうちに気がついたら負けていたというのが本音だろう。消費者の距離や時間に対する利便性のニーズが高かったのに気づかなかったわけである。
そのほかの例としては、ガリバーによる車買い取りビジネスもあげられる。それまで、自分の乗っていた車を売るとしたら、中古車専門店に売るか、新車購入時に下取りとしてディーラーに引き取ってもらうのが普通であった。どちらの業態も車を売るユーザーを向いていたとは言えない。まず中古車専門店であるが、普通のユーザー特に女性客が入るのには敷居が高く、専門知識がないと相手にうまく丸め込まれてしまうのではないかと思わせるような雰囲気があった。また彼らが車を買い取るのは、買い取った車を商品として再度販売するのが目的であるから、なるべく安く買って、出来るだけ高く売ろうというのが理にかなっている。一方で、新車ディーラーもあくまで目的は新車を買ってもらうためであるから、どちらかというと仕方なく中古車を買い取るという感じになるのは無理なからぬことである。こうした状況が、車を売る人に高い満足度を与えていたとはとうてい思えない。そこでガリバーが考えたモデルが、買い取り専門店である。買い取りが専門であるから、車を売ってくる人が唯一の顧客であり、大事にせざるを得ない。さらに、買った車はオークションなどの専門業者に即売ってしまうので、在庫のリスクなどもなく、市場で売れる価格から儲け分を引いた価格で仕入れるという仕組みを考案することで、透明性の高い価格を実現した。それは一般的に中古車販売専門店やディーラーの買い取り価格より高い価格である。結果として、消費者からは高く買ってくれる上に、価格の透明性が高く安心であるという評価を得るようになった。

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2007年1月29日 (月)

花田 敬さんへのエール

イーエフピー(eFP)という会社の社長をやっている花田敬さんは10年近く経つ知り合いですが、私の著作「仮説思考」やブログをいろいろなところに紹介してくれています。また、このブログに一番たくさんコメントを書き込んでもらってます。どうもありがとうございます。
ごく簡単に紹介すると、日本の保険業界を変えるのだという意気込みで、自ら会社を作ってもう10年くらいになるのではないかと思います。とても活動的でそこかしこに出没し、日本中に熱烈なファンがいるようです。

営業に関しては、自分の保険会社の営業マン時代の経験もふまえて一家言ある方です。
そうした自分の意見から日常的なことまで含めて、自ら社長ブログというのを公開していますので是非覗いてみてください。
http://blog.goo.ne.jp/e-fp/

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論点抽出の難しさ

今日もまた、論点思考の話である。経営コンサルティング会社のパートナークラスの人間が人任せにせず必ず自分でやる仕事が一つだけある。それは顧客の社長へのプレゼンテーションでもないし、最終報告書の作成でもない。もちろんこうした仕事はトップの大事な仕事であるが、部下に任せても良い仕事である。絶対任せてはならない仕事、それは提案書作成である。
普通の人は、なるほど営業活動の一環で仕事が売れるかどうかに関わる重要な仕事だから、シニアがやるのかと思うかも知れない。それは当たっている面もはあるが、本当の理由ではない。本当の理由は、企業の問題解決に当たって最も重要なとなる課題設定、すなわち論点の抽出と定義が、実は最も難しい仕事であるために、そこだけはシニアが全力を尽くして臨むためである。
別の論点思考のところに書いたように、最初に課題設定を間違えるとその後の作業をいくら正しくやったところで問題解決にはつながらない。したがって、短期間で答えを出すためには最初の課題設定がきわめて重要になる。その課題設定を論点抽出と呼ぶのであるが、そのために自分の経験と勘、経営者の問題意識、起きている事象(通常問題といわれるもの)の解釈、こうしたものをすべて照らし合わせて論点抽出を行う。まさに名人芸の世界である。
この名人芸、すなわち暗黙知をどれだけ形式知にしてみんなに理解してもらえるか、今後トライしていきたいと思う。

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2007年1月28日 (日)

論点思考とは何か

一言で言えば、数ある問題の中で本当に解決しなければいけない問題を論点と呼ぶが、その論点を抽出し、それを解決する方法を見つけ出すことである。

企業が問題を抱えたり、何が悪いのか分からないけれど、もっと良い会社にしたいと思うときに我々コンサルタントの出番が来る。
その場合に最も重要なことは、問題すなわち課題を正しく設定することである。
企業は数え切れないほど多くの問題点を持っている。これをすべて解決しようと思っても、時間もなければ、人も足りない、さらに肝心の顧客向けのサービスがおろそかになってしまう恐れするある。そこで、本当によい企業になろうと思ったら、一つか二つの課題に絞って、それを解決することに全力を絞るべきである。
その際に最も難しいのは最優先で解決すべき課題を特定することである。これをセントラルクエスチョン(大論点)と呼ぶ。何が難しいといえば、学校の試験問題と違って、誰かがそれがセントラルクエスチョンであると教えてくれないことにある。
したがって、自分で問題を考え、それが本当に一番大切な解決すべき問題か、あるいは他にあるのかどうか判断しなければならない。
実は経営コンサルタントが得意なことは、このセントラルクエスチョンが何であるかを見つけ出す能力にあると言っても過言ではない。
こうして、これが最も大切な問題であると自信もてたら、その後はそれを解くことに全力を挙げることになる。そして、その問題を解く場合にはあらかじめ答えを考えてから、それを検証する形で問題を解いていく仮説思考が重要になる。分析が出来て、問題が解決できるだけでは、経営コンサルタントしては半人前なのである。

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2007年1月27日 (土)

異業種格闘技の起きやすい業界(2)

