2012年6月19日 (火)

走り、盛り、名残

先日、寿司屋さんで旬には「走り、盛り、名残(なごり)」の3つがあると教わった。
もちろん、走りとは出始めという意味で、今なら鮎が走りであろう。少し前の5月なら、初鰹がそれに当たる。
盛りは文字通り、今が旬の盛りの意味で、一番おいしい時期に他ならない。今ならサクランボが旬かも知れない。
一方で、名残とはぼちぼち食べられるのが最後になるかという時期で、どちらかというとおいしさよりは名残惜しさの方が勝るかも知れない。今なら桜えびが名残かも知れない。

考えてみれば、人にも企業にもこのたとえは当てはまりそうだ。
企業であれば、創業間もない内は走りと言っていいので、若さに任せて突っ走っても、何とかなるし、世間も許してくれるかも知れない。グローバルで言えばフェースブックや電気自動車のテスラなどが相当し、日本で言えばDeNAやグリーなどがそれに当たる。
一方で盛りの企業としては、ファーストリテイリング(ユニクロ)、グーグルなどが該当しよう。これまでは何も考えずに突っ走ってきたが、一度これまでを振り返りつつ、今後のあり方を考えるタイミングとも言えいる。
名残の企業とは、一度は栄華を極めたが、今は盛りを過ぎて下り坂に入っている企業、日本であればソニー、海外であればマイクロソフトなどが上げられる。
もう一回りして、もう一度旬を迎えるには相当な努力が必要であろう。

人間であれば、30歳くらいまでが走りで、30歳から50歳代が盛り、60歳以降が名残になるのかも知れない。
私自身は有名なサミュエル・ウルマンの青春の詩にある「青春とは
人生のある期間を指すのではなく、 心の持ち様をいう。」を信じている口で、自分がまだ名残とは思っていないが、そうは言っても盛りでないことは間違いない。
名残には名残にふさわしい生き様があると思うので、それにふさわしい生き方をしたいものだと考えている。

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2012年6月18日 (月)

論文作成から学ぶ仕事の進め方

今月の私の履歴書は物理学者の米沢富美子さんだが、当時にこんなアグレッシブな女性がいたんだと読んでいて楽しくなる内容です。

さて、昨日のお題は、「理論を言葉に、フル回転」でしたが、そこに書かれていた論文の書き方が、実は仕事の進め方においても大変参考になると思い紹介します。
とりあえず、該当箇所を引用します。
『大学院時代の指導教授、松原武生先生の口癖を思い出した。全ての勢力と時間を3等分して「テーマ探し」「実際の研究」「論文書き」に配分せよとの教えである。2番目の「実際の研究」が全てだと思い込む傾向があるが、本当は、最も適切なテーマを掘り出す1番目と、成果を確実に発表する3番目も同じくらい重要だとたたき込まれた。』

これは自分長くやってきたコンサルティングでも同様である。最初に問題設定を間違えるといくら良い仕事をしても意味がない。あるいは一所懸命課題を分析して、良い提言を思いついたとしても、それを顧客に納得してもらうためのプロセスがおろそかだと、これももったいないことになる。
ところが、自分も含めてコンサルタント駆け出し時代は良い分析さえすれば仕事をやった気になりがちであり、なぜ分かってくれないのかとそれを人のせいにしてしまう。

この配分方法は、実はレポート作成にも当てはまる。
レポートの価値は実はテーマ設定で大半が決まってしまう。したがって、ここでつまらないテーマやありふれたテーマを選ぶと、いくら良い分析や考察をしても評価は知れていると言うことになりがちである。
さらにせっかくいろいろな材料を集めても、最後時間切れで十分な考察を加えたレポートが書けなくなってしまうケースも数多く見かける。
とりわけ大学生の場合は、
テーマ設定  1
データ収集  8
レポート作成 1
位になってしますケースが多い。
これを
テーマ設定  2
データ収集  5
レポート作成 3
位のバランスでやれると良いのではないかと思う。

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2012年5月13日 (日)