規制緩和が起きている業界は当然ながら今までと異なるタイプのプレーヤーが参入して異業種格闘技が起きる可能性が高い。
最近の例でいえば電話業界にインターネットを使った電話(050で始まる電話番号を持ち、IP電話とよぶ)が導入されたときである。これまでの電話というのが距離に応じた料金体系、すなわち市内通話なら3分8.5円、近距離なら3分40円~160円、長距離が3分640円のような価格になっている。ちなみに今回調べてみて、未だにこんな高い料金が定価になっていることに改めて驚いた。もちろん国際通話はもっと高い。ところがIP電話では距離に関係なく通話料が一定である。これでは、勝負にならない。そのため、固定電話会社は、各種サービス料金導入による価格引き下げを余儀なくされている。さらには自らIP電話を始めるところまで変わってきている。
金融業界では、規制緩和の結果、書ききれないくらいの様々な変化が起きている。たとえば保険業界では外資系保険会社のガン保険に代表される医療関係の保険、従来型の満期保険金受け取りではない掛け捨て保険。私も入っているが、とにかく保険料が安い。銀行に目を転じれば、以前にも取り上げた利便性重視で貸し出しを行わないコンビニ銀行、あるいは24種類のカラフルなキャッシュカードや各種手数料の無料化で若者に圧倒的人気の新生銀行、さらには、新聞紙上で預金募集を行うオリックス信託銀行など、従来にないタイプの銀行が多数誕生している。証券会社でもイートレードやマネックス証券のような店舗を一切持たないオンライン証券会社の勢いが止まらない。
これ以外にも電力業界の自由化、運輸業界の自由化、官業の民営化など、規制緩和の例は枚挙にいとまがない。
既存企業から見て新規参入企業はとにかく扱いにくい。なぜなら、彼らは既存業界の慣習にとらわれずに斬新な発想が出来る。さらに持たざる強みで、失うものが何もない。たとえ1-2社がつぶれたとしても、次々に新しい企業が生まれてくる。
しかし、そもそも規制当局の狙いが、新規参入企業が既存業界に刺激を与えて価格競争が起きたり、サービスの質が上がることにあるから、既存企業にとって良い話に思えないのは当然のことである。個人的にはこうした刺激があって初めて既存企業も優良企業に変身しうると思っているので良いことだと思っているが・・・。
たとえば郵便事業に民間が参入すれば、今まで郵便局が提供してこなかった様々なサービスが提供される可能性が高い。もし住所ではなく、本人がいる場所、たとえば自宅にいるときは自宅に、会社にいるときは会社に、必要なら旅行先のホテルまで届けてくれる郵便があったらいいなと思っている。従来の郵便が書かれた住所にしか届かない固定電話型だとすれば、この新しい郵便は本人が所在する場所を勝手にトレースして届けてくれる携帯電話のような郵便である。

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2007年1月26日 (金)

異業種格闘技の起きやすい業界(1)

どういうときに異業種格闘技が起きやすいか考えてみました。
分かりやすいところから行くと、
1)技術革新
まず技術革新の結果、今までに比べて優れた製品・サービスあるいは存在しなかった機能などが提供できる場合です。
インターネットの普及やIT技術のおかげでCDを買わなくてもネットワークからCDと比べて音質面で遜色ない音楽を手に入れることが出来るようになった。結果としてレコード会社と電機メーカーとPCメーカーが同じ土俵で顧客を奪い合っている。
あるいは無線技術の発達で、自分の電話を外出先や移動中に使えるようになった。従来の電話会社と携帯電話会社が顧客を奪い合っている。たかだか15年しか経っていないのに、携帯電話の普及ぶりは凄まじいものがある。今更携帯電話のない生活には誰も戻れないでしょう。とりあえず1ラウンドは携帯電話会社の勝ちで、これから無料の無線LANなどの普及に伴い、第2ラウンドでまた新たな異業種格闘技の戦いに入るところでしょう。
そこまでハイテクでなくてとも、最近はやりのコインパーキングは無人で時間貸しが出来る機械なりシステムが登場したことでことで初めて成り立つ商売であり、これまでの主流であった有人の時間貸し駐車場や、無人の月極駐車場と競い合っている。

技術革新以外の要素としては、たとえば
2)規制緩和
3)消費者志向の少ない業界
4)顧客のアンメットニーズ(満たされていないニーズのこと)のあるところ
5)非効率な機能を保持したままの業界
6)ベンチャーブーム
などがあげられると思いますが、他にもありそうです。

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2007年1月25日 (木)

仮説学会

仮説思考に関しては、もう一ついい話があります。
だいぶ前になりますが、私の仮説思考を読んだ方が、仮説の大切さについての改めて意を強くされ、仮説学会を作ってしまったという話です。
以下がそのホームページですが、興味がある方は是非のぞいてみてください。
http://kasetsu.style.coocan.jp/blog/

もちろん公認の団体ではないと思いますが、仮説学会って、いいなと思って紹介させていただきます。

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「論点思考」記事の反響

今週発売のThink!に寄稿した「論点思考」の原稿が、著名な書評メルマガ“Webook of the Day”の07年1月24日号で大変好意的に取り上げていただきました。

http://blog.mag2.com/m/log/0000000969/

発行人の松山さん、ありがとうございます。

論点思考についてはまだ読者の方からのコメントいただいてませんが、もし読まれた方がいたら是非感想なりコメントをよろしくお願いします。

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2007年1月24日 (水)

身内の反乱

異業種格闘技を仕掛ける最後のカテゴリーは同業者の変身です。これはあまり例が多くないと思っていますが、たとえばヤマト運輸の場合を取り上げてみましょう。それまでの運輸業界の必勝パターンはいかに効率の良い路線便の免許を獲得し、かつ同一路線で免許を持つ企業、すなわち競争相手を少なくするかというゲームでした。したがって、東京大阪間のような荷物需要の多い路線の免許を持ちかつ同じ路線の免許を持った競争相手が1~2社しかいなければ大変儲かるということになります。あるいはたいした需要はないのだけれど、免許を持っているのが自社だけというのも結構儲かる構図でした。一方で、福島と長野のような距離の離れた中都市同士の免許を持っていてそこには競争相手が2社いるというような状況は絶対儲からない。
そうした業界で、運輸業者としてはマイナーだったヤマト運輸は、突然大口顧客の三越の配送から撤退し、日本全国を相手にした小口配送を始めてしまったわけです。同業者からは気がおかしくなったと思われたと言います。しかし、そうした小口貨物をまじめに扱う業者がそれまでいなかったことから、最終的にはちりも積もれば山となりで、大変大きなビジネスに変身したことは皆様が知っての通りです。また、その過程で路線免許の許認可権を持つ運輸省と料金問題でけんかし、業界からはあきれられたというのも有名な話です。別の言い方をすれば、運輸省と仲良くやるのが競争のルールだった業界に、運輸省とけんかしてでも顧客志向のサービスを提供するという新しいルールを持ち込んだのがヤマト運輸といえます。
最近の例で言えば、テレビ業界ではほとんどビリで二流メーカーだったシャープが、液晶テレビに全勢力を注ぎ、優れたデザイン・性能&高価格でテレビ業界のトップメーカー入りを果たした例などがあげられるかも知れません。かつてのシャープといえば、製品は他社とほとんど差別化できていない上に、プロモーションなども控えめで、結果的に松下やソニーに比べると同じような製品が遙かに安い価格で売られているというのが普通でした。したがってトップメーカーからすれば、常に追随者であり、まず追い上げてくる心配のないメーカーと考えられていた。ところが、液晶テレビに関しては、業界に先駆けて開発しただけでなく、高性能・高価格を売り物にして、テレビコマーシャルをはじめとする大々的なプロモーションを行い、堂々としたリーダー戦略をとっている。松下は事実上液晶テレビをギブアップし、ソニーはサムソン電子と液晶パネルを共同開発するところまで追い込まれた。今も、シャープの液晶テレビは亀山工場製のパネルを搭載したモデルが亀山モデルと呼ばれて、他社に比べて高価格を維持している。製品革新で異業種格闘技を仕掛けた例かもしれない。

皆さんの業界でも異端児がいると思います。是非教えてください。

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仮説思考が新聞で取り上げられました

本日(正確には昨日)1月23日付の日経産業新聞朝刊に私の仮説思考の記事が大きく取り上げられました。1面の2/3に位をこの記事が占めています。本文を掲載できないのが残念ですが、見出しだけでも雰囲気を味わってもらえればうれしいです。
Kiji

一言で言えば、インターネットだけでの情報収集は、誰でも同じ内容になってしまい、それでは知恵がない。アナログ思考で自分なりの独自の情報や考えをもってから、仕事に臨んで欲しい。ただし、その際は仮説思考で仕事を絞り込むことが大事、といった内容です。
興味があれば是非本誌を参照してください。仮説思考の単行本を発売したのが昨年3月31日ですから、1年近く経った今もマスコミに取り上げてもらえるのは大変ありがたいことです。

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2007年1月23日 (火)

本屋さんにありがとう

先日出張時に東京駅の中にあるブックガーデンという本屋に寄ってみたら、うれしいことに私の書いた仮説思考が、入ってすぐのところの平台と奥のビジネス書コーナーの2箇所にたくさん平積みされてました。特に突き当たりのビジネス書コーナーでは手書きのPOPまで用意してもらっていて感激です。あまりうれしかったので携帯で写真撮りましたが、肝心のPOPがピンぼけでした。残念。

Kasetsushiko

でも発売されてから結構経つのにこんなに大々的に取り上げてもらってありがたいです。感謝!

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2007年1月22日 (月)

黒船襲来

外資系企業が日本にやって来るときに日本の業界とは異なる常識・ルールを持ち込み、結果として日本の業界がかき回されてしまうことが多い。
今から20年近く前にアメリカ最大のおもちゃ屋であるトイザらスが日本に進出した。もちろん日本の玩具業界は大反対した。一つにはそれまでのおもちゃ屋は小規模の小売店が多く、間口は数メートルでお店の広さも数十平方メートルしかないような店ばかりだった。そこへ何千平方メートル、すなわち100倍も大きな店が来たらひとたまりもないと小売店は考えた。さらにトイザらスの特徴はおもちゃメーカーと直接取引をして、なおかつ大量仕入れをするために安い値段で仕入れることが出来、それを思い切った低価格で販売するというところにあった。これでは定価に近い価格で売っている小売店はひとたまりもない。さらに、メーカーから直接仕入れると言うことで卸屋が不要になるということで問屋が大変な危機感を抱いた。
一方でトイザらスは当時の日本の大店法では、自分たちの望む大型店が自由に出店できないことを知り、アメリカ政府に働きかけて、結果的には日本の大店法を変えさせてしまった。法律まで変えさせてしまう恐るべき黒船だったわけである。そして次々と大型店を開店させ、あっと言う間に日本一のおもちゃ屋になってしまった。
最近の例をあげれば、外資系企業それも本来のゴルフ場経営会社ではなくインベストメントバンクやファンドによる日本のゴルフ場経営がある。これまで日本のゴルフ場経営は会員制度をベースにした預託金と入会金・名義書換料などプレーフィーと直接関係ないところの収入や資金の運用をベースに行っており、プレーフィーなどの収入は副次的な位置づけであった。そのために会員権相場が低迷するとたちまち経営危機に陥るところが続出した。そこへ目をつけたのが外資系企業やファンドである。彼らは、ゴルフ場に来場するプレーヤーからの収入で成り立つビジネスモデルを作り上げ、経営不振のゴルフ場をただ同然の値段で次々と買収し、スケールメリットを効かしたチェーンオペレーション型のゴルフ場経営を目指している。毎年の収入と支出だけで成り立たせるきわめて当たり前のビジネスモデルに変えただけだと言えなくもないが・・・。
同じような話は不動産業界にもあり、値上がりを期待するビジネスモデルでこれまでやってきて、バブル崩壊で大打撃を受けた日本の不動産業に対して、実際に不動産から上がる収益すなわち賃貸料などをベースにした運用利回り型の外資系という構図になっていた。後者の方は、不動産価格が安い時が買い時なのに対し、日本の不動産業は安いときは将来の収益が読めないために買いに出られず、買い時を逃したと言われている。
外資系企業もまた、異なるルールでの競争を仕掛けている異業種格闘技のプレーヤーである。

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2007年1月21日 (日)