生物模倣

最近、テレビや新聞でよく聞く言葉に「生物模倣」がある。

先日のテレビ東京ワールドビジネスサテライトでも特集されていましたが、シャープの研究所では専門の研究員が動物や昆虫の生態を調べて、それを家電製品に応用する研究が進められ、既に洗濯機やエアコンなどが実用化されているとこのことです。

たとえばイルカの高速遊泳の原理を応用した回転機に十字のおおきな突起と四つ葉のクローバー状の突起を持った「ドルフィンパル」を新開発して、従来の回転水流に加え、タテ方向に強力な水流を生み出し、洗浄力と節水性をさらに高めそうです。詳細については、次のブログが参考になります。
http://pika2.livedoor.biz/archives/3906383.html

他にも”アサギマダラ”という蝶の羽を応用している扇風機も発売されているそうで、これは通常の扇風機であれば、外周に行けば行くほど羽が大きくなりスピードも出ているので風力が強くなるが、逆に中心に近づけば羽が小さいため風力が弱くなる。
それを蝶の羽を解析することで、羽の形を工夫し中心部と外周部で風力にあまり違いがないように出来たそうである。均一な風が送られるだけでなく、効率が上がって節電になるという。
これ以外にもシャープの生物模倣の成果はいろいろあるようで、下記の広報資料が参考になります。
http://www.sharp.co.jp/corporate/eco/csr_report/ebook/ebookj2011/book_swf.html?startpage=76


あるいはグローバルニッチの合い言葉で知られる日東電工では天井でも壁でも、どこでも吸い付けるヤモリの足を詳細に解析し、それを応用して少ない面積で強力な接着力を持つテープを開発しています。
http://www.nitto.co.jp/tapemuseum/trivia/vol02.html
最先端のカーボンナノチューブ技術とヤモリの足の構造がコラボして出来たなんて、何か夢があって良いですね。


この生物模倣、英語ではバイオミミクリー (Biomimicry)と呼ばれるそうだが、古くからある概念だそうだ。たとえば、ヘリコプターの原理を提唱したのはレオナルド・ダヴィンチといわれているが、彼はトンボの生態からこの発想を得たと言われている。
しかし、ここに来て生物模倣がより注目を集めているのは、生物の構造を詳細に解析する技術とそれを人工物で再現する技術の両方が共に発展したせいではないか。

そうなると、次に来るのは自然界の法則を経営学に応用する手法であるが、こちらはまだあまり聞いたことがない。一時ブームになった複雑系などは、こうした発想に近いかも知れないが、原理を解明して経営法則や方法論にまで高めたとは言い難い。誰が先鞭をつけるか、楽しみだ。

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2012年1月 8日 (日)

未来へのパス

今日のラジオ番組でサッカー解説者の中西哲生の話をやっていた。彼は元々Jリーグの名古屋グランパスの選手だったわけだが、そこでの監督がかの有名なベンゲルだった。日本代表監督にも名前が挙がったが、現在はイギリスプレミアリーグのアーセナルで監督をやっている。

そのベンゲルが唯一選手に言っていた言葉がパスは前に出せだったそうだ。彼曰く、前にパスを出さない限りゴールには結びつかない、したがってパスは未来へ通すために出すことを心がけろといった主旨だった。これは内田流に解釈すれば、今選手がいるところにパスを出してもダメで、その選手が次にどこへいるかを予測してそこへパスを通すと言うことだと思う。しかもそれがゴールに向かっていなければならない。

当時グランパスには、天才プレーヤーでピクシー(妖精)と呼ばれたストイコビッチが現役選手として活躍していた。もちろん現在の名古屋グランパス監督のことである。中西選手に言わせると、彼が得点できたのは彼の足元にピクシーが絶妙なパスを送ったからだという。要するに、中西が欲しがるところに正確にパスを出せるのがピクシーだったわけである。

今回私が言いたいのは、ピクシーがすごい選手とかベンゲルがすごい監督だと言うことではない(もちろん彼らはすごいし、個人的にどちらも好きな監督と選手だが)。

仕事でも、今日の仕事・目の前の仕事に追われていてそれをこなすのに精一杯あるいはおざなりにその仕事をこなすようなことをやっていてはダメで、どうせつまらない仕事でもそれを将来へつなげるような仕事にしていかないとダメだと言うことです。