問題をいくら解決しても企業は良くならない

今日はいつもの異業種格闘技とはちょっと異なるテーマです。

昨日から書店に並んでいる東洋経済新報社の雑誌「Think!」最新号に“【論点思考】真の問題を発見する「問い」の立て方、考え方”という記事を書きました。

Think_1

一言で言えば、問題をいくら解決しても企業は良くならないという話です。
答えを出すべきは「論点」に対する答えであり、それなくして問題解決を図るのは労力と時間の無駄だという話です。
ここで言う論点とは企業が解決すべき課題のことです。経営コンサルタントがお金をもらって取り組むのも、この論点に答えを出すためであるといってしまうと言い過ぎかも知れませんが・・・。
ちなみに、世間で我が社の問題点は○○であるといったり、我が社にはこんなにたくさんの問題があると言う場合の問題点とか問題は、実は単なる現象のことが多く論点ではないことが多い。
たとえば会社が品質に不良のある製品を出荷してしまい、それが新聞のニュースで取り上げられてしまった。大事であるが、これが問題であると捉えると失敗する。
これは単なる事象であって、論点ではない。この場合の論点とはいくつも候補がある。たとえば、こうした問題が経営層の知らないところで起きていたり、勝手にマスコミに漏れていったりしたとすれば、社内の連絡・報告体制に問題があるというのが論点になりうる。あるいは工場での品質問題というのが日常茶飯事で起きているとすれば、論点は生産管理や品質管理の能力不足と言うことになる。一方で、こうした問題を経営トップが知りながら、隠蔽しようとしていたとすればトップの資質やガバナンスが論点となる。あるいは、実はたいした問題でもないのに間違って報道されてしまった場合は、会社のブランドイメージが傷ついて、有形無形の損害を受けのをどう解決すべきかというのが論点となる。
こうした時に何が会社にとって優先的に解決すべき論点かは、会社が置かれている状況や、その現象の起きた真因が何かあるいはその論点を放置した場合のインパクトの大きさなどで変わってくる。しかし、多くの場合すべての問題点を列挙して、すべて解決しようとする。これは時間と経営資源の無駄である。最も大事な論点に集中して取り組み、それに答えを出していく、すなわち解決策を立てていくことが重要となる。

興味があったら、是非本誌を読んでみてください。

また、このテーマで2月に六本木ヒルズのアカデミーヒルズで講演をやります。
http://www.academyhills.com/biz/think_biz05.html

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2007年1月20日 (土)

ベンチャー企業は既存企業からなぜ嫌がられるのか

異業種格闘技を仕掛ける二番手にあげたベンチャー企業であるが、既存企業からは嫌がられる。
なぜかと言えば、まず第一に彼らは「失うものは何もない」の精神で、何でもありでやってくる。例えば価格競争を仕掛けてくる。あるいは無料モデルを持ち込むことも多い。とにかく業界の秩序・ルールを無視してやって来る。それでうまくいかなくても自発的(すなわち儲からないと判断してやめること)か強制的(倒産)かは別として、市場から退場するだけである。ところが残された既存企業はたまらない、市場を掻き回された上に場合によっては価格競争に応じたために大きく収益性を損なうことも多い。
次にベンチャー企業はすべてが同じルールでやってくるわけではない。極端に言えば、参入企業すべてが別々のビジネスモデルでやってくることもあり得る。既存企業は、1社くらいなら簡単に対応策を練り上げることはできるかもしれないが、それが10社、20社となったらお手上げである。音楽業界に喩えれば、かつて話題になったナップスターのような全く無料の曲交換サイトで来る企業もあれば、iTMS(iTunes Music Store)に似た形で有料で音楽を提供するサイトもあるだろう。あるいは、期間限定でストリーミング(ハードディスクに保存は出来ないが、ラジオのように垂れ流し型で音楽が聴ける方式)可能なタイプもあるかもしれない、またはレンタル型でやってくる企業もあるだろう。これに全部対抗して対応策をとることは不可能に近い。
さらにややこしいのは、そのうちのどれが当たるか分からない点である。ビジネスモデルが優れているために成功するベンチャーもあるかもしれない。あるいは単に人より早く始めただけという理由で成功する企業もあるだろう。逆にすごく脅威に感じたのに、経営がへたくそだったり、リーダーが能力不足で失敗する企業も多いだろう。それがベンチャー企業である。彼ら一社一社はビジネスを成功させようと必死であるが、大半は失敗して市場から消えていく。成功確率は限りなくゼロに近い。仮にベンチャー企業100社参入して1社しか成功しないとするときわめて厳しい事業と言うことになる。ところが既存企業にとっては1社でも成功する企業が出ると大いに迷惑する。別の言い方をすれば、成功する企業がゼロでなければ、ベンチャー企業が1社成功するのも100社成功するのも自社の事業への脅威という点では同じことである。そこに守る側の難しさがある。

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2007年1月18日 (木)

他業界からの参入者の行動原理

昨日紹介した中から「他業界からの参入」を詳しく考えてみよう。
例えば流通業界からの銀行業参入は、一つには金融行政の規制緩和という流れがあると思われる。しかし、それ以上に他業界から見ると銀行業界は顧客サービス面で旧態依然であり、サービス面でいくらでも改善できると思ったからではないか。
例えば、小売業では一つの店に各メーカーの商品を一同に並べているために、顧客が違うメーカーのものを買うのに他の店に行く必要がない。いわゆるワンストップショッピングである。ところが銀行の場合はそれぞれの銀行が、自分たちの専用の支店ないしはATMコーナーを持っている。さらにどちらかと言えば企業側の理屈で営業店が開いている時間が決まっている。それに対してCVSに代表されるように、小売店側は顧客の買い物したい時間が自分たちの営業時間であると考えているようだ。
結果として、24時間365日使えて、どこの銀行のカードも使えるコンビニ銀行が支持されるのも無理はない気がする。
他業界からの参入について、既存の企業が嫌がることの一つに、自分たちが築いてきたルールを守ってくれないというのがある。例えば上記の営業時間もそうであるし、アップルの音楽配信における価格はアメリカの場合わずか1曲99セント、すなわち100円ほどである。日本の場合は価格が若干高くなっているが、それでも1曲150円から200円である。
アップルから見れば、これでも十分に利益の出る体質だし、安くすることで消費者がさらにたくさん買ってくれるからレコード会社も喜ぶべきではないかと言うことになる。ところがレコード会社から見れば、アルバムにして売れば日本ではCD1枚3000円は取れるし、シングルCDでも1000円取れる。それを1曲単位でバラ売りされ、それも100円や200円で売られてしまったら、たまったものではない。アップルはレコード販売店にマージンを払う必要がないし、CDを在庫する必要もない、営業マンに払う給料もいらない。だから100円で売れるのかもしれないが我々レコード会社はそうはいかない。失うものが多すぎる。どうしてくれるのだという悲鳴が聞こえてきそうである。
このように他業界からやってきた連中は既存業界から見ると秩序の破壊者以外の何者でもない。ところが消費者や顧客からは今までの不満を解消してくれるありがたい参入者であり、歓迎すべきルール破りであることが多い。

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異業種格闘技を仕掛けるのは誰か

少し視点を変えて、異業種格闘技を仕掛けられる側ではなく、仕掛ける側について考えてみたいと思います。
皆さんはどんな企業が異業種格闘技を仕掛けると思いますか。

私が考えたのは氏育ちの違いで考えた4通りですが、これ以外に分類方法を含めていろいろありそうなので、アイデアがあったら教えてください。

1)他業界の既存企業が参入
ゲーム業界に参入した電機メーカーのソニー、銀行に参入した流通業界のイトーヨーカ堂・イオン、消費者向けデジカメを最初に発売した電卓&時計メーカーのカシオ、化粧品メーカーの資生堂のトイレタリー分野(特にシャンプー)での戦い、音楽業界に参入したアップル、ドコモの金融事業への参入などがあげられます。
タイプとしてはこれが一番多い気がしますが、どうなんでしょうか?