自分にも経験があるのでよく分かるのですが、会社でつまらない仕事やポストにアサインされたときに、「俺はこんな仕事をやるためにこの会社に入ったんじゃない」と思うとついつい仕事がおざなりになってしまいます。

でもその仕事のやり方を工夫することで効率が上がったり、一所懸命やることで周りの目に留まったりして、より大事なポストに就けてもらえると言うこともあります。
大事なことは今の仕事をただこなすのではなく、それは自分の将来やりたいことをやるためのステップ、すなわち『未来へのパス』なんだという自覚を持ってやることです。

ちなみに、ストイコビッチ監督はあるときもう既に選手を辞めていた中西哲生にコーチの資格を取れとアドバイスしてくれたそうで、それが中西のキャリアにおける『未来へのパス』だったと言っていました。

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2011年6月 6日 (月)

言う・言わないの勘所

2週間ほど前の日経新聞スポーツ欄のコラム「スポートピア」に体操女子の日本監督である塚原千恵子さんが「言う・言わないの勘所」と称して、若い選手の育て方についてエッセイを書いていた。

17・8歳の選手の導き方が難しいという話だ。体操のように若いときから選手権に出るような選手はそのモチベーションを長年にわたって保つのが難しいようで、高校までは体操クラブで頑張っていても、高校卒業時にはそのままクラブで体操を続けるかあるいは大学に進学して大学の体操部で頑張るか悩むそうである。

そりゃそうだろうなと思う、誰でも一生体操で食っていけるとは思っていないだろうから、大学くらい行ってみたいとか、あるいは青春を少しは楽しみたいと思っても批難は出来ない。
塚原さんもそう思うから、
「大学に行っても仕方がない、クラブに残った方が良い」と口から出したいのを我慢して、選手や親の判断を尊重して自主性に任せる。すると、多くの選手が大学進学を選択し、結局体操選手としてはだめになってしまう例をたくさん見てきたとのことである。
このあたりが指導者としてつらいところであるが、結局、選手が自分でこうしたい、あうしたいと言うようにならないとだめだというのが彼女の指導理念らしい。

全く同感である。若い人(といっても私の場合は20代・30代のビジネスパーソンであるが)を指導する場合、あうせいこうせいというと必ず後でうまくいかない。本人が納得しないのを無理矢理やらせても、うまくいった場合はまだしも、うまくいかなかった場合に簡単に人のせいにする。うまくいった場合でも学んでくれればいいが、結局は自分の力と過信して、次は失敗してしまう。

およそ人間は自分で納得しない限り、成長しないし、長続きしない。したがって、口を挟むのは本当に最後の最後まで我慢すべきである。あるいは本人が自分で考え始めたところで相談相手になるのが言い。ところが、これがなかなか出来ずに声を出してしまう人は多い。自分もそうだ。
一方で、いつまでも何も指導せずにいれば、これはこれで放任主義となってしまい、うまくいかない。所詮指導者は自分の器の中でしか人は育たないとあきらめて、辛抱強く指導するしかないというのが経験から学んだ私の結論だ。

実は似たような話を以前、キャプテンの唇と称してブログに書いたことがある。興味ある方はこちらをご覧下さい。
http://uchidak.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_79b9.html




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2011年4月 4日 (月)

人間は自分で経験しないと学べないのか

昨日、あるテレビ番組を録画しようとしたら、プレーヤーのハードディスクが満杯で録画できなかった。仕方ないので、過去に録画してある番組を消すことにした。

その時に、ふと気になる番組が録画されているのに気がついた。昨年初めに放送されたNHKスペシャルの巨大地震というシリーズだ。その4回目が2010年3月14日(日)に放映されているのだが、その内容がすごい。思わず深夜に見入ってしまった。