2)ベンチャー企業
異業種格闘技参入者には、いわゆるベンチャー企業も多いと思います。少し古い話ではコンピュータ業界にパソコンをひっさげて登場したアップル、レコード業界を震撼させた貸しレコード業のTSUTAYA、自動車の中古車業界に革命を引き起こした中古車買い取りのガリバー、最近ではマイクロソフトにチャレンジしているグーグルなど、これも例が多そうです。最近のネット関連企業はみんなここに入りそうです。

3)黒船(海外からの企業)
日本のおもちゃ業界をぶっ壊したトイザらス、書籍業界に脅威を与えているアマゾン、日本の証券会社やメガバンクを恐れさせた米国インベストメントバンク、日本のホテル業界を変えた外資高級ホテル(フォーシーズンズ、パークハイアットなど)などがあります。

4)同業者の変身
例えば、路線便が当たり前の運輸業界で突然宅急便を始めたヤマト運輸、有料雑誌から無料雑誌に変身したリクルートなどですが、実は例が少ないのではないかと思っています。
是非これ以外のタイプを考えてみてください。

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2007年1月16日 (火)

異業種格闘技とは無縁の業界を教えてください

先日の講演会でも出た質問に絡むのですが、私の問題意識に「果たして異業種格闘技は例外なのであろうか、それとも今やほとんどの業界で何らかの異業種格闘技が起きてしまっている、あるいは起きようとしているのだろうか」というものがあります。
皆さんのなかで、私の業界はどう考えても異業種格闘技が起きていない、あるいは将来にわたっても起きそうもないという事例があったら教えてください。大変興味があります。
個人的な仮説は、たとえ鉄鋼業界のような古く見える業界でも異業種格闘技は起きているに違いない。したがって、ほとんどの業界で例外なく起きているというものです。しかし、自信はありません。皆さんの意見を求めています。こちらも異業種格闘技の事例募集と同じように常時アイデア募集中です。

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2007年1月15日 (月)

マイクロソフトはなぜグーグルを恐れるのか(下)

これまでのマイクロソフトの勝ちパターン、すなわち地上に存在するほとんどすべてのPCにウィンドウズを入れ、そこでマイクロソフトオフィスを使ってもらうというやり方が、通用しなくなる可能性を秘めているのがこのGoogle Docs&Spreadsheetsなのである。
余談ではあるが、昔ブラウザソフトにネットスケープという圧倒的シェアを誇ったソフトがあった。これを嫌ったマイクロソフトは、OSのウィンドウズに、無料でインターネット・エクスプローラーというブラウザーを搭載し、ネットスケープの駆逐に成功した。今頃になって無料にするのではなかったと後悔しているのではないだろうか?なぜなら、今後最もカギとなるソフトはブラウザーである可能性が高いからである。

最後にもう一つだけ話を付け加えると、このマイクロソフトとグーグルの戦いに極めて似た話が1990年代に起こっていた。それは、マイクロソフトとサン・マイクロシステムズの戦いだった。当時は、マイクロソフトはどんどんPCを高機能化し、そこに高機能のOSと重装備のアプリケーションソフトを乗っけて、高いお金を取ろうという考え方だった。それに猛然と異を唱えたのがサンマイクロで、彼らはPCを高機能化するのではなく、サーバーと呼ばれるPCを束ねるコンピュータを高機能化し、PCはクライアントと呼んで、必要なソフトだけサーバーからダウンロードして使えばよいという考え方であった。要するにセンターでほとんどすべての機能をカバーしPCの方は、出来るだけ軽く・安いもの(これをThin Clientと呼んだ)にすればよいというこである。これもソフトウエアメーカー対ハードウエアメーカーという異業種格闘技であった。結果はサンの負けに終わってしまったが、当時はソフトウエアメーカーとハードメーカーの戦いといっても、同じハードであるサーバーを強化するか、PCを強化するかという戦いであり、比較的分かりやすかったと思う。しかし、今回はPC側はリアルであるがGoogleがデータやソフトを置くウェブやインターネットというのは実態があってないようなものであるために、マイクロソフトとしてはとても戦いにくいのではないかと感じている。
いずれにしても、マイクロソフトがどんな逆襲に出るか楽しみである。この項はこれで終わりですが、是非皆さんの感想を聞かせてください。また、他にもマイクロソフトがグーグルを恐れる理由はいろいろあると思いますので、異業種格闘技という視点で意見を貰えるとうれしいです。

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2007年1月14日 (日)

マイクロソフトはなぜグーグルを恐れるのか(中)

ではなぜ、Docs&Spreadsheetsがマイクロソフトにとって脅威であるかというと、まずこのソフトの使用料は他のすべてのGoogleのソフトと同じく無料である。これによって、マイクロソフトの儲けの源泉であるオフィスの売上がなくなってしまう可能性がある。まさに異業種格闘技である。それでは、Googleは何で稼ぐのかと言えば、将来は分からないが今のところは広告モデル一本で行こうとしている。いずれにしても、Docs&Spreadsheetsは、それを使うのを目当てにたくさんの人がGoogleを訪れてくることを狙った、いわば撒き餌なのである。同じソフトを提供しながら、片方は有料で片方は無料というのは戦いにくいのは言うまでもない。
次にこれがたぶんマイクロソフトの最も恐れていることであるが、パソコンのソフトやデータを自分のパソコン上に置かずにインターネット上に置く動きが加速されてしまう可能性が高い。そうなると、パソコン用のアプリケーションソフトはすべて不要になり、ブラウザソフトさえあれば仕事が出来てしまうと言うことになる。さらに突っ込んで言えば、OSは何でも良くなってしまい、Windowsでなくとも、Linuxでも、MacOSでも、もっと簡単なものでもかまわないということになる。大事なのはインターネットにアクセスできるブラウザだけで良い。
これはマイクロソフトから見れば、アプリケーションソフトが売れなくなるだけでなく、OSのウィンドウズも必ずしも必要でなくなると言う由々しき事態なのである。ところが、さらにマイクロソフトにとって困ったことにユーザー企業に取ってはこうなった方が、セキュリティ上はきわめて安全度が高くなるのである。というのは、PC上にデータが残っているから、パソコン盗難時やファイル交換ソフトを通じてデータが漏洩してしまうのであって、パソコン上に一切のデータを置かなければデータ漏洩の可能性は限りなく少ないと言うことになる。もちろん話はそんなに単純ではないが、敢えて単純化すればこういうことになる。(明日に続く)

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マイクロソフトはなぜグーグルを恐れるのか(上)

今よく使っていて便利だなと思うソフトにGoogleが提供している、Docs&Spreadsheetsというネット上のソフトがある。簡単に言えば、エクセルとワードに似たソフトがウェブ上で使えるというそれだけのソフトである。
しかし、これが便利である。なぜ便利かを説明する前に、今の仕事のやり方を考えてみよう。まず家でやりかけの仕事を、学校や会社に持って行くときに普通はやりかけの仕事のデータをUSBメモリーなどに移して持って行って、異動先でそれをPCに接続して、ワードなりエクセルを立ち上げてそのデータを読み込み、仕事が終わったらまたセーブ(保存)して、同じことを繰り返す。結構面倒くさいし、途中でUSBメモリーを紛失したりするリスクもあれば、そもそも持って出るのを忘れることもある。
ところがこのDocs&Spreadsheetsを使用すれば、データもソフト上も共にネット上に存在するので、自分がどこにいても、どのパソコンを使ったとしても、いつでもさっきまでやりかけだった仕事を続けることが出来る。
私の場合はこのソフトを使って、書きかけの原稿をいつでも出先から続けることが出来るし、スプレッドシートの方もエクセルほど関数などは豊富でないが、簡単なデータベースなら十分通用するレベルである。こちらは、仕事の防備録として活用している。やらなくてはいけない仕事のリストや最低限必要なデータを載せておけば、出先でちょっとした時間を見つけて、やらなくてはいけない仕事を片付けることが出来る。
さらに実用的かどうかはまだ判断つかないが、同じワープロの原稿を同時に複数の人間が操作できるという機能がある。つまり離れた場所にいる人間同士が、ウェブ上の同じ画面を見ながら共同作業が出来るのである。今までであれば、片方の人間があるところまで自分のPC上で作業を行い、それを終えた段階でデータをセーブし、メールで送って、相手が同じ操作を行い、また送り返すというプロセスが必要であった。これが不要になったのである。(明日に続く)

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2007年1月12日 (金)

閑話休題

今日、日経新聞社主催の講演会「経営未来塾」が東京丸の内あり、そこで異業種格闘技の講演をやってきました。どれくらい受けたが分かりませんが、みんな真剣に聞いてくれました。もし、本日参加していただいた方で、このブログを見ている人がいたら、是非感想などをコメント欄に寄せてください。

最後に質問コーナーがあったのですが、その中でおもしろい質問がありました。
異業種格闘技の話は分かったけれど、同業の中で格闘技をやっている同業種格闘技についてアドバイスをして欲しいというものです。
私の答えは
1)どんなに伝統的で、異端児もいなければ新規参入がないと思われている業界でもよく見てみると必ず異業種格闘技が起きている。たとえば、十年一日で変わりのないように思える鉄鋼業界でも、古くは高炉至上主義の中で電気炉やミニミルという新しいやり方で参入した東京製鐵やヌーコアのような異端児がいたし、最近ではミタルのように何を目指しているか分からないがとにかくM&Aで、業界をかき回している人もいる。
2)それでも何もないとしたら、それは大変幸せな業界と感謝すべき
3)でもいつまでも続くと限りません。顧客のニーズの中で満たせていないものや、顧客に妥協を強いているような業界慣習があったら、それを壊すことにこそチャンスがあります。他社が入ってこないうちに、自らそれをやっていくくらいの勇気が欲しいです。
というものでした。
皆さんの世界ではどうですか?

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2007年1月11日 (木)

今なぜ異業種格闘技なのか

今なぜ異業種格闘技がこんなに増えているのかをごく簡単に考えてみました。
これも是非ご意見をください。

企業を取り巻く環境が大きく変化
1)日本経済の成熟化
    今までと同じことをやっていたのでは成長できない。あるいはじり貧になってしまう。結果として他業界に出て行く、新規事業を始めるなどが必要とされている。
2)情報革命の進展
    インターネットや携帯電話の発達が今までにないサービスを可能にしたり、今まで経済性に会わなかったものが採算に乗るようになってきた。一方で、消費者の購買行動や、日常生活のあり方も大きく変わり、それにふさわしい製品やサービスが求められているが既存の企業からはなかなか出てこない。
3)競争のグローバル化
    国内に吹き荒れるM&Aの嵐や、国内企業の海外進出、BRICSの台頭など、ありとあらゆる分野でグローバル化が進んでいる。一般的に海外企業は日本企業とは異なる価値基準、収益基準、組織体制、カルチャーなどで経営されており、日本企業から見れば異邦人であり、未知との遭遇である。

結果として、今までの事業の定義では生き残れない事業・企業が増大している。一方で、新たなビジネスチャンスもたくさん誕生している。

要するに、これまでの「勝手知ったる世界で、気心の知れたもの同士が戦う同一業界の同質競争「から、「何を考えているのか分からないあるいは自分たちとは異なるビジネスモデルを持つ企業との、競争のルールが異なる異質の戦い」へ突入せざるを得なくなっている。

もちろん、守る側に厳しい戦いではあるが、攻める側も必ずしも成功が約束されているわけではないので、新興企業で退場を余儀なくされる企業も多いし、業界が荒らされるだけで終わるケースも多い。

早稲田大学の学内誌に載った関連記事です。
http://www.waseda.jp/student/shinsho/html/73/7316.html

是非皆さんの意見をください。

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2007年1月10日 (水)

皆さんの考える異業種格闘技

今日は趣向を変えてみました。皆さんが考えた異業種格闘技の例を教えてください。

もちろん簡単なもので結構です。たとえば
 - 最近の若い男性は、理髪店に行かずに美容院で髪を切る人が増えています。ということで、昔は競争していなかった美容院と理髪店が競争している。
 - レストランで結婚式の披露宴を開く人が増えている。従来の結婚産業への異業種参入であり、ビジネスモデルが違いそう。

この程度で結構ですので、例を教えてください。
もちろん、儲けの仕組みやビジネスモデルの違いまで考察していただければ大歓迎です。
事例がたまった段階で、私が溜め込んだ事例と合わせて整理してみたいと思います。
この事例募集は継続的に実施していますので、よろしくお願いします。

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2007年1月 9日 (火)

テレビ局の競争相手は誰か?