簡単に言うと、今回東北地方で起きた大津波が街を飲み込んでいく様が、ほとんどそのままシミュレーションされている。唯一の違いは、地域が東北ではなく四国である点だ。
今回ニュースなどで見た、街中を大きな船が流されている様子、車やガラクタがとんでもないスピードで流されている様子が、そのままCG動画で映し出されていた。
巨大地震に伴う大津波の怖さが、既に映像化までされて警告されていることに本当に驚いてしまった。世の中では想定外の大地震で大津波と言うことだったが、実は予測されていた。違うのは東北ではなく、東南海で起こると思われていたことと、それがいつ起こるかは分かっていなかったことだ。

残念ながら、ここで紹介したNHKスペシャルの映像を見ることは出来ないようですが、もし機会があれば是非見てもらいたいドキュメンタリーです。
タイトルだけなら以下のURLで見られます。

http://www.nhk.or.jp/megaquake/
個人的には再放送したらよいと思う番組だが、実際には被災地の方の心情を考える難しいのだろうな。

実はこの番組の中で主役級の扱いになっているのが地震の大家である東北大学の今村先生ですが、彼がこんなことを言っているのが印象的です。
「津波のような低頻度巨大災害というのは、啓蒙するのが難しい。放っておくと直ぐ忘れられてしまうので、忘れることをいかに食い止めるかが課題になる」。
彼にしても、せっかくここまでの警鐘番組を作れたのに、地元東北で災害を防ぎきれなかったのを残念に思っているに違いない。

この忘れてしまうことの弊害については、失敗学で有名な畑村洋太郎先生も、三陸海岸の津波による被害が30年経つと忘れられてしまって、海辺に家を作るという同じ過ちが繰り返されると語っている。実際明治29年の大津波で20,000名以上なくなったのに、その37年後の昭和8年にまた同じ地で3、000名以上が亡くなっているそうだ。既にTwitter上で話題になったので、知っている方も多いと思うが、参考までにYouTubeのアドレスを記しておく。
http://www.youtube.com/watch?v=qkLqVr_Qk_w

さて、長くなりましたが、ここから本論です。私の持論は、「人間は成功からは学べない。学べるのは失敗からだ。」です。
なぜそうかと言えば、人があることをやってうまくいった場合はそれが正しいやり方だったにしろ、あるいは偶然だったにしろ、それを深く考えることはなく、次にまた同じやり方を繰り返すだけだ。そこには学習はない。

ところが、何かやって失敗した場合、いったい何が悪かったのかを考える。あるいは、次はどうすれば、その失敗を防ぐことが出来るかと考えるわけである。そこには学習がある。

そこで、私はビジネススクールでも学生に、恥をかけ、失敗せよと勧めている。また、実際の企業の失敗事例なども取り上げながら、何が悪かったのかを一緒にディスカッションしているわけだ。

ところが、今回、東日本地震の一年前に、これだけ正確に津波の恐ろしさを伝える番組がNHKで放映されたのにもかかわらず、残念ながら多くの人が津波を甘く見て避難が遅れ、命を失っている。いったい、これは何なのであろうか?

ビジネススクールで他社の失敗事例を学んでも意味がないのであろうか?
そんなはずはないと思いながら、人に「学習して、それを実際に行動に移すこと」を教えることの難しさを思い知らされた。

追伸:ブログ記事の最後にtwitterのアイコン{鳥の絵+Tweetの文字}があると思いますので、内田のブログを読んで、この記事を他の人にも紹介したいと思ったら今後は是非クリックして下さい。よろしくお願いします。

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2010年11月 2日 (火)

人のいやがる道にチャンスあり

10日ほど前の日経新聞神奈川経済面に「エコタクドットコム」というユニークな企業が紹介されていた。元々はパソコン周辺機器の販売が本業らしいが、昨年12月よりiPhoneの修理サービスを始めたら大当たりしているそうだ。
多いのは画面(ガラス)の破損だそうだが、アップルやソフトバンクでは新品への交換になってしまい、時間と金がかかる上にデータも移し替えが必要となる。
それに対してこの会社に持ってくればガラスの破損なら15分程度かつ1万円程度で直してもらえると言うこと大変な人気らしい。昨年12月開始以来10ヶ月しか経っていないのに既に2500件の修理を行ったという。月250件だ。
いかにiPhoneを壊す人が多く、かつ交換ではない修理を望む人が多いかという証だ。
アップルやソフトバンクにすれば、いちいち預かって修理をしていると面倒くさい、あるいは修理できる専門家がいない。それなら、丸ごと取り替えてしまえと言うことになるのであろう。
携帯電話をひとときも離せない、画面が壊れた、水没したといった人にとっては、その場で直してくれるエコタクドットコムのサービスは他に代え難いサービスなのであろう。実際、毎日のように店頭に人がやってきて、多い日には20人を数えるという。