前回の続きであるが、異業種格闘技事例の3番目に挙げているいるテレビ局の競争相手について考えてみる。ただし、これについてはまだ十分考察できていないので、皆さんの意見を求めています。
いわゆるテレビ(正しく言えば地上波テレビ放送)に対して、新たな競争相手と言うことでPCを使った動画配信や携帯電話のテレビ放送(通称ワンセグ)がよく言われるが、これもよく考える必要がある。というのも地上波テレビ放送は、無料放送で動画を見てもらうという意味では、確かに無料動画配信サイトのGyaOやYahoo!動画と競争していると言える。しかし、一方で有料でスポーツ番組や映画放送を提供しているケーブルテレビ局や衛星放送のスカパー!などとは、かなり昔からコンテンツの面で間違いなく競争している。稼ぐための仕組みがテレビは広告、片方は視聴料とビジネスモデルが違うだけである。
ところが同じパソコンベースの動画でも、最近話題のYouTubeやMySpaceとなると、話は違ってくる。そもそもそこで扱われているのは、原則として商業コンテンツではなく、素人が自由に載せた画像である。となるとテレビとはコンテンツ的には競争していない。また受像機を比べてみても片やテレビで片やパソコンと言うことで、コンテンツ・チャネルの両方とも競い合っていないことになる。ということで大騒ぎされるほどの競争相手ではないといえる。敢えて言えば、同じ人間が同時に二つの動画を楽しむことは出来ないから、消費者の視聴時間を取り合っていると言えるかも知れない。
さらに携帯でテレビを見ることが出来るワンセグとなると、また話は違ってくる。というのも自宅の居間で携帯でテレビを見ようとする人はほとんどいないと思われるので、そうなると外出先や移動中での視聴が中心となろう。具体的には、外出先でニュースを見たり、帰宅途中にスポーツ中継を見たり、好きなテレビドラマを見るといった使われ方が多いのではないか。そうなると、テレビとは競争ではなく補完関係になる気がする。
これについては、若い人が家の中でもPCではなく、携帯でメールのやりとりをしていることを考えると、家の中でも携帯でテレビを見たり、双方向で使えることを利用した全く新しい利用形態が現れれば、地上波テレビの顧客を奪っていくことも考えられなくはない。しかし、今のところ、想像の域を出ない。
前回・今回を通じて言っておきたいことは、異業種格闘技を考える上で大事なことは、何でもかんでも恐ろしい競争相手が来たと、あたかも黒船が来た如く恐れるのではなく、本当に競争しているのかをしっかり見極める必要があるということになる。

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2007年1月 8日 (月)

プロ野球とJリーグは本当に競争しているのか

ただし、異業種格闘技を考える上で、一つ気をつけておかなくてはならないことがある。それは、本当に同じ顧客・市場を取り合っているかどうかである。たとえば昨日の一覧表の最後にあげたプロ野球とJリーグは実は同じ顧客を取り合っていないと考えることも出来る。もう少し具体的に言えば、同じ時間にTVでプロ野球中継を見るかJリーグ中継を見るかを迷うこと顧客はあまりいない。あるいは、同じ日にプロ野球を見に行くか、サッカー場に足を運ぶかの選択をする人もほとんどいない。
そもそもJリーグはプロ野球に比べて試合数が圧倒的に少ないし、TV中継もさらに少ない。また野球を見るのが比較的中高年が多いのに対して、サッカーは若者が多い。あるいは、競技場に足を運ぶ人数も両者の間に顧客の取り合いは見られない。実はJリーグ発足以来、プロ野球の観客数は減るどころか増えているのである。
ところが、マスコミでプロ野球がサッカー人気に押され気味で、衰退していると言われるのはなぜであろうか。それはプロ野球の観客離れのせいでもなければ、サッカー中継との視聴者取り合いのせいでもなく、単に野球をTVで見る人が減ったために起きているTV局のプロ野球離れということである。球団所有企業の最大の目的が広告効果である以上、こうしたテレビのプロ野球離れは致命的な出来事である。
こうした観点から見ると、プロ野球が本当に競争しているのは他のテレビ番組やアメリカのメジャーリーグと考えた方が、戦略的な間違いは少ない。間違っても「打倒Jリーグ」などとは思わないことである。

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2007年1月 7日 (日)

異業種格闘技の事例(1)

昨日の定義にしたがって、世の中から異業種格闘技の事例を取り上げると、実は先日取り上げたメガバンクとセブン銀行、昨日のCDと音楽配信以外にも山ほどある。追々紹介していくとして、まずは一覧表(といってもその1ですが)を掲げておく。

異業種格闘技の事例(1)
・ 銀行        対 CVS 対 PC 対 携帯
・ CD          対 音楽配信
・ 地上波テレビ  対 PC動画配信 対 携帯電話
・ 携帯電話     対 カメラ・携帯音楽プレーヤー・財布・時計
・ ヤフー       対 楽天 対 グーグル
・ JTB         対 HIS 対 楽天トラベル
・ プロ野球     対 Jリーグ

たとえば、メガバンク(銀行)はCVS以外にもインターネットバンクとも競合している。インターネットバンクの怖いところは、支店を一店も持たないことである。もちろん都心のようにメガバンクの支店がたくさんあるところでは、そちらの方が有利に働くかも知れないが、たとえば地方都市や町村になるとメガバンクの支店のないところの方が圧倒的に多い。そうしたところではインターネット環境あるいは携帯電話があれば、かんたんに利用できるインターネット銀行の方が圧倒的に有利である。さらに、店舗の開いていない時間帯でもどちらかというとインターネット銀行の方が使い勝手がよい。というのも、一般的にメガバンクより手数料が安く、おまけに操作性に優れているからである。
さらに携帯電話もモバイルバンキングに熱心である。当面は、銀行のシステムに対するアクセスとしての役割がメインなために、銀行から見ればチャネルが増えて消費者に対する利便性も高まり、共存共栄できると考えているかも知れない。しかし、本質的には携帯電話会社は銀行のもっている決済機能を代替できるだけの実力があり、今のところは法的な規制で不可能であるが、将来はこの分野での強力な競争相手となろう。まずはショッピングやオークションの小口決済から担っていくことになると思っている。

明日からもいくつか事例を紹介していきたいが、皆様からも「こんな異業種格闘技の事例がある」というのがあったら、是非コメントしていただきたいと思っています。よろしく。

「jirei1.ppt」をダウンロード

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2007年1月 6日 (土)

異業種格闘技の定義

内田が定義する異業種格闘技の定義は以下のようになる

異業種格闘技とは

l         異なる事業構造を持つ企業が

l         異なるルールで

l         同じ顧客ないし市場を

奪い合う競争である

CDと音楽配信を例に取ってみてみよう。

従来の音楽産業は、CD(元々はレコード)を製作・販売するレコード会社が一方の雄であり、他方そのCDを再生して聞くためのオーディオ機器を製造・販売する企業(AV機器業界)は全く別物として存在した。前者の代表例がソニーレコードやavexであり、後者の代表例がステレオやウォークマン、ディスクマンを作って売っているソニー、松下、ケンウッドなどである。一方はヒット曲とミュージシャンという人に依存したサービス業的色彩が強い企業ではあり、片方は全く人に依存しない物理的製品を作っている典型的なメーカーであり、ルールも成功のカギも大きく異なる業界であった。両者はCDがたくさん売れればハードも売れるという正の相関はあったかも知れないが、どちらかという無風状態で、競合することは皆無であった。

ところがこれまでCDという物理的な製品を介さざるを得なかった音楽を通信回線を使って送ることが出来るようになり、ビジネスはすっかり変わってしまった。まずレコード会社は自社のもっている販売チャネルや、レコード店などが場合によってはいらなくなってしまうおそれが生じ、さらには音楽配信が進めばCDそのものの売上が減るのではないかというおそれさえ抱くようになった。一方でAV機器業界はやや複雑なレスポンスをした。CDが売れなくなると、それをベースにしたオーディオ機器が売れなくなるのではないかと懸念して、音楽配信を積極的に推進しなかったメーカーもあれば、アップルのように千載一遇のチャンスとばかりに、iPodという携帯音楽プレーヤーばかりではなく、iTunes Music Storeという音楽配信の専門会社まで作ってしまったところもある。これによって、価格決定権はレコード会社からアップルに移ってしまったと言えるくらいの大変化が起きた。さらには、今まで店頭では滅多に売れない音楽までネットであれば売れるというロングテール現象まで生じるに至って、販売のイニシアチブはレコード会社よりネット販売会社に移ってしまったと言えるかも知れない。ここでは、メーカー(アップル)とレコード会社が同じエンドユーザーを取り合っているのである。要するに、レコード会社もハードメーカーも消費者に曲を売っていくら儲かるかという同じビジネスの土俵に上がることになってしまったのである。

さらに、この市場に携帯電話会社が入り込んでくるために、異業種格闘技の度合いはさらに高まると思われれるが、それは別の機会に語ることにする。

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2007年1月 5日 (金)

単行本「仮説思考」その後

今日、ちょっといい話がありました。昨年3月末に発売した拙著「仮説思考」が今日発売の日経ビジネスの2006年度ベストセラー40位にランクインしていたのです。渋谷のブックファーストでも、年末に発表になった2006年度ビジネス書ベストテンでも6位に入っていました。
もちろん、この本を購入していただいた読者の皆様お陰ですが、個人的にもうれしい出来事でした。
引き続きよく売れているようで、出版社からも7刷りが決定したといううれしい知らせが新年早々ありました。
内容については、機会がありましたら、皆様にも紹介したいと思っていますが、とりあえずご報告まで。

Photo

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セブン銀行は銀行か?

今日は異業種格闘技の具体例を紹介しましょう。昨日も取り上げたメガバンクとセブン銀行の話ですが、銀行にとってATMというのは本来の預金サービスを円滑に行うためのツールであり、銀行にとっては収益を生み出すものではなく、コストにしか過ぎません。元々、人手で行っていた窓口サービスが、人件費や店舗コストがかかりすぎるという理由で機械化されたことからも明らかです。

ところが、セブン銀行にとっては、このATMが収益源です。というのも彼らにとってはいくら自行の預金者を増やしても一人が預けてくれる金額は知れています。セブン銀行に数百万の預金を預けている人はまれでしょう。したがって、通常の銀行にとっての預金者から調達した資金を企業に貸し付けて、その利ざやで稼ぐというモデルは成り立ちません。もちろんやったところで、貸し倒れも発生するでしょうから、ますます儲からないと思います。

それより、セブン銀行に口座を持たない他の銀行の預金者が頻繁にセブンイレブンのATMから現金を引き出してくれた方が、よほど儲けになります、一回当たりに他行から貰える手数料が数十円だとしても、1万店を超える店舗で一店あたり一日数十人の人が使えば大変な手数料収入になります。既存の銀行があんなののはATMの場所代を稼いでいる事業で銀行じゃないといくら叫んでも、それがセブン銀行の儲けの仕組みなのです。

若い人に聞いても、セブン銀行やCVSのATMは、普通の銀行より遙かに便利な銀行であると認識されています。いくら既存の銀行がセブン銀行は銀行ではないと叫んでも、消費者には既にサービスの優れた銀行として認識されているのです。

そうなると既存の銀行は、これまでの同じような商品を横並びで、自社の店舗で販売するというモデルから脱却しない限り、個人向けの銀行業のおいしいところは、CVSや今後ますます便利になるであろう携帯電話会社に持って行かれてしまうと言うことになりそうです。

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2007年1月 4日 (木)

異業種格闘技について

2007年の研究テーマである「異業種格闘技」について、皆さんと意見交換が出来ればと思ってブログを開設しました。

ここで言う異業種格闘技とは、ビジネスの世界でその業界で常識とされていたルールを無視して、新たな戦いを仕掛ける企業が現れている状況を指します。
たとえば、有料が常識だった雑誌業界にフリーペーパーを持ち込んで成功したリクルート社の「R25」と既存雑誌の戦い、電子マネー業界におけるJR東のSuicaと携帯各社のお財布携帯のデファクト戦争などが代表例です。
それ以外にも、たとえば、「預金者から預金を集めて、企業へ貸し付けて運用収益を得る」という従来の銀行のビジネスモデルを根本から覆した「預金も集めなければ運用もやらない」セブン銀行とメガバンクの戦いなどがあげられます。

次回以降、もう少し詳しくお話しをしていきたいと思っています。是非、忌憚のないご意見をください。

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