こうした人のいやがることを引き受ける企業というのは大変重宝で、他に排水溝の詰まりや洗面所の排水溝に指輪を落としたなどを解決してくれる企業、カギをなくして入れなくなったときにカギを開けてくれる企業などが同じ範疇に入ると思います。

店は横浜市の中心部関内駅そばにあるとのことであるが、通信販売でも修理を受け付けているようだ。
参考までに同社のホームページは下記の通り(別のブランドで展開しているようです)
http://www.iphone-factory.jp/

おまけ:
ホームページをよく見たら、既存のSIMカードをiPhoneやiPad用のMicroSIMカードにカットできる、SIMカードカッターを売っていた。個人的にはこう言うのに興味をそそられます。使う予定はないのだが、買いたい。
http://shop.iphone-factory.jp/?pid=22209289
本題には何も関係ありません

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2010年9月14日 (火)

柔道世界選手権金メダル量産の訳

昨日終了した、柔道の世界選手権では日本時選手が過去最高の10個の金メダルを獲得した。
これをもって、日本の柔道が強くなったと勘違いしてはいけない。新しいルールのおかげである。今回より各階級に二人の選手を出せるようになった、その結果世界ランキング上位選手を多く抱える日本は全階級で二人の選手をエントリーできた。

マスコミでは、これによって若手選手が抜擢できたり、代表に選ばれた選手のプレッシャーが減ったから、のびのびと出来て好成績に繋がったと書かれているが、私の見方はそうではない。これは単に確率の問題である。

具体的に検証してみよう。例えば、日本選手の平均勝率を9割とする。10試合やれば9試合勝つ=結構な強さだ。ここでは1回戦から決勝戦まで6試合あるとする、一度も負けずに6試合勝ち進んで、優勝する確率は0.9の6乗=0.53しかない。したがって、日本がいくら強い選手をエントリーしても優勝できる確率は5割しかないのである。

ところが、各階級二人ずつ出せるとしよう。そうなると、二人のうちどちらかが6戦全勝する確率は1-(1-0.53)の2乗=0.78となり、ほぼ8割になる。したがって、全階級のうち8割の階級を制覇できることになる(実際には16階級中10階級の約6割であったが)。

このロジックは日本選手が二人とも同じような強さであるという前提で初めて成り立つわけであるが、世界の他の国比べて日本の柔道選手の層が厚いのは、異論はないであろう(実際世界ランク1位だけでなく同時に2位や3位もいる階級があった)。

このことからの学びは、競争というのは自分に有利なルールで戦うのが得をすると言うことであり、日本のように選手層が厚く誰が出てもそれほどの差がない場合は、複数選手エントリーできる方式が圧倒的に有利である。逆に言えば、オリンピックのように一国一人しか出れないルールは日本柔道には不利と言える。これは偶然の結果ではなく、意図的な結果であろうが・・・。

同じオリンピックの個人競技でも陸上や水泳では一つの国から3名くらい出る競技はたくさんある。これらの分野でアメリカが強いのは偶然ではないだろう。彼らは自分たちが得意なようにルールを制定したか、あるいは自国に有利なルールのスポーツに育成のリソースを注いでいるに違いない。

企業競争でも全く同じで、誰か他社が作ったルールで戦うよりは自社の作ったルールで戦う方が有利に決まっている。あるいは自社に有利なルールに業界全体を持ち込むと言うのがセオリーである。PC業界のマイクロソフト、音楽配信のアップル、自転車業界のシマノなど、こうして成功している企業は数多く存在する。

注)本稿では、確率の数式を多少いい加減に扱ったが、主旨には影響ないと思いますので、ご容赦ください。

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2010年5月25日 (火)

服箱のビジネスモデル

昨晩のテレビのニュース番組で新しい形のビジネスとして、衣料問屋の土橋商店が始めた在庫処分品をバルクで一般消費者に売る『服箱』という商品が紹介されていた。

服箱というのは福袋の袋の代わりに箱が使われていて、中にどんな商品が入っているか分からないがお得な商品が入っている意味だと経営者の土橋さん(37歳)が言っていた。

元々は問屋、ディスカウントストアあるいはブティックなどが大量に仕入れたが売れ残っている衣料を数千点単位で安く仕入れ、それを定価の何分の一かで売って儲けを出すというビジネスが本業の店だ。たとえば定価7000円程度のジーンズがたとえば5000着売れ残っているとして、それを全量買い上げる。その代わり全部買うから1着100円でとなるわけだ。そうすると仕入れ値はせいぜい50万円である。そのジーンズを1着500円程度売れば十分儲けが出る。消費者も多少型遅れだったり、売れ筋でないにしろブランド品のジーンズが500円で買えれば大満足と言うことらしい。

ここまでなら、結構ありそうな話である。でもこの服箱というのはさらにおもしろい。というのはバルクで買った商品を詰め直して、今度はいろいろなサイズやデザインあるいは様々な種類のファッション製品を組み合わせて、段ボールに入れセット商品として一般消費者に売る。
たとえば、定価で買えば1点1000-5000円程度するスカートやブラウスなどが入った商品を50点で一箱2500円程度で売る。元々の定価で計算すれば10万円分ほどになるから、もし気に入った方商品が何点かあれば十分元が取れる。ただし、中に何が入っているかは事前には分からないし、選択も出来ない。その意味で福袋のコンセプトそのものである。

しかし、一人でそんなにサイズも合わない、あるいはデザインの気に入らない服を買ってどうするのかと思った私は甘かった。彼らはそれをヤフーオークションにかけたり、フリーマーケットに出品して販売するのである。すなわち個人販売をやっているわけで、この服箱はその仕入れに相当する。50円相当で仕入れた商品を300円から500円で売って元を取るというのが、そのビジネスモデルだ。もちろん、気に入ったものは自分で使ったり、家族で使ったりする。

そして土橋さんがこれを思いついたのも、そういう消費者がいることに気がついたからだそうで、ネット時代の申し子のような商品だと自ら語っていた。
このあたりを詳しく知りたい方は土橋商店のホームページをご覧ください
http://www.chougekiyasu.com/product_info.php?products_id=5404

私などの想像を超えたところでCtoC(Consumer to Consumer)のビジネスが進んでいることを実感した。

実は私は1999年から2000年にかけて、インターネット時代は企業から消費者に情報主権が移る消費者主権主義の時代だと言うことを述べているが、10年経った今、そのことを強く実感できている。

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2010年5月24日 (月)

プロほどあきらめが早い

今日のカンブリア宮殿のゲストはアビーという中小企業のトップ大和田氏。この会社は年商は小さいが、細胞を生きたまま凍結できるという画期的な技術を持っている。セル・アライブ・システム、通称CAS(キャス)と呼ばれるそうだ。肉や魚を冷凍しても、水分が凍るときに細胞を破壊してしまう現象を防ぐことが出来、かつ解凍時にドリップが出ないという。

どうしてこうしたことが可能になるかと言えば、水分の持つ過冷却の性質を使うそうであるが、その説明は長くなるので省く。しかし、おもしろいのはその過冷却を実現するために弱い磁気を使って水の分子を振動させ続けて過冷却を実現するという点だ。
そして、こうした新しい発想を導き出すためには素人の発想が大事なのではないかと言っている点が、今晩の最大の収穫だった。

大和田氏曰く、
開発は技術的裏付けを持たない素人の方が、自由な発想や視野で開発できるので斬新な発明につながるのではないか。
プロほどあきらめが早い、素人は何とかやってみようと最後まで努力する。

この二つの発言は、技術開発だけでなく、ビジネス全般にも通用する大事なことだと思う。とりわけ、まったく新しいタイプの競争が起きる時代には、不可欠な要素だと思う。

